メンタル
パニック障害の症状と治療期間、克服までの例を紹介!
パニック障害は心の病気ではありますが、身近な嗜好品に影響を受ける場合があります。影響の可能性がある嗜好品を見ていきましょう。
影響が考えられる嗜好品3つ
アルコール
お酒はどんな場合であってもほどほどがよいものです。嫌なことがあればお酒を飲んでストレス解消することもありますし、それを無理に我慢することもよくありません。
しかし、そうしたストレスの解消効果はずっと続くものではありません。酔いがさめてしまうと気分が良くなった反動で、飲む前に感じていたよりも不安な気持ちが強くなってしまいます。
こうした理由で、実はお酒を飲んだ後はパニック発作やパニック障害の悪化が見られます。また、パニック障害の治療薬として抗不安剤が処方されることがありますが、抗不安剤はアルコールと一緒にとると様々な危険が生じます。場合によっては禁酒させる医師もいるくらいですから、できれば飲まない方がよいでしょう。
喫煙
パニック障害の人の喫煙率は非常に高く、依存度が高い人も多くいます。これはアルコールと同じような作用があり、吸っているときは不安が解消されますが、吸った後は吸う前よりも不安感が増します。
パニック障害の中で喫煙者と非喫煙者を比べると、喫煙する患者の方が症状が強く、ストレスをより感じやすいことが分かっています。また症状を悪化させるばかりか、パニック障害が良くなった後にも影響を与えることが分かっています。
コーヒー
パニック障害の患者はコーヒーを好む人は極端に少なくなります。というのはパニック障害になるとカフェインに敏感になるからです。
コーヒーを飲んだ後にパニック発作を起こすことも多く、コーヒーを飲んだ後に不安感を覚えたり、動悸が激しくなったりする場合は飲まないようにしましょう。
パニック障害と診断された時点で、こうした嗜好品は避けるようにしましょう。
パニック障害が治るまでには最低でもどれくらいの時間が必要なの?
パニック障害とは、満員電車やショッピングモールなど特定の場所で、パニック発作と呼ばれる恐怖からの発作を起こすのが特徴的な病気です。
そんなパニック障害の治療期間を見ていきます。
最低でも1か月はかかる
パニック障害を最短で治療したい、という場合でなおかつパニック障害の症状がそこまで重症でなくとも、1か月は治療期間が必要です。
というのもパニック障害の治療に使われる抗うつ薬やSSRIなどの薬の効果が出るには、2-3週間を要するからです。
パニック障害が重症の場合は、副作用の影響がないことを確認しつつ薬を増やしていくので、3カ月程度は必要と考えてください。
3年が目安
薬を使った治療だけではなく、曝露療法などの精神療法も含めてパニック障害を治療すれば、3年程度で日常生活に問題なくなるケースが多いと言われています。
曝露療法は、あえてパニックを起こしそうな場所に行くタイプの治療法ですので、患者の努力が欠かせません。
それでも3年後には以前と同じように生活できると考え、曝露療法を積極的に取り入れていく患者さんもいます。
10年以上の付き合いになることも
パニック障害単体ではなく、背後に不安障害や人格障害などが隠れている場合は、治療期間が長くなるのが一般的です。
総合的な治療期間が10年を超える、人によっては一生薬を飲み続けることになる場合もあります。
パニック障害の治療期間は最低でも1か月はかかり、長ければ10年から一生治療し続けなければいけないこともあります。
治った、ということの基準は人によってもまちまちですが、日常生活に影響がほとんど出ない範囲(本人が不快でない範囲)になれば治療薬を飲まずに済みますし、病院にも行かなくてOKですので、これを治ったとするケースが多いです。
パニック障害患者と接するときの注意点
パニック障害からの回復は周囲の理解と協力なしには成り立ちません。きちんと回復していくためには周囲の人が正しくパニック障害を理解し、接してあげることが大切です。
うつ病患者との接し方と変わらない部分
パニック障害の患者への接し方はうつ病患者への接し方とあまり変わらない部分もあります。腫れものを触るように接しても本人の負担になりますし、過干渉気味に接しても、放っておいてしまってもいけません。まずは患者本人が恐怖や不安の世界の中にいるということを理解した上で接します。その上でうつ病で言われるように、「頑張れ」と声をかけないことや、無理に気分転換に連れ出したり、できないことを本人に無理強いしてはいけません。
気分を落ち着けるためにできること
パニック障害の人は、パニック発作を起こしそうな場所に行くことに恐怖感を覚えます。「外出先で発作が起きて助けを呼べなかったらどうしよう」などと考えてしまうのです。そのため診察にはなるべく同行してあげましょう。診察だけではなくて、外出時には同伴者がいた方が安心できます。また、常に不安や恐怖にさらされている患者の話を聞いてあげるのもよいです。このときあくまでも聞き役に徹し、自分の意見を出したり押し付けたりはしないようにしましょう。
発作が起きたら?
まず理解しておきたいことはパニック発作で命に関わることはないということです。目の前で発作が起きると、あわててしまうかもしれませんが、周囲のその気持ちは発作を起こしている本人に伝わってしまい、発作を加速させてしまいます。そのためパニック発作が起こっても、冷静に、手を握ったり背中をさすったり、本人を安心させてあげられるような雰囲気を整えましょう。
この他にも自分でできること(体調管理など)はなるべく自分でさせるなどもとても重要です。
パニック障害で見られる3症状
精神疾患のひとつにパニック障害があります。パニック障害の症状はパニック発作が良く知られていますが、パニック発作はパニック障害の症状のひとつにすぎません。
パニック発作
パニック発作とは何の前触れもなく突然訪れる息苦しさやめまい、吐き気、手足のしびれなどの症状のことで、自律神経の症状として心臓の動悸が激しくなって上記のような症状が見られます。突然の発作に驚き、同時に不安感や恐怖感に支配される感覚があり、体がふわふわと宙に浮いているような感覚になることもあります。こうした状況にこのままどうにかなってしまうのではないか、死んでしまうのではないかと感じてしまい、汗が異常に吹き出て、寒気を感じたりほてりを感じたりします。継続時間は10分程ですが、数時間続くこともあり、最初の発作を起こした場所に近づけなくなることがほとんどです。症状としては心臓や呼吸器の疾患のように思われがちです。
予期不安
一度でもパニック発作を経験してしまうと陥りやすい症状が予期不安です。パニック発作を経験してしまうとパニック発作を起こしてしまうのではないかという予期不安がつきまとい、発作が起こるごとにこの予期不安が強くなっていきます。この強い不安感のため神経質になり、気にしすぎることで自律神経症状が生じ、これによって余計にパニック発作を何度も繰り返すようになります。予期不安にはパニック発作を起こすのではないかと言う不安と、発作によって起こるそれ以外への恐怖感があります。それ以外のへの恐怖感とは発作によって人に迷惑をかけたらどうしようとか、倒れてしまうのではないかなどへの恐怖感です。
広場恐怖症
一度パニック発作を起こすと、発作を起こした場所や状況を避けるようになります。発作が起こったときに逃げられない、助けを呼べない場所に恐怖を感じ、そうした場所に近づけなくなります。多くは電車やバス、高速道路、長時間座っていなければならない美容院や歯科などで、発作を起こした場所へは間違いなくいけなくなります。軽い症状では数回状況を避けるだけで元に戻りますが、重症になると一人で外出できなくなります。
パニック障害は進行していくとより重症になり、治るまで長い時間を要するようになりますので早期発見と治療が必要です。
パニック障害にかかった有名人の克服法
パニック障害の発症率は現在、2、3%と言われています。多くは乗り物に乗れないことからはじまりうつ病へと移行していくこともあります。
多くの人目にさらされる有名人にもパニック障害は多いようで、ここにはパニック障害をカミングアウトした有名人がどのように克服したのか、簡単にご紹介します。
▼タレント・歌手 円広志さん 闘病9年
パニック障害の体験談を『僕はもう、一生分泣いた パニック障害からの脱出』(日本文芸社)にまとめていらっしゃいます。番組収録中のめまい、運転中の異常症状から、関西で多数のレギュラーをもつ生活から休養に踏み切ります。いつパニックに陥るかわからない不安を抱えながら、四か月後に復帰、しかし無理がたたった日は、体の硬直などを体験しながら仕事を続けていかれました。
周囲に症状を訴えても理解されにくいが、病気と付き合うつもりであまり悲観的にならず、薬を飲みながらでもいいから、少しだけ無理をする。そうすると、健康だった頃の自分を徐々に取り戻すことができたそうです。
先日、レギュラーの番組内で「毎日この番組で長時間歩くようになり、僕は心も体も本当に健康になって嬉しい」ともおっしゃってました。
▼元野球選手 長島一茂さん 30歳から発病
パニック障害の体験談を『乗るのが怖い―私のパニック障害克服法』(幻冬舎新書)にまとめていらっしゃいます。お父さんの栄光の影で思うような結果がでず、自分を追い詰めたことでパニック障害に。病院だけでは良くならないことに苦しまれ、自分で治す努力をしなければ治らないと奮起、様々な生活改善を試されます。自己啓発的読書、規則的な生活、食生活の改善、断食、自己対話を実践し、克服していかれたそうです。
▼女優 大場久美子さん 40歳で発病 闘病8年
パニック障害のことをブログにもつづられています。お母さんの死をきっかけに発病。突然動悸や倦怠感に襲われ、人ごみが歩けなくなり、電車にも飛行機にものれなくなる。心療内科に通い、ゆっくり治療し回復傾向にあったが、焦りから別の病院にも通院、薬の副作用でひどい鬱になり自傷行為までするようになる。薬をやめることで鬱を克服。
現在は、なるべく規則正しい生活、食事や睡眠、軽い運動。ゆったりと深呼吸してリラックス。少し余裕がもてるようになったら、楽しいと思えることに少しづつ挑戦することで、パニック障害を克服されたそうです。
以上の3例に共通していることは、お医者さんに頼るだけではなく『自分でゆっくり治して行こう』という姿勢ではないでしょうか?そして『生活を規則正しくする』こともポイントみたいですね。
パニック障害は完治しやすい病気です。他にもたくさんの有名人がパニック障害を克服されています。そしてパニック障害になったことで自分を改善することが出来たと、治った後は病気に感謝されている様子。
パニック障害は仲間がいると思うことで、安心し発作を抑える事にもつながります。今苦しんでいる方も、決して自暴自棄にならず、一歩ずつまずはのんびり上記の体験談などを読書することからはじめてみてはいかがでしょうか?
パニック障害にかかっているけど、妊娠は可能?薬の影響は?
100人いれば1-3人はパニック障害にかかっているといわれるくらい、パニック障害はメジャーな病気です。
パニック発作と呼ばれる、特定の場所に行くと(行くことを考えると)息苦しくなったり死ぬのではないかと思うほどの恐ろしさに襲われたりします。
パニック障害の薬と妊娠
パニック障害で妊娠・出産を考えるときに、もっとも注意しなければならないのは薬の影響です。
パニック障害の治療に使われる薬の中でも、特にメジャーな薬にSSRIがあります。
SSRIは心臓欠損のリスクや肺高血圧症のリスクを高めてしまうので、量によっては妊婦さんにはふさわしくないと言われています。
また、そのほかにベンゾジアゼピン系の抗不安薬は口蓋破裂などの危険性があり、出来れば断薬した状態での妊娠・出産が望ましいです。
症状が軽くなってきたら考えてみよう
パニック障害での妊娠は、不可能ではありませんがリスクがやや上がるので、症状が軽くなって薬を一時的に断薬してもOKになってから、妊娠・出産を考えるのがお勧めです。
また、認知行動療法や曝露療法など、薬を使わないタイプの精神療法でしっかり治療し、薬を減らしていくという方法もあります。
妊娠がわかったときに服薬だった場合
パニック障害の薬は確かに胎児に多少なりともの影響がありますが、妊娠第6週までは胎児へ薬の成分が到達しないとされています。
早いうちに妊娠に気づけば、そこから断薬して胎児への影響をほとんどなくすことも可能ですので、妊娠・出産を考えているのであれば、妊娠兆候(妊娠超初期症状)などには目を配っておきましょう。
パニック障害にかかっていても妊娠・出産は出来ますが、薬の量が多い・種類が多い場合は徐々に減薬してからの方がよいです。
(Photo by: [http://www.ashinari.com/])
著者: カラダノート編集部