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過去を忘れてしまう、解離性健忘とは?解離性健忘と物忘れの違いって?催眠療法の効果・自己防衛例・治療例について

 

解離性障害の一つに、解離性健忘という分類があります。解離性健忘とは、自分にとって都合の悪い場面であったり、自分が困った場面で過去の記憶が飛んでしまうもので、数時間から数日の記憶がごっそりと消えてしまって、自分が底場所にいる理由などが思い出せなくなります。

 

 

解離性障害とは自分の感覚や認知を自分でまとめ上げている、自分は自分であると言う感覚が失われてしまっている状態で、何らかのストレスによって心が耐えられなくなるのを回避するために様々な症状があらわれます。その一つが健忘で、解離性健忘では自分が不快と思う体験を思い出せなくなります。

 

症状

最も一般的な症状として見られるのは記憶の喪失です。記憶をなくした直後は混乱することもあり、多くの人は健忘によって軽度の抑うつ状態になったり、深く悩んだりします。

 

忘れる期間

たいていの場合は記憶の中に一つあるいは複数の空白期間があり、その時間は数分から数時間、あるいは数日に及ぶこともありますし、数年間あるいは過去の人生すべてを忘れてしまうこともあります。こうした局限性の記憶喪失や、全般性の記憶喪失に加え、結婚生活や借金、失恋などの特定のことといった選択的の記憶喪失の場合もあります。また、起きたことを次々に忘れてしまう場合もあります。

 

忘れた認識

多くの人は時間を失ったという認識があります。ただ、中には記憶がよみがえったり、記憶にはないけれども自分がした何かしらの行為の結果を示されたりして、後から失われた記憶に気づく場合もあります。これは記憶自体は忘れてしまっていてもその人の行動にそのまま影響を与えていることがあるためです。

 

 

この疾患は若年成人に最も多く見られます。トラウマによって心を閉ざしてしまうこともありますし、自然と記憶を取り戻していくこともあります。

 

解離性健忘の記憶喪失はどういった喪失があるの?

記憶喪失という言葉で知られている解離性健忘は、記憶の喪失が主な症状です。

ではその解離性健忘の記憶喪失はどのような喪失として見られるのでしょうか。

 

恣意的に選択した記憶の喪失

人は自分の心のバランスを守るために、それを脅かす記憶を選択して忘れるということがあります。

特に嫌悪感や不安、恐怖などと言った負の感情は忘れ去られやすいのですが、解離性健忘の場合にはそうした記憶だけを忘れるのではなく、それを中心に自分の自我を失うほどの記憶を喪失させて、現実の感覚を喪失する健忘を引き起こすと言う点において一般的な忘却とは大きく違います。

 

記憶を失う前後の脳内

健忘が起こる前後の記憶ははっきりしていることが多いようですが、中には健忘が起こる直前の短い時間はちょっとした意識混濁があったという人もいます。

 

「私は時間を失った」という記憶喪失の自覚がある

解離性健忘はしばしば突然起こるのですが、発症しても大半の人は自分が時間を失ったことを分かっています。

 

自覚がなくても気づく、行動への影響とは

上記の時間を失ったことの自覚が最初はなくても、自分が何らかの行動をしたことで、欠落した記憶があることに気づいたり、友人が話す内容や、自分が記憶を失くした証拠を示されることで記憶の欠落に気づく場合もあります。

 

欠落した記憶に気づいたら…どう思う?

自分が記憶を失っていることに気付いたのちの反応も様々です。元々その記憶は自分で消したくて消している記憶のことが大半ですから、それをつきつけられることで、混乱したり、軽度の抑うつ状態になったり、そのことに関して悩まされたりします。ただ、一方で防衛本能の延長なのか、記憶の欠落に気づいても無反応の人やあまり心配しない人というのもいます。

 

多くは自分を形作る記憶を忘れてしまっているので、自分がどういった人間であるという自覚も乏しく、混乱してしまうようです。

 

男性よりも女性に起こりやすい…記憶力の減退ではない!解離性健忘と物忘れの違いって?

物忘れというのは誰にもありますが、一定の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまうというのは問題です。一般的によく知られている言葉では記憶喪失とも言いますが、精神医学においては健忘と言います。

 

解離性健忘ってなんだ?

一定の記憶が思い出せなくなることを健忘と言い、一般的に心の傷やストレスに関する情報が思い出せなくなるのが解離性健忘と言います。

この解離性健忘は男性よりも女性に起こりやすい疾患と考えられており、さらに高齢者より若年成人に多い傾向がありますが、どの年代でも起こりえます。

また、この解離性健忘は外傷的な出来事を関係していることが多い特徴がある為、戦時や自然災害などといった出来事の際に数が増加することが想像できます。

 

物忘れとは何が違うの?

忘れるという意味において健忘も物忘れも変わりなく、想起障害と言えます。物忘れと健忘の違いというのはその内容というわけではなく、頻度や思い出せない範囲で分けられます。

思い出せないという頻度が少なく、思い出せない範囲が狭ければ物忘れとして解釈されて問題視されません。

 

解離性健忘の健忘は

物忘れに対して解離性健忘の健忘は忘れるはずのないものを忘れてしまうのが特徴です。いくら物忘れが激しいと言って知り合いの名前が思い出せなくても、自分の名前や年齢を忘れることはありませんよね。

解離性健忘の場合にはこうした自分の名前や年齢と言った、忘れるはずのないものを忘れてしまいます。そのため自分が何者であるかという自己同一性が混乱することが問題です。

 

解離性健忘の健忘は物忘れよりも実に深刻です。日常的に人の名前を忘れてしまう、これからしようとしていたことを忘れてしまうといった記憶力の減退の話ではないのです。

 

解離性健忘(記憶喪失)に対する催眠療法の効果について

ドラマの劇的演出としてよく登場する『記憶喪失』。精神医学の正式名では『解離性健忘』と呼ばれています。アメリカの精神医学や裁判などでは、解離性健忘を起こした患者に催眠療法を使う様子がしばしば見られますが、日本の精神医療現場では催眠療法は比較的避けられています。これは催眠療法で無理やり思い出すことにより、問題が起こるのを避けるためです。

 

どんな問題の可能性があるのでしょうか? ここには筆者が経験した解離性健忘と催眠療法の効果についてまとめました。

 

 

▼催眠療法で何をするのか?

『催眠療法』とは、人が暗示にかかりやすい、または脳を混乱させ、意識を眠っている状態に導くような言葉(催眠用語)を操り、意識の働きを鎮め、普段意識して働かせることのない、無意識の領域にセラピストがアプローチし、記憶の整理や操作、打消し、書き換えを行うことです。

 

精神医療で使われる際は、主に、日常で思い出し過ぎたり、思い出せないことで障害になっている記憶に対して、衝撃を減らすように書き換えたり、思い出せない記憶を取り出して解決策を考え、思い出すのが嫌ではない記憶に整理するなどを行います。

 

 

▼催眠療法で体験した混乱

筆者の勤めるカウンセリングルームでは、催眠療法の基礎を教える講座があり、それを学びにきた医者やカウンセラーの練習台になることがありました。

 

筆者は犯罪被害や虐待経験などもっていましたので、催眠療法で試しに操作してもらうのですが、そこで起こった自らの混乱を書き出します。

 

 

◎犯罪被害のショックで抜け落ちた記憶を取り戻す。

とある犯罪被害にあったショックで、その事件の詳しいことが思い出せないために、犯人の供述が正しいかどうか自信がありませんでした。それについて催眠誘導にて思い出しましたが、それ以降、犯人と顔が似ている芸能人をテレビで見たり、同内容の事件をニュースで見ると、怒りが止まらず、眠れなくなった。

 

→突発的にあった被害は防ぐ方法もなく、事件を思い出せなくなることでしか恐怖を抑えられないため、部分的な健忘が起こっていた。思い出すことで、記憶で苦しむようになってしまった。

 

 

◎父からの暴力によるショックを軽減する。

テレビでの暴力シーンを見ると吐き気を催すので、催眠誘導で原因をさぐってもらいました。私はすっかり記憶をなくしていましたが、父から受けたある時の暴力が原因だとつきとめました。その後、催眠誘導でその原因に対する怒りと恐怖を軽減する操作をしてもらい、軽い暴力シーンは吐き気なしで見れるようになりました。しかし代わりに、暴力シーンをみる度に何か忘れたことがあったような、思い出さなくても大丈夫?!と焦りがおこり、動悸がするようになりました。

 

→父と一緒に暮らし続けるために、父から受けた恐怖を表面的に忘れるという事が起こっていました。しかし、同時に完全に忘れていて暴力に合うと困るので、暴力シーンをみると気分が悪くなってその場を避けるように働いていたようです。

 

独立した私はもう父から暴力を受けることはない、現在の自分は安全であるということを植え付けてもらうことで吐き気を止める事ができましたが、他の人から暴力を受ける可能性はなくならないため、暴力シーンをみると、あの時のつらさを思い出さなくても大丈夫?という焦りがでて、動悸がするようになったのでした。

 

 

このように、記憶を操作することは様々な可能性を考慮して、慎重に行わなければ、新たな問題にさらされる可能性があります。『解離性健忘』が起こるのは本人を守るために必要な意味がありますので、それを考慮し、しっかりとカウンセリングをし、まずは健忘が前向きな反応だと受け入れることが大切だと言えます。

 

解離性健忘(記憶喪失)の自己防衛例

解離性健忘(一般には記憶喪失と呼ばれる)は、自己防衛反応として起こります。ここには筆者が知っている自己防衛例を紹介します。

 

 

▼事件被害のショックによる健忘がきっかけで不安を解消した少女

少女はとある集まりで出た食事を食べたところ、薬品が混入していて、腹痛と吐き気で入院しました。退院後、事件の日のことを思い出そうとしても、その日の朝からの記憶がありません。記憶を失った不安もあり、事件に対する心のケアを兼ねてカウンセリングを受けました。カウンセリングでは、父子家庭である父親に甘えられないという悩みが事件のことよりもメインになりました。父親との関係について解決すると、不思議と事件の日の記憶も戻りました。

 

→ 事件のショックから解放されるためには父親に甘える必要があったが、甘えられない関係だったため、自己防衛反応で事件を忘れるという健忘が起こった。

 

 

▼夫の暴力を全て忘れてしまった女性

カウンセリングの主訴は二十代の娘でした。子供の頃父から受けた暴力がきっかけで、解離性障害が発症。カウンセリングを進めていく上で、父親から受けた暴力被害について母がなぜ守ってくれなかったかと、怒りをあらわにするが、母親はそんな記憶はないという。

 

そこで母親も加わり、母子でのカウンセリングをすすめていくと、母親は子供の頃両親が喧嘩ばかりしていて嫌な思いをしたので、自分は平和な結婚を続けたいという思いが強かった。そのため、夫が飲んで暴力を振るうことをどんどん忘れていくことで、平和な心の状態を保っていることがわかりました。娘は記憶をなくした母の辛さ(母も夫からはげしい暴力を受けていたため)も理解できるといい、母親の健忘を受け入れ、過去のことで母を責めるのをあきらめました。

 

  

このように、解離性健忘は、本人にとって肯定的な意図があって起こります。一生思い出さず自分を守り続けることもありますし、思い出しても問題がなくなると、突然よみがえることもあります。

 

解離性健忘(記憶喪失)の治療例について

解離性健忘が起こると病院ではどのような対応をするのでしょうか? 一例をここにまとめした。

                                                                                                    

▼30代女性Aさん 全生活史健忘の治療例 

◎発症

とある会社の事務員として就職。職場の同僚からお酒に誘われた夜、約束には現れず、連絡がとれなくなりました。三日後、裸足で街中を歩いているところを保護されました。発見された時には「ここはどこ?私は誰?」といった状態でしたが、カバンの中に入っていた免許書で親もとへ戻ることが出来ました。

 

◎治療

家族を見ても家に帰っても何も思い出せない状態が続き、不安から軽度の抑うつ状態になり、悪夢と食欲不振と吐き気を訴え、記憶を取り戻す治療を本人が望み、開始することになりました。

 

混乱や恐怖を抑えるために薬物を利用した面接を行い、少しずつ過去について引き出していきました。

 

面接では次のようなことがわかりました。最初は失踪した当日の記憶を思い出しました。知らないバーに行き、知らない男性と話ましたが、その後の記憶は戻らず、次は裸足で知らない商店街をあるいていた記憶・・・会社で兄によく似た男性からお酒に誘われて嬉しいのに、怖いとも感じる記憶など、面接の回数を重ね、解離性健忘の原因と思える記憶にもたどり着きました。

 

それは少女時代の兄から受けた暴力の記憶でした。父がしつけと称し、兄にだけ暴力を振るっていたため、兄は二つ違いの患者(妹)に親のいない時にこっそり暴力を振るうようになり、それが高校生まで続いたのでした。

 

大人になるにつれ暴力はなくなり、兄も独立して家をでていったが、患者はそれをきっかけに男性恐怖症となったが誰にも言えないできたというものです。

 

患者は完全とは言えませんが、大方、記憶を修復することで不安症状が軽くなりました。しかし、記憶を失う前から、解離性障害(人生の苦しみから体と心が離れたり、妄想に悩まされたり、違う人格を表すようになる障害)を発症していたことがわかりました。

 

◎予後

元いた会社を退社。事情を話した上で、知人の会社で調子の良い時に働いているが、何かきっかけがあると解離性による失踪をたまに起している(全生活史健忘は最初だけで、失踪時の記憶だけがなくなる)。

 

しかし、カウンセリングやSST(社会の中で上手に立ち回る訓練)により、以前に比べ、言いたいことを言い、やりたくないことはやらないで過ごすようになったため、本人は我慢ばかりしていた昔よりも生きやすくなったと感じている。今も精神安定薬を服用しながら、定期的に通院中。

  

解離性健忘の治療は医者の誘導によって、間違った記憶を創り出す可能性もあります。海外ではそれが誤認逮捕の原因にもなっています。治療が安全にうまくいけば、解離性健忘の原因へたどり着け、患者が向き合えなかった過去の整理をすることで、解決への大きな足がかりとなります。

 

(Photo by: [http://www.ashinari.com/2010/08/01-339377.php?category=48])

 

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-26掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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