アレルギー
牛乳の加工の仕方によって違う!?牛乳を除去する時のポイントは?牛乳アレルギーでも摂取可能な食品や代用品
牛乳で食物アレルギーを起こす主なタンパク質成分は、カゼイン、αラクトアルブミン、βラクトグロブリンです。
牛乳は様々な形に加工されて使われることが多く、加工の仕方によってアレルゲンの含まれる量や性質が変わってきます。
乳清か?カゼインか?
牛乳アレルギーでもどちらのタンパク質に反応するのかを知っておけば対処がしやすくなります。
牛乳からチーズを作る時にチーズとなるのがカゼイン、絞った液体部分が乳清(αラクトアルブミン、βラクトグロブリン)です。
乳清は胃で分解されやすいので、乳清のみアレルギーの人はクッキーやビスケットでは症状が出ない事がよくあります。
除去の仕方
牛乳アレルギーはアレルギーを起こすIgE抗体の強さと症状の強さが必ずしも一致しません。
アナフィラキシーアレルギーを起こすタイプでは全ての乳製品を除去しなければいけません。
皮膚アレルギーを起こすタイプでは全ての乳製品を除去した後に、抗原性の弱いものから少しずつ食べるようにします。
解除の仕方
アナフィラキシータイプでは沸騰させた牛乳を皮膚に貼り付けて、腫れの状態を見てどのように解除するのかの対策を立てます。
解除の基本は、抗原性の弱いものを少量から始めて、徐々に抗原性の強いものを大量に与えていくようにします。
抗原の強さ
1、生の牛乳
生乳、練乳、生クリーム、ミルクティーなどです。
2、発酵食品
ヨーグルト、チーズ、バター、カルピス、ヤクルトなどです。
3、加熱した牛乳を使った料理
シチュー、グラタン、ドリアなどです。
4、牛乳を使った菓子
クッキーやビスケットなどです。
牛乳アレルギーは検査の値が低くてもアナフィラキシーショックを起こして呼吸困難に陥る事も多々あります。
解除の難しい食品の一つなので、自分勝手な判断はせずに専門医と相談しながら解除を進めていきましょう。
牛乳・乳アレルギーでもカルシウムを補給できる食品
牛乳・乳アレルギーの除去食を行う際、カルシウムをどうやって補給するかというのが難しいポイントです。乳製品以外で、カルシウムの含有量が多い食品をご紹介します。
魚介類
特に丸ごと食べられる小魚には、カルシウムがたっぷり。タンパク質も同時に摂取できるので、毎日の食生活に積極的に摂り入れたい食材です。
カルシウム豊富な野菜
意外にも、野菜にはカルシウムが多く含まれているものがあります。
その代表格は小松菜。100gあたりのカルシウム含有量が170mgと、ずば抜けています。
免疫力を高めたり、皮膚や粘膜を保護するビタミンAも豊富です。捨ててしまいがちなカブや大根の葉も、カルシウムの補給源です。
サッと固ゆでしたカブや大根の葉を細かく刻み、じゃこと合わせて炒めれば、カルシウムいっぱいのふりかけになります。
乾物も活用
栄養がギュッと凝縮されている乾物は、カルシウムも詰まっています。切り干し大根はカルシウムがギッシリ。鉄分も豊富な優秀食品です。
大豆アレルギーがないなら、高野豆腐もお勧めです。消化が良く、タンパク質と適度な脂肪が体の成長を助けてくれます。
もう1つ注目したいのは、干シイタケ。干シイタケのビタミンDがカルシウムの吸収を促進します。天日干しのシイタケでないと効果がありません。
市販のものは熱乾燥の場合も多いので、調理前に1時間ほど天日干しするとビタミンD量がアップします。
カルシウムが多い食品を知っていれば、カルシウム不足の心配も軽減します。
これらの食品は、カルシウム以外の栄養素もたっぷり。
アレルギーでなくても、家族みんなで食べたいものばかりです。
牛乳・乳アレルギーは豆乳・大豆製品で代用
牛乳・乳アレルギーの代替食で便利なのが、大豆・豆乳です。かなりの乳製品、牛乳を使った料理が大豆・豆乳で代用できます。
・ホワイトソース
牛乳や生クリームを使ったホワイトソースは、豆乳で置き換えて作れます。グラタンやシチューに便利です。
ホワイトソースを作らなくても、牛乳の代わりに豆乳を入れたミルクスープは十分にコクが出て美味しく食べられます。
こんな乳製品まで…
◆大豆チーズ(ソイチーズ)
豆乳をレモンなどで凝固させて作るチーズです。通信販売でも取り扱っています。「100%植物性チーズ」をうたっている、ベジタリアン向けチーズが多いようです。
大豆チーズと豆乳を使えば、乳成分不使用のチーズケーキも作れます。
◆大豆ヨーグルト
豆乳を乳酸菌で発酵させた、植物性のヨーグルトです。
普通のスーパーやコンビニエンスストアでも簡単に手に入り、タンパク質を手軽に補給できます。
◆豆乳プリン
代替食ではなく、普通のおやつとして十分に美味しい豆乳プリンがいろいろなところで売られています。子どものおやつにもピッタリです。
◆豆乳マーガリン
豆乳と植物油脂を使ったマーガリンがあります。バターの代わりに料理に使えばコクが出ます。
乳成分不使用の豆乳パンと合わせれば、朝食にも重宝します。
注意点
大豆アレルギーは、卵・牛乳アレルギーに次いで多いので、アレルギー体質なら事前に検査した方が安心です。
アレルギー対応のために作られた商品でなければ、乳成分が完全に排除されているとは限りません。原材料名を確かめてください。
ご紹介した大豆・豆乳を使った代用食は、自分でも作れるものがたくさんあります。
自家製なら、乳成分が入っているものをうっかり食べるという失敗も防げます。
牛乳を飲むとお腹がごろごろしませんか?
牛乳は、カルシウム、ビタミンDに富み、アミノ酸バランスもよい優良食品です。その効能としては
骨粗しょう症
自律神経のバランスを整える
子どもの成長には欠かせなぐらい大切
ところが、「牛乳を飲むとお腹がごろごろする」という方がいるのも事実です。
別にお腹が冷えるからではなく、温めたものや、アイスクリームでもだめという方もいます。
こういう方は、お腹が張る、ひきつるようにお腹が痛む、気分が悪い、下痢気味になるなどの症状がでます。
これは、乳糖不耐症が原因であり、牛乳アレルギーではありません。
原因
乳糖不耐症とは、小腸内でラクターゼ(乳糖分解酵素)という酵素が十分に作られないために、牛乳や乳製品に多く含まれる乳糖を消化することができないことによります。
遺伝的に乳糖分解酵素を持たない
ウイルスや細菌による急性胃腸炎により、酵素活性が低下
成長するにしたがい、次第に乳糖分解酵素活性が低下する
このような原因で大量の牛乳を摂取すると、お腹の調子が悪くなったりします。
対処法
乳糖を含む食物(牛乳、乳製品)を除去、制限する
乳製品でもあらかじめ乳糖を分解してある機能性食品を摂取する
乳児には乳糖を含まない特殊なミルクを使用(ラクトレス・ポンラクト)
乳糖分解酵素を薬として補充する
カルシウム、ビタミンD、B2、タンパク質を効率よく採るために豆乳を代用する。
乳製品を少しづつ採ることで治る場合もあります
子供の場合は給食で牛乳がでます。乳糖不耐症の場合、担任に知らせておく配慮も必要だと思います。
また、医療機関にかかるときも、乳糖がコーティングされている錠剤があるため、医師や薬剤師に伝えておく必要があります。
実は、世界全体でも、乳糖不耐症の素因がある確率は80%におよびます。
症状が軽い場合には、乳糖不耐症であることにきずかない場合すらあります。
ただし、遺伝的に乳糖分解酵素を持たない場合や乳児の場合には、医師への相談は必要です。状態を知り、上手に症状に対応したいものです。
牛乳を飲むとおなかをくだす?乳糖不耐症の治療法
牛乳などの乳製品を飲むと、消化できなくて下痢をしたり、ガスが発生する症状、誰でも経験したことがあるものです。母乳や牛乳に含まれている乳糖をなんらかの要因で吸収できない乳糖不耐性症の原因と対処の仕方をご紹介します。
乳糖不耐症
○牛乳の乳糖を分解する乳糖分解酵素ラクターゼは、赤ちゃんでは体内で大量生成されますが、成長して乳糖を含む母乳を飲む量が減るにつれて生産量が減ってきて、牛乳などを飲食すると下痢や腹痛を起こす確率が高くなるので、徐々に牛乳を飲むことに慣れていくようにしましょう。
○稀に生まれつき乳糖分解酵素が無い先天性乳糖不耐症に罹っている場合があります。
症状は二次性乳糖不耐症に比べて軽く、体重の増加を経過観察しますが、悪化すると乳糖を含まない治療用ミルクへ切り替えると、治まるようです。
○高齢者は、他の病気が原因で、小腸の粘膜にいる酵素の働きが弱まって下痢になる二次性乳糖不耐症に罹りやすくなっているので、牛乳の摂取を控えて、症状を改善します。
検査
☆乳糖耐性試験・・・消化器系の乳糖の吸収を測定します。
☆水素呼気試験・・・乳糖を含んだ飲料を飲んで、呼気に含まれている未消化の乳糖が発する水素の量を測定します。
☆便酸度試験・・・・・幼児・小児用で、便中の酸の量を測定します。
治療法
△乳糖の摂取を避けるまたは制限します。
△醗酵乳や乳糖を含まない原料でつくった無乳糖乳に切り替えます。
△赤ちゃんは、ラクターゼ製剤を薬として補填します。
△最近では、乳糖を7割以上グルコースとガラクトースに加水分解処理した製品-乳糖分解ミルクなどが販売されているのでそのような商品を選びます。
できれば、温めて飲むと、消化吸収が高まり、症状が軽減されます。
(注)骨粗そう症の患者さんは、乳糖不耐症を起こすとかえって骨からカルシウムが出てしまうので、他の食べ物からカルシウムを摂取するようにします。
牛乳を飲むといつもお腹の調子が悪くなる人は6%、ときどきが8%という調査結果が報告されています。しかしながら、このような症状を起こす人がすべて乳糖不耐症というわけではなく、冷たさに反応したり、他の病気の場合もあり、ほとんどのケースが食生活を養生することで症状を改善していけているようなので、楽観的に治療を進めていくことが大切でしょう。
(Photo by: http://www.ashinari.com/2012/10/23-372029.php)
著者: カラダノート編集部