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再生医療の最前線!心筋細胞を再生させる『心筋シート』とは?

 

人工心臓・心臓移植に代わる治療法『細胞シート移植』

 

『太ももの筋細胞を培養し、心筋梗塞を起こして壊死してしまった心筋を再生させる・・・』

これまで動物実験などの大学研究においては、細胞培養から心筋再生をさせることは可能とされていました。最近の研究で、人対象の臨床試験(数十名の心臓病患者を対象)において、全例で無事退院まで回復、また、約7割の患者において人工心臓が不要になるなど、その有用性には非常に期待が集まっています。

2008年時点での統計では、日本において心不全を患っているとされる患者数は約23万人とされており、その治療法には症状が重篤である場合、薬物治療は難しく補助人工心臓を装着したり心臓移植を行うというのが一般的であるようです。しかし、心臓移植にも様々な欠点があり、

 

元は他人の臓器であるため、免疫機能が働く。

その抑制のため生涯に渡り免疫抑制剤を服用しなければならない。


◆年間数百万円の費用が必要になる。


また人工心臓に関しても、

 

◆機器自体が高価である上に定期的なメンテナンスが必要で、また以前のように日常生活を取り戻すのは難しいとされる。


など、治療とは呼ぶには様々な欠点があるため、代替療法が待たれていました。その点、現在大阪大学と企業が共同研究している『細胞シート』というものは、手術自体も危険性が低く、根本的な治療に繋がると非常に期待されています。

 

以下では、『細胞シート』についての詳細と、手術成功事例などについてご紹介していきたいと思います。

 

細胞シートの詳細について

 

現在、大阪大学と株式会社テルモなどが共同で研究開発を進めているのが『骨格筋芽細胞シート』というものです。細胞シートの起源は、1990年に東京女子医科大学の清水達也准教授が細胞シート工学でマウスの心筋細胞をシート状に培養して作り、心筋細胞シートを4枚重ねたところ、細胞シートが一体となり、自ら拍動し続けたことによるものだそうです。

 

実際の培養・移植の手順とはどのようなものでしょうか?

 

<移植手術の手順>
1)患者の大腿部より筋肉を採取し、これに含まれる骨格筋芽細胞(発生初期段階のもの)を取り出す。
2)これを直径約5センチの厚さ0.1ミリ程度の薄いシート状に培養する。
3)これを4枚重ねて患者の傷んだ心筋の表面に6箇所ほどに貼り付ける。
4)心臓に新たな血管網が形成され、筋芽細胞シートから出されるタンパク質などにより、弱っていた心筋細胞が活性化していく。

 

<従来方法と比較してのメリットとは?>

◇患者自身から採取するので拒絶反応や感染の危険性が低く、体外での培養が可能
◇自らに接着たんぱく質を保持しているので、縫合の必要がない


細胞シート移植の実例とは?

 

<細胞シート以前の細胞移植手術でのトラブル>
細胞シートが出来る以前の心臓病の治療においては、培養した筋芽細胞を心筋に直接注入するという方法を採っており、不整脈などのトラブルを引き起こすケースがあった。

 

<現在の成功例>
現在、細胞シートによる移植手術例は、大阪大学病院では5年間で14例。いずれも重症の心臓病患者、又は心臓移植を待つため人工心臓を埋め込んでいる患者が対象でしたが、全員が無事退院し、なかでも3分の2の人は人工心臓を取り外せるまで劇的に症状が改善したと言われています。

 

◆拡張型心筋症の男性患者の例

大阪大病院に入院されている拡張型心筋症の男性患者(56歳)は、昨年2月に大阪大病院に入院。心臓を動かす機能が低下したため補助人工心臓を装着。8月には脳死心移植の待機患者となった。
↓(細胞シート移植手術治療へ)
筋芽細胞(筋肉が傷ついた際に修復機能を持つ)を、男性の左大腿部から採取。
◇培養して増やし、直径約3.5センチ、厚さ0.1ミリ以下の円形のシートを数十枚作成。
◇今年5月に男性の左心室外側にシートを張る手術を実施
◇3カ月後には心臓が収縮する力が回復
9月5日に人工心臓を外すことができた(現在では取り外して病院の周囲を散歩できるまでに回復したという)。

 

治験と費用について

 

現在治験は、重症心不全患者を対象として大阪大学などの3施設で実施されているようです。移植後6カ月を評価期間とされ、実用化の目標は、約3~4年後と言われています。現在の推定治療費は約1千万円

 

最後に


細胞シート移植手術は、心臓病を抱える方にとって非常に待ち望まれた治療法でありますが、心筋細胞に問題がある場合、iPS細胞を利用する必要があるなど、実用化まではまだ課題も多いとされています。もう数年、改善が行われることを待つ必要がありそうです。

  

(photoby://pixabay.com/ja/%E5%BE%AE%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6-%E3%82%BB%E3%83%AB-%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90-dna-%E5%88%86%E5%AD%90-%E7%94%B7-%E5%8C%BB%E5%AD%A6-%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%AE%A4-%E8%A7%A3%E6%9E%90-163470/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-02掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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