不眠・睡眠障害
時間を問わず眠い…ナルコレプシーから考えられる病気、検査や治療法とは
春眠暁を覚えずとは言いますがいくら春でも1日中眠いとどこかおかしいのではないかと心配になってきますね。眠気のせいで仕事の能率が下がったり、休日の予定をダメにしてしまったりと生活に与える影響も少なからずあります。
もしかしたらそのひどい眠気は病気かもしれません。
●眠気から考えられる病気
1.過眠症
過眠症は睡眠障害のひとつで、名前の通り『過度な眠り』が問題となっている病気でもあります。
過眠症は特発性と反復性に分かれており、特発性過眠症の場合には昼間の眠気と夜間の10時間以上の眠気があります。一方で反復性過眠症の場合には眠気の間隔は定まっておらず、いつどこで眠くなるかがまったくわかりません。
傾眠期と呼ばれる眠気のひどい時期は短くても3日程度、長ければ1か月近く続くことがあります。
2.ナルコレプシー
過眠症の一種ですが、特発性過眠症や反復性過眠症に比べると人数がやや多い病気です。
ナルコレプシーがほかの過眠症と違うのは居眠りの時間が短いことです。
特発性過眠症なら数時間の居眠りなのに対してナルコレプシーは30分程度です。
また、眠気というよりも急に体が虚脱状態に陥って倒れる、金縛りがひどいなどの症状に悩まされるケースもあります。
3.低血糖
病気というよりは症状ですが低血糖も眠気を引き起こすことがわかっています。
低血糖というのは体に糖分が足りていない状態で、体にとって糖分はエネルギー源です。
体の中に十分なエネルギーがないので体や脳を正しく動かすことが出来ずに眠気がひどくなるのが低血糖での眠気の仕組みです。
なお、ほかの病気の眠気に比べても強い眠気になるケースが多いです。
強い眠気、ひどい眠気から考えられる病気はいくつかあります。
良く寝ても寝たりない、いつでも眠いという方は病気を疑ってみても良いでしょう。
ナルコレプシーを確かめる検査方法
重要な場面で眠くなってしまう、感情が高ぶると眠気がいきなりやってきて我慢できないという症状に悩んでいる場合、ナルコレプシーの可能性もあります。
ナルコレプシーの検査方法を見ていきます。
●問診
ナルコレプシーかもしれない、何らかの睡眠障害があるかもしれないと感じたときには、まず睡眠専門外来や心療内科に足を運ぶと思います。
そこで医師によって行われるのが問診です。
眠りについてどんな問題が起きているのかを医師が把握し、正しい診断を下すための第一歩です。
●睡眠ポリグラフ検査
睡眠ポリグラフ検査は睡眠の様子を科学的に確かめる検査です。
睡眠中の脳波や呼吸がどうなっているかを調べます。
ナルコレプシーの検査では、日中の睡眠ポリグラフ検査と終夜睡眠ポリグラフ検査があります。
終夜睡眠ポリグラフ検査では、一晩を通して睡眠状態を確認します。
●覚醒維持検査
睡眠ポリグラフ検査とは異なり、覚醒しているときの検査です。
2時間ごとに1日4回の睡眠ポリグラフを測定します。
眠気をどれくらいまで我慢できるかを検査しています。
●血液検査
日本人のナルコレプシーの患者はHLAという抗原において健常者との違いが現れます。
HLA-DR2とDQ1という物質の陰性・陽性のチェックを行います。
●その他の検査
眠気の強さに関する検査、睡眠生活を確かめる検査があります。
ナルコレプシーの5つの症状
睡眠障害の中には、睡眠自体が異常である睡眠異常という分類があります。
睡眠異常の代表格である、ナルコレプシーの5つの症状を見てみます。
●眠気
ナルコレプシーの症状の中で、もっとも頻繁に起こると言われている症状です。
突然眠気に襲われて、起きていられないような状態になります。
会議中、試験中などであってもナルコレプシーの人は寝てしまう可能性が高いです。
ナルコレプシーの人が『生きにくい』と感じるのは、突然の眠気によって社会的評価が下がることがあるからです。
大事なときに寝る怠け者と思われることもあり、問題解決には周囲の理解も必要です。
●情動脱力発作
感情が動いたときに姿勢筋が力を失う症状です。
名前の通り脱力する感じだと思ってください。
怒ったり、喜んだりといったような興奮状態で首やひざの力がぬけて倒れこむこともあります。
軽度の場合は人に気づかれない程度ですが、重度だと立ち上がれないほどです。
●睡眠麻痺
いわゆる金縛りというものです。
悪夢と一緒に現れる場合が多く、健常者にもみられる症状ですが、ナルコレプシーの患者の場合は頻度が高いです。
●熟眠障害
ナルコレプシーの患者は、日中だけではなく夜の睡眠時にも問題を抱えています。
その一つが熟眠障害で、深いノンレム睡眠をしているときに急に浅いレム睡眠がやってくるというものです。
睡眠の質が悪いといえるでしょう。
●自動症
自動症は眠気を我慢していると起こる症状です。
自分はほとんど意識がなかったのに、なぜかノートに変な文字のようなものが書かれている、という経験がある方もいるかもしれません。
眠気を我慢しているときの無意識の行動(普段の行動と関係があるもの)を自動症と呼びます。
大事な時でも眠くなる(泣)ナルコレプシーの治療方法
日中にもひどい眠気が襲う病気がナルコレプシーです。
重度の患者の中には、道端で突然倒れこむように眠ってしまう人もいます。
●ナルコレプシーの2つの治療法
ナルコレプシーには2つの代表的な治療法があります。
それが生活指導と薬物療法です。
睡眠は、人間の体にとって非常に重要な時間です。
そして、睡眠は小さなストレスなどでも乱れが出やすいものでもあります。
もともとナルコレプシーの人は、病気のせいで睡眠の質があまりよくありません。
そのため、ストレスをためてしまうと余計にナルコレプシーの症状がひどくなります。
睡眠の質をこれ以上下げないように、そして暮らしやすくするためには生活指導も欠かせません。
●ナルコレプシーの生活指導
ナルコレプシーの治療法における生活指導では、自分の睡眠の状態を知ることから始まります。
どれくらい眠っているのか、昼間と夜で合わせるとどれくらいか、パターンが見られるかなどを調べていきます。
同時に、規則正しい生活を行うこともナルコレプシーの生活指導として適切だといわれています。
●薬物療法
薬物療法は体内の物質に作用する薬物を使ってナルコレプシーの症状を緩和させる治療法です。
精神刺激薬、覚醒するタイプの薬を使ってナルコレプシーの中心的な症状である居眠りが出ないようにします。
●完治は難しい
ナルコレプシーはまだ謎の多い病気で、完治は難しいという見解を持つ医師が大半です。
ただ、薬を飲んで食事やストレスに気を付けていれば症状が軽くなって生活に与える影響が少なくなります。
急に眠ってしまって危険!睡眠障害の人は運転免許をとれるの?
睡眠障害の中でもナルコレプシーなどを持っていると、運転中に急に眠ってしまうことも考えられます。
また、入眠障害、熟眠障害の場合も、昼間に急に眠気が襲ってきて事故を起こしかねません。
●睡眠障害と運転免許
睡眠障害と運転免許に関する研究では、睡眠時無呼吸症候群に罹患している方とそうではない方の居眠り運転、居眠り事故についての研究が有名です。
調査結果によれば、睡眠時無呼吸症候群を患っている方はそうではない方に比べると、居眠り運転と居眠り事故の経験割合が2倍以上とわかりました。
このことから睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠障害の方は、運転をするに当たり危険要素がより大きいといえます。
重度の眠気の症状を呈するタイプの睡眠障害の方は、運転免許をとることができません。
道路交通法や道路交通法施工令によって定められています。
●睡眠障害の危険性
道路交通法で定められた病気に罹患している場合、運転免許はあきらめることとなります。
ですが、法律上は運転免許をとることが出来ても、実際の運転に危険が伴うという方は少なくありません。
睡眠障害を持っているものの、法律上は運転免許の取得が可能である方が運転をするときには注意が必要です。
●睡眠障害の方の運転時の注意
睡眠障害でなおかつ運転免許を持っているという場合、基本的には運転の頻度を少なくした方がよいです。
昨晩は特に眠れなかった、何度も起きてしまったというように、症状がひどいときには運転の予定があっても公共交通機関で移動したほうが良いでしょう。
また、免許更新のときには忘れずに病状の申告をすることも大切です。
(Photo by: [http://www.ashinari.com/2012/11/19-373284.php])
著者: カラダノート編集部