関節痛・腰痛
リウマチ治療薬のいろいろ 効果や効能など
抗リウマチ薬アザルフィジンが処方されたときに、注意したいことがいくつかあります。
アレルギーや腎臓・肝臓に注意
アザルフィジンは、関節リウマチの炎症を抑えて病状の進行を遅らせる薬です。次のような傾向がある場合には、注意が必要です。
・サルファ剤へのアレルギーがある
・肝機能が低下している:副作用として肝機能障害や黄疸が起こることがある
・腎臓に障害がある:副作用として腎機能不全が起こることがある
・血液の病気を持つ
・喘息がある
・妊娠中:使用できますが、使用時期など医師の診断が必要です
飲み合わせにも注意が必要
・スルホニルウレア系の血糖降下剤や抗血栓薬のワルファリンなどは作用が強くなる可能性があります。
・強心剤ジゴキシンは、薬の吸収が低下する可能性があります。
・アザチオプリン:骨髄抑制の副作用が強まる可能性があります。
効果を焦らない
リウマチの治療は、すぐには効果が現れてこないのが特徴です。2ヵ月目くらいから効果がわかってきます。このため、薬を飲み初めても途中でやめてはいけないのです。
2ヵ月くらい継続してもまったく症状がよくならない場合には、医師が薬の変更等を考えることになっています。その場合には、副作用を含めて、血液を調べたり、肝機能や腎機能のチェックも重要になってきます。
爪や汗、尿がオレンジ色になる
アザルフィジンは、リウマチ治療薬としてよく使われているものの一つです。とくに妊娠中にも使用できるものとして注目されています。
使用していると皮膚や爪、尿、汗がオレンジ色になることもあります。これは薬の成分の色ですが、気になる場合には医師に相談しましょう。
また、ほかにも発疹やかゆみ、嘔吐などの副作用が現れる場合もあります。
飲んで効く!新しい抗リウマチ薬ゼルヤンツ
関節リウマチの治療薬として、新しい薬「ゼルヤンツ」が注目されています。
免疫を押さえる分子標的薬
新薬ゼルヤンツは、免疫の仕組みを止める薬です。関節リウマチでは、関節に自己免疫疾患の結果として、自分の関節を自分の免疫系が攻撃し、関節破壊をもたらします。この現象の「免疫系の攻撃」を止めることがゼルヤンツの目的です。免疫は、免疫細胞内の信号(シグナル)が発信されることで、免疫細胞が活性化し、炎症がおきます。このシグナルをとめる働きとして、シグナルを発生させるシステムの酵素分子の一つ(ヤヌスキナーゼ :JAK)を止める作用を持つため、ゼツヤンツは「分子標的薬」と呼ばれます。
飲み薬であることがポイント
他のリウマチの治療薬、とくに生物学的製剤との大きな違いは、飲んで効く薬だということです。生物学的製剤は、抗体というタンパク質でできているため、飲んでも効果がなく、治療には注射が必須です。また、多くの抗リウマチ薬は患部近くの筋肉への注射になります。ゼツヤンツは細胞の中の酵素に働く薬で、非常に小さな分子でできているため、口から飲んでも吸収されて血液に乗り、全身で効果を発揮します。
副作用は感染症
注射ではないために治療の負担が少ないことから、患者にはありがたい薬ですが、同時に全身で免疫がうまく働かない、ということになります。従って、一番心配される副作用は、重篤な感染症です。身体の免疫系が外部からの病原菌を攻撃しないため、結核など深刻な感染症が起きてしまうのです。
リウマチをはじめ、自己免疫疾患病の治療は、自分を守るはずの免疫系のコントロールが困難であるため、とても難しいのです。ゼルヤンツは免疫系を止める素晴らしい薬ですが、同時に自分を守ることができなくなる怖さを併せ持っています。現在、リウマチの治療では、生物学的製剤でも治療効果が得られない場合に限って、ゼルヤンツの使用が検討されることになっています。薬はその副作用を含めて総合的に判断しないと選択できませんので、医師の判断を守りましょう。
2012年に誕生、日本生まれの抗リウマチ薬!イグラチモドとは?
リウマチ治療に使われる抗リウマチ薬はアメリカ、イギリスなどで作られた薬が多いです。そんな中で2012年に日本発の抗リウマチ薬が承認されました。イグラチモドという名前の薬で、商品名は『ケアラム』『コルベット』のどちらかでの販売となっています。
イグラチモドとは?
イグラチモドは過剰な免疫機能を調整するための薬です。リウマチ治療の中でも、対症療法ではなく根本治療に使われる薬です。イグラチモドの特徴は、現在主流となっている免疫抑制剤よりも感染症のリスクが少ないことです。
免疫抑制剤を使うと、すべての免疫機能が抑制されて感染症にかかりやすくなってしまいます。ですが、イグラチモドの場合はすべての免疫機能に影響するわけではないので感染症のリスクが少ないです。
どんな風に使われる?
2012年に誕生したばかりの薬ですので、今後どんどん治療に組み込まれていくことが予想されます。予測されるのは、既存の免疫抑制剤との併用です。日本で最も多く使われている薬であるメトトレキサートと併用する、もしくは代替として利用することによる効果も認められている薬です。メトトレキサートはどちらかといえば副作用が強いタイプなので、使用できないという方もいます。
注意点
ほかの多くの抗リウマチ薬がそうであるように、イグラチモドにも催奇性が見られます。妊娠中の方は胎児に与える影響があまりにも大きいので、イグラチモドを服用することは出来ません。また、胃腸障害の可能性もあるので、ほかの薬との併用には十分注意が必要です。
注意点はありますが、リウマチ治療においてイグラチモドはこれから期待されていく薬といえるでしょう。
関節リウマチ治療薬「エンブレル」とは
関節リウマチの治療薬の一種である生物学的製剤は、関節の炎症や骨・軟骨の破壊の原因となるサイトカインの異常増殖を抑える効用を有する薬です。このサイトカインの一つに効果のある薬がエンブレルと呼ばれる薬です。エンブレルは90以上の国および地域ですでに承認または発売されている薬です。日本においては2005年1月に厚生労働省によって関節リウマチ治療薬として承認されました。この薬は注射による投与となり、病院に通って注射を受けることができますが、自分自身または家族によって注射をすることもでき、これを自己注射といいます。
エンブレルの自己注射には以下のプロセスを踏む必要があります。
エンブレルの自己注射に必要なプロセス
自己注射をするためには、まずエンブレルを通院によって投与をすることが重要です。そして、かかりつけのお医者さんから自己注射の説明を受け、自己注射を希望するかどうか判断しましょう。自己注射を希望してから、トレーニングを受けることとなります。トレーニングを受けて、自己注射の手順を習得してはじめて自己注射を開始することができます。
自己注射の利点と注意点
自己注射の利点はこの薬の投与のために通院をする必要がなくなり、時間的・金銭的・肉体的負担が軽減されるということで、患者の生活の質が向上することができます。他方で、病院に行く回数が減ることで副作用の発見および対応が遅れる場合があるという注意点を忘れてはいけません。特に発熱や咳、のどの痛み、血圧の下降などが見られた場合は、次の診察日を待つことなく、すぐにかかりつけの病院に行きましょう。
まとめ
通院の負担を軽減してくれるエンブレルの自己注射は大変便利ですが、注意点もしっかり理解した上で、自己注射を行うか判断しましょう。
アザルフィジンENやリマチル…よく使われる抗リウマチ薬
リウマチの治療には、痛みを抑えるための消炎鎮痛剤と、関節破壊を抑制する抗リウマチ薬が使用されます。
抗リウマチ薬とは
以前は、関節リウマチの治療は痛みを和らげる対処療法が中心でしたが、現在では関節破壊のメカニズムの解明が進み、様々な薬でその抑止がある程度できるようになりました。
【メトトキサレート(MTX:リウマトレックス)】
世界で最も使用されている抗リウマチ薬です。この薬によって関節の腫れや痛みがひき、関節破壊の進行を遅らせることができます。ほとんどの方に効果がありますが、他の薬との併用療法が取られる場合も最近では増えています。
重篤な副作用として、骨髄抑制と間質性肺炎があり、死亡例もあることから高齢者への投与は注意が必要とされています。
【アザルフィジンEN】
国内では最初に使用されることも多い抗リウマチ薬で、MTXとの併用も多い薬です。海外ではさらにもう一つ(ヒドロキシクロロキン※日本では使用できません)を加えた3剤併用療法が注目されています。
副作用として、アレルギー性と考えられる皮膚湿疹や発熱、肝機能障害、胃腸障害などがあります。稀に骨髄抑制が起きるケースもあり、投薬期間中の定期的な血液検査が必要です。
【リマチル】
日本で開発された抗リウマチ薬です。
副作用として、皮疹、蛋白尿があり、稀に味覚障害や肝機能障害、胃腸障害が起こります。また、薬の効果がある場合に蛋白尿となりやすい傾向があり、定期的な尿検査が必要となります。
類似の薬でメタルカプターゼという薬剤があります。
【アラバ】
2003年に発売された新しい抗リウマチ薬で、欧米ではMTXと同等の評価がありますが、国内では導入当初、間質性肺炎の発生率が高かったため、あまり使用されていません。
軟便・脱毛・肝機能障害などの副作用が約半数に起こり、稀に間質性肺炎や骨髄抑制などの重篤な副作用が起きます。
【シオゾール】
金がその薬の成分に入っているため、「金製剤」と呼ばれる注射型の抗リウマチ薬です。定期的に筋肉内に投与します。
主な副作用は皮疹、胃腸障害、蛋白尿などで、稀に薬剤性の肺炎を起こすことがあります。
これらの薬は即効性があるものではないため、一定期間、継続して使用する必要があります。また、最近では生物学的製剤が注目を集めていますが、薬価が高く、長期間の使用が困難なケースが多いため、これらの薬剤との併用療法が奨められるようになっています。
リウマチの治療は長期間にわたります。薬剤療法も定期的な検査で副作用をコントロールすることも大切となってきます。自己判断せずに、きちんと投薬を続けましょう。
炎症を抑えてリウマチに効くアザルフィジンとは
抗リウマチ薬としてよく使用されるアザルフィジンは、炎症を抑える薬です。その作用から、潰瘍性大腸炎の治療薬としても利用されています。
成分はサラゾスルファピリジン
アザリフィジンは、その成分名をサラゾスルファピリジンといいます。同じ成分が、潰瘍性大腸炎の治療薬としても使われます。どちらも炎症を抑える作用で効果を発揮します。
サラゾスルファピリジンは、経口薬として飲んだ後、腸に運ばれ、1/3が小腸から吸収されて血液中に入っていきます。血液中で、この成分は白血球などの免疫細胞に作用して、炎症を抑える手助けをします。
潰瘍性大腸炎では分解物が効く
小腸では吸収されなかった残りの成分は、大腸の腸内細菌によって分解されて5-アミノサリチル酸(5-ASA)というものに変わります。これが大腸での潰瘍性大腸炎の炎症を抑えることがわかっています。
リウマチの場合には
関節の炎症である関節リウマチの場合には、関節で炎症を起こしている免疫細胞の暴走を抑制することが大切です。そのため、分解物よりも血液に取り込まれた成分の方がより効果を発揮していると考えられています。T細胞依存的な免疫応答と、免疫をコントロールするサイトカインIL-1、2、6を抑制します。その結果、過剰に起こっている関節の炎症が抑えらえるのです。
関節リウマチは、自分の関節滑膜を自分の免疫機能が攻撃して破壊してしまう病気です。そのため、過剰に活性化している自分自身の免疫機能を押さえることで、炎症を鎮め、症状の進行を遅らせることが病状の悪化を食い止めることにつながります。こうした治療薬を使用している場合には免疫機能がさがっているため、感染症等に十分な注意が必要です。
(Photo by:http://www.pakutaso.com/)
著者: カラダノート編集部