不眠・睡眠障害
昼夜逆転の正体!?睡眠相後退症候群とは?職業や男女差によるちがいとは?
睡眠相後退症候群は、睡眠障害の分類では概日リズム障害に分類されています。
また、DSPSということもあります。
●睡眠相後退症候群とは
睡眠相後退症候群とは、簡単にいえば昼夜逆転を指しています。
昼眠り、夜起きているという生活です。
とはいえども、子どものころから昼眠り、夜起きるという生活をしている人は少ないです。
成長過程のどこかで夜更かしをしたり、睡眠時間が乱れるような習慣を身に着けた結果として、睡眠相後退症候群があります。
●睡眠相後退症候群と光
睡眠相後退症候群には、光と人間の脳が関係しています。
よく朝の光を浴びるとすっきりと目覚められるといわれますが、それには根拠があります。
人間の脳は朝の光によってリセットされ、25時間の体内時計を24時間の1日という時間に合わせています。
逆に言えば、朝の光を浴びることがなければそのまま体内での1日のリズムは1時間ずつずれていきます。
光に関してはもうひとつ、夜の光もあります。
夜の光は、脳の時計を遅らせる性質があるので、朝の光を浴びず夜に光を浴び続けると自然と概日リズム障害となります。
●睡眠相後退症候群の影響
睡眠相後退症候群は生活に与える影響が大きいとされています。
というのも、睡眠相後退症候群で昼夜逆転の生活が続くと、改善しない限り選べる職種が少なくなるからです。
特に、学生にとっては睡眠相後退症候群の治療はもっとも優先すべきことと言えます。
学校は朝8時半や9時といった早い時間に始まるので、それに合わせて生活できるように睡眠相後退症候群の治療を進めなければなりません。
睡眠相後退症候群になりやすい職業とは
睡眠相後退症候群は睡眠のリズムがどんどん後退する病気です。
最初は夜11時に眠っていたのが、夜12時、夜1時、夜2時…といったように後退していきます。
上記のように規則的に1時間ずつ遅れるというわけではなく、人によって睡眠時間が後退するまでの期間、睡眠時間が後退する要因は異なります。
●睡眠相後退症候群と生活
睡眠相後退症候群は生活と密着している病気と言われています。
どんな時も毎日夜10時に寝て朝6時に起きるという生活を繰り返していれば睡眠相後退症候群にかかる可能性は非常に低くなります。
夜更かしなどによって初めに少し睡眠リズムが崩れ、それが常態化したのが睡眠相後退症候群と考えられます。
●睡眠相後退症候群と職業
睡眠相後退症候群は夜起きていることによって発症する場合がほとんどです。
そのため、職業柄睡眠相後退症候群になりやすいという人もいます。
夜勤が基本となる職場に勤めている人、時間帯が不規則で眠れる時に眠っておかなければならないタイプの職業に就いている人は、睡眠相後退症候群やそのほかの概日リズム障害になりやすいです。
看護師、介護職など24時間人の手が必要とされる現場で働く人は特に、概日リズム障害には気を付けたいところです。
●睡眠相後退症候群と学生
意外と睡眠相後退症候群の患者には学生も多いのではないかと考えられます。
というのも、学生の中には徹夜して勉強する、夜遅くまで勉強したりアルバイトをしたりという生活を送る人も少なくはありません。
また、老人に比べると基礎的な体力があることから最初のうちは徹夜の影響もあまり出ません。
そのうちに徹夜が習慣になって、学校生活に影響を及ぼす場合もあります。
眠れる森の美女?! クラインレビン症候群の実例
クラインレビン症候群は反復性過眠症のひとつで、周期性過眠症とも呼ばれています。
また、通称『眠れる森の美女症候群』と呼ばれることもあります。
その由来は長い間眠り続けていることからです。
数週間の眠りにつく患者も少なくはありません。
●クラインレビン症候群の原因
クラインレビン症候群は原因が特定されておらず、治療法も確立されていない病気です。
反復性過眠症は、月経関連過眠症に比べると患者数が少ないと言われています。
潜在的な患者数はわかりませんが、報告があるクラインレビン症候群の患者は世界で1000例です。
今から紹介する2例は女性の症例ですが、統計で見てみると女性よりも男性の方がクラインレビン症候群にかかりやすいことがわかっています。
●クラインレビン症候群で2週間眠る少女
クラインレビン症候群にかかっているイギリスの少女は2週間眠り続けます。
もともと最初の経眠期間は2週間ではなく10日間でした。
2週間の傾眠期には、彼女は1日22時間眠ります。残りの2時間は、食事とトイレのための時間です。
また、彼女は傾眠期に入る直前にイライラするという症状もあります。
2週間の傾眠期の影響で、試験を受けられない・授業についていけないという問題を彼女は抱えています。
●クラインレビン症候群で数か月眠る少女
同じくイギリスの少女の例ですが、先に紹介した少女よりも傾眠期が長いのが特徴です。
1度眠ると2か月以上も眠り続ける彼女は、やはり学業的な面での問題を抱えています。
2週間眠る少女と同じように、傾眠期には20時間以上を眠りに費やしています。
ですが、彼女の場合は2週間眠る少女と違って傾眠期に入る前の行動パターン、感情に普段との違いがそれほどありません。
子供に多い?夜驚症と夢遊病…自然に治るものなの?
睡眠時随伴症のうち、覚醒障害は子どもに多いです。その中でも代表的な夜驚症と夢遊病について見ていきます。
●夜驚症とは
夜驚症は夜に突然、子どもが覚醒状態になることです。
覚醒しているとは言ってもノンレム睡眠のときに起こる症状ですので本人は覚えていません。
不完全な覚醒状態で悲鳴を上げたり、おびえています。
一種のパニック状態なので、初めて夜驚症の子どもの様子を目にしたお母さんやお父さんの中には戸惑ってしまうという方も少なくはありません。
悲鳴をあげはするものの、声をかけても返事はありません。ちなみに子どもの3%が夜驚症にかかるといわれています。
●夢遊病
夢遊病の場合は悲鳴やパニックはないものの、部屋の中を歩き回ったりする症状です。
夜驚症の子どもの3分の1は夢遊病も併発しています。
夢遊病の場合も夜驚症と同じで声をかけても子どもには聞こえていません。
●夜驚症や夢遊病は自然に治る?
夜驚症や夢遊病は多くの場合、自然に治ると言われています。
夜驚症にしても夢遊病にしても、発症しやすいのは3-4歳から11-12歳までの間です。
小さいころから夜驚症や夢遊病に悩まされている子でも、中学校にあがる頃には治っている場合も多いです。
●治療法はあるの?
もちろん治療方法もあります。薬物療法、運動療法、生活習慣の見直しによってこれらの症状は軽くなります。
また、お子さんにもよりますが就寝時の不安感・心の負担を減らすことが治療になる場合もあります。
医師と相談したうえで適切な治療に臨んでください。
男女で違う眠り!女性にだけ見られる過眠とは?女性と男性では必要な睡眠時間が違う!?
男女では脳の使い方に違いがあるという説があります。
同じように、男女の眠りには違いがあるという説も存在しています。
●女性にだけ見られる過眠
女性に見られる過眠に、月経関連過眠症があります。
女性の体は1か月の中でホルモンバランスが大きく変わるようにできています。
女性ホルモン分泌のサイクルは、人にもよりますが平均して28-32日で、前の月経終了から次の月経開始までが1回の女性の性周期です。
ホルモンの影響で、女性は月経前の数日間は過眠になりやすいとわかっています。
調査によれば、女性の4割は月経前、月経中とそれ以外のときでは睡眠状態が異なると回答しました。
その中で最も多いのが月経前過眠で、月経前に日中の眠気がひどく出ます。
これは男性には見られない過眠です。
●女性と男性では必要な睡眠時間が違う?
イギリスの研究によって、女性は男性よりも20分多く寝た方がよいとわかりました。
イギリスのラフバラー大学の研究チームは、『睡眠は脳機能の回復を目的とする面がある』ことから男女の脳機能を見て、必要な睡眠時間に違いがないかを調べました。
結果として、女性は男性に比べるとひとつの物事に対して脳内での活動域が広いことがわかりました。
つまり、女性の方が脳のさまざまな部分を使って柔軟に物事を考えているということです。
男性は脳内の活動域は狭いですが、ひとつのことに集中する力に長けています。
この研究では、活動域の面から考えて、女性の方が脳の機能回復のための時間が男性よりも20分多く必要と結論付けています。
寝過ぎると身長が伸びない、疲れがとれない?成長ホルモンとは
休日の前日に夜更かしをして翌朝昼近くまで寝てしまった、という経験はありませんか?
「寝る子は育つ」といいますが、寝過ぎてしまうと健康に害を及ぼします。その理由の一つに「成長ホルモン」の分泌低下というものがあります。
■体を修復・成長させる成長ホルモン
人が眠っている間に多く分泌されるホルモンに、成長ホルモンがあります。入眠してから1~3時間後に最も盛んに分泌されるようです。この時間帯は一番眠りが深い頃であり、眠りの深さ(質の良さ)が深いほど成長ホルモンも多く分泌されます。
ところが、寝過ぎてしまうという人は眠りが浅く、いつまでも疲れがとれないということが多く、ホルモンも少なめになってしまいます。成長ホルモンは、成長期には骨を伸ばしますので身長に影響します。
もちろん大人でも分泌されており、日中傷ついた筋肉などの組織を修復する働きをします。よって、寝過ぎは子供の成長にも、大人の健康の維持にも悪影響を及ぼします。
■寝不足も寝過ぎも寿命が短くなるというデータも
寝不足の生活を続けると寿命が縮むというのは想像がつきやすいですが、統計によると実は寝過ぎの生活をしている場合も寿命が短くなるようです。
自分に適した睡眠時間というのは人それぞれ個人差がありますが、7時間前後の睡眠時間をとっている人は長生きの傾向にあるようです。寝過ぎるというのは心身のどこかに不調があり、それが寿命にも影響しているのかもしれません。寝過ぎてしまうという人はその原因を探り、最適な睡眠時間を見つけて習慣づけていくようにするとよいでしょう。
健康な身体で有意義な時間を過ごすためには、自分に適した睡眠時間を知り、リズムを崩さないようにすることが大切です。
(Photo by http://www.ashinari.com/2012/07/25-366071.php)
著者: カラダノート編集部