気になる病気・症状
全身で炎症?敗血症の原因菌って?発症しやすい人ってどんな人?予防・治療方法とは
敗血症と言う疾患は正式には全身性炎症反応症候群と言われる疾患です。この敗血症はあまり健康な人が引き起こすものではありませんが、免疫の弱い人などは注意する必要があります。
敗血症の原因となるもの
虫歯やおできの細菌
虫歯やおできといったものができるのは誰でもあります。こうしたものはそれ自体大したことのないものですが、しばしばそれらを引き起こしている細菌が血液中で増殖してしまって敗血症が引き起こされることがあります。
肺炎などの細菌
敗血症は感染症にくくられます。感染症と言うと、上記の虫歯やおできといったことからは想像しにくいかもしれませんが、上の原因の他にも肺炎の原因菌や尿路感染症の原因菌などあらゆるものが敗血症引き起こす原因菌になり得ます。
以下に敗血症の原因となり得る細菌を記載します。
グラム陰性桿菌
大腸菌
緑膿菌
クレブシェラ菌
グラム陽性球菌
腸球菌
表皮性ブドウ球菌
MRSA真菌
ガンジダ菌
原因不明の場合もある
敗血症の症状が出ても原因菌が特定できない場合もあるようです。
敗血症の症状は細菌によって引きこされるものですので、原因菌に合わせた抗生物質を投与することが治療の軸になるのですが、セオリーとしては血液中の原因菌を培養して特定するものが、早急に治療を開始しなければならない場合や、原因が特定される前に治療を行ってしまう判断がなされた場合にはいくつかの抗生物質を組み合わせて投与し様子を見るという方法がとられることもあるようです。
日常生活の中で、無菌状態で生活をすることはできません。健康で免疫機能が正常に働いている体であれば問題ありませんが、免疫力が低下しているときや、毒性の強い細菌に感染した場合には、適切に治療を受けることが賢明です。
敗血症ってどんな原因で起こるの?発症しやすい人ってどんな人?
◆敗血症ってどんな病気?
まずはじめに、敗血症とはどんな病気なのでしょうか?
敗血症は、全身性炎症反応症候群とも呼ばれます。体のどこかに侵入した細菌が血液中で増殖し、血流の循環によって体中へと細菌が拡大していく病気です。虫歯やおできが原因となって発症することも珍しくはありません。
症状としては急な高熱が現れたかと思うと熱が下がり、しばらくするとまた熱が生じるというような不規則な発熱が生じます。また、脈拍の回数が増えたり、呼吸がしにくかったり、急激に温度が下がる低体温が生じることもあります。
このような症状が見られる敗血症ですが、どんな人が発症しやすいのでしょうか?こちらで簡単に説明します。
◆敗血症になりやすい人はこんな人
上記で述べましたように、敗血症は細菌が原因となって生じる病気です。なので、抗生物質が普及した近年ではあまり多くみられない病気かもしれません。
しかし、お年寄り、妊婦、手術後間もない病人、といった抵抗力が弱まっている人に加え、慢性の消耗性疾患(癌や白血病など)、糖尿病、放射線治療・副腎皮質ホルモン薬・免疫抑制薬を長期にわたって用いている人などが感染症になった際に敗血症を続発しやすいとされています。
また、生まれつき心臓病や腎臓病を患っていて免疫力が非常に弱い乳児も敗血症になりやすいです。ですから、おできなどの可能性の病気や傷などにも細心の注意が必要になり、軽傷にも気を配る必要が十分にあります。
このようなことからわかるように、敗血症は健常者の人が急に発症するような病気ではありません。何らかの原因で免疫力が低下したり、毒素の力が非常に強い細菌に感染した際に十分な治療が施されなかった場合に、発病してしまいます。
ですから、体に何らかの以上が生じた場合には、すぐに病院などの医療機関に受診し、治療を受けるようにしましょう。
血管内部に細菌が入り込む疾患「敗血症」による全身の炎症
敗血症は血管内部に細菌が入り込む疾患のことですが、その症状は血流を通して全身に細菌感染が広がり、全身性炎症反応症候群を発症します。
敗血症の症状のほとんどは、その全身の炎症のよって引き起されるものなのです。
■血液の細菌感染による全身炎症
●血流を通して全身に細菌が感染
敗血症とは身体の一部に感染し増殖した細菌が、血液の流れに乗って全身へと感染を広げ、炎症が全身に起こる全身性会陰症反応症候群です。
全身に細菌が回り、広範囲の炎症によって様々な症状が引き起されます。
●全身性炎症による症状
1.発熱
全身に炎症が起こるため、炎症の広がった部位から著しい発熱が発生します。
2.鈍痛
身体の各所が、炎症によって鈍い痛みを感じるようになり、非常に強い倦怠感も伴うようになります。
3.多臓器障害
血液は全ての臓器を巡っており、細菌感染は原因疾患以外の内臓にも障害を及ぼします。特に血流と関わりの深い腎臓や肝臓、肺などが細菌によって炎症を起こし、更には機能不全を起こすことになる可能性もあります。
4.敗血症性ショック
敗血症を引き起す原因菌によっては、細菌が放出する毒素が限界を超え、細菌性のショック症状を引き起します。血管拡張による急激な血圧低下により、多臓器不全に陥り、死亡の危険もあります。
全身の炎症によって発熱や鈍痛が発生するだけでなく、炎症が内臓に及べば機能不全を引き起し命の危険にもなり得ます。
また、感染した細菌によっては毒素によってショック症状を引き起し死に至る危険性もあるのです。
このように危険な症状を伴い、血流を通して急激に感染が拡大し続ける敗血症は、可能な限り速やかな抗菌薬による細菌感染の治療が必要とされます。
集中治療が必要になることも…小児の敗血症を予防するには?
敗血症という疾患を聞いたことがある人は少ないかもしれません。
この名前だけを聞いてもどんな疾患なのかいまいち想像しにくいと思いますが、実際発症すると集中治療が必要になることもある怖い疾患でもあります。
敗血症と小児
特に敗血症に注意したいのは小児です。特別に小児敗血症ということもありますが、小児の敗血症は未だ罹患率が高く、死亡率も高い疾患です。
日本ではこの死亡率も次第に低くなってきてはいるようですが、殊発展途上国においては小児死亡の重要な原因の一つに挙げられます。先進国である日本でも小児死亡のひとつの問題として残っているくらいですから当たり前かもしれません。
予防できるの?
敗血症は正式には全身性炎症反応症候群と言われる疾患で、単純に敗血症と言う場合と、重症性敗血症と言う場合があります。
重症とつく場合には死亡率は約2割と、先進国の日本としては決して低い数字ではありません。ではそもそも敗血症を発症しない方法はないのかというと、明確に敗血症の発症を予防する方法はありません。
なぜなら敗血症は身近にある様々な細菌が原因になって起こる為で、小児をそれらが完全にない環境に置くというのは難しいからです。
完全な予防法はないが…
様々な細菌が原因になるのが敗血症ですので、日常生活の中で起こる細菌の感染を予防するためには手洗い・うがいをすることも必要です。
また肺炎球菌やインフルエンザに対する予防接種を受けることも敗血症を予防に効果のある一つの方法だとされています。
死亡率の高い敗血症は、その予防方法について研究が盛んに行われている分野の一つです。
そのため、敗血症に対するアピールの方法などまだまだこれから期待できる部分が多くあります。
敗血症の治療方法 強力な抗菌薬投与、様々な支持療法が必要不可欠!
◆はじめに
敗血症の症状の表れ方としては、悪寒や震えを伴う発熱が挙げられます。
しかし、重症の場合には、逆に低体温になることもあります。さらに心拍数や呼吸数の増加も生じ、血圧の降下や意識障害を起こすといったショック状態(敗血症性ショック)となる場合もあります。
また、敗血症により生命を維持する上で重要となる臓器が障害されると、呼吸不全・腎不全・肝不全といった、いわゆる多臓器障害症候群(MODS)を併発することもあり大変恐ろしい病気です。
こういった症状を生じる敗血症ではどのような治療が施されるのでしょうか?こちらで簡単にまとめましたので参考になさって下さいね。
◆敗血症の診断と治療方法
敗血症は血液の細菌感染症ですから、強力な抗菌薬投与とともに様々な支持療法が必要不可欠となります。昇圧剤、補液、酸素投与などの他にも呼吸不全・肝不全・腎不全などの臓器における障害に対しては、人工呼吸管理、持続的血液濾過透析(ろかとうせき)や血漿(けっしょう)交換などが必要になる場合もあります。
DICを併発してしまった場合には、タンパク質分解酵素阻害薬やヘパリンを使用します。また、副腎皮質ホルモン剤を短期間併用することもあります。最近では、敗血症において主な原因となっているエンドトキシン(細菌毒)を、グラム陰性桿菌(かんきん)によって吸着する方法など、新しい治療法が試みられています。
近年の抗生物質の進歩によって敗血症は決して多く見られる病気ではなくなりました。しかし、治療が遅れたり合併症の程度によっては、致命的な重篤な症状を伴う病気であることには変わりません。
ですから、早期に受診し、適切な治療を受けることが重要になってきます。体に何らかの異変を感じたら、放置せずにできるだけ早く病院などの医療機関を受診するようにしてくださいね。
(Photo by: [http://www.ashinari.com/2010/05/23-336999.php?category=51])
著者: カラダノート編集部