妊娠・出産
妊娠していても働きたい、働かなければ…仕事を続けるための制度活用法!
赤ちゃんを望み、妊娠がわかると、仕事を持つ女性にとっては働きながらつわりをどう乗り切るかというのが、最初の関門といえるかもしれません。その後も徐々に大きくなっていく身重の身体で働き、産後は乳幼児の育児をしながら、働くことになります。
妊娠・出産は、母体も命の危険にさらされる可能性もあるため、女性にとっては一大事な出来事です。そのため、母体保護を目的とした制度や法律があります。
今回は働く女性の妊娠・出産・育児にまつわる制度を紹介します。
つわりは病気休暇申請が可能
つわりは病気ではありませんが、通常の病気休暇と同じ方法で申請できます。必要な書類は診断書、または「母性健康管理指導事項連絡カード」です。
自己都合による欠勤扱いにはなりません。母性健康管理指導事項連絡カードは、病院か会社の総務で受け取りましょう。
母性健康管理指導事項連絡カード
このカードは、主治医が妊産婦の事業主に健康上の理由から特別な措置が必要である旨を具体的に伝えるカードです。詳しいことは、各都道府県の労働局雇用均等室に問い合わせてください。
通勤緩和措置で通勤時間をずらす
満員電車で通勤するのは、つわり中の人にはつらいもの。電車・バスといった公共交通機関を利用している人は、通勤時間をずらすことができます。
つわりの症状がおさまってからも、妊娠中の通勤には注意が必要です。そのため通勤緩和措置は、母子手帳の交付後から産前休暇を取る前日まで適用することが可能となります。
妊婦健診による欠勤
「仕事に支障がない範囲で」と注釈はつきますが、妊婦健診を理由に欠勤することも可能です。欠勤回数は妊娠の週数によって以下のように決まっています。
・妊娠23週までは4週間に1回
・妊娠24~35週は2週間に1回
・妊娠35週以降は1週間に1回
仕事後や仕事が休みの日に通える産婦人科が無い場合は、妊婦健診のための欠勤を利用すると良いでしょう。
産前産後休業と分娩にまつわる支給金
産前産後休業とは、出産予定日より6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)の産前と、分娩の翌日から8週間の産後の14週間前後の期間は、本人の希望があれば休むことができるというもの。ただし産後は、労働基準法によって本人の希望に関係なく、6週間は休業する必要があります。
出産手当金
働いている女性で、健康保険に加入している場合、被保険者の生活保障として健康保険より、産前産後休業期間に対して出産手当金が支給されます。支給額は給料のおよそ3分の2程度。ただし、国民健康保険に加入していたり、会社独自の制度などで産休中に給料が3分の2以上支払われる場合は、対象外です。
申請方法
まず産休に入る前に、会社の管理部や総務部など健康保険の担当部署から申請用紙をもらいます。そして産後、産院に申請用紙を提出。担当医師、もしくは助産師が申請用紙の記入欄に必要事項を記入。記入された申請用紙は、産後56日以降に健康保険担当部署に提出して下さい。
出産育児一時金
働いているいないにかかわらず、健康保険もしくは国民健康保険に加入している女性に支給されます。こちらは分娩費に充てることが主流で、産科医療補償制度に加入している産院で分娩する場合、支給額は被保険者・被扶養者共に42万円です。
また、直接支払制度と言って、自分を介することなく、健康保険から産院に分娩費の一部として直接支払うことができます。産院によってはこの制度に対応していないこともありますので、事前に確認しておきましょう。
育児休業は最長2歳までに
出産後、法律に基づき、育児のために取得できる休業のことです。1991年に「育児介護休業法」で制定されました。育児休業期間は原則、子が1歳になるまでですが、保育所に入れないなどの場合、最長1歳6ヶ月に達するまで延長することができます。2017年10月からは法改正により、2歳まで延長することができるように。
また、こちらの制度は女性だけでなく、男性も取得できるよう定められていますが、男性の育児休業取得は、まだまだ数少ないのが現状のようです。
育児休業給付制度
雇用保険に加入しており、一定の条件を満たしている場合に育児休業開始から180日までは給料の67%、それ以降は50%が支給される制度です。支給要件は細かく定められていますので、自身が資格をみたしているかどうか、会社の管理部や総務部など雇用保険の担当部署に確認してみてください。
正当な権利は遠慮せず利用しよう
職場での風当りを考え、これらの制度を利用しづらい人もいらっしゃるかもしれません。しかし法律で認められた権利です。自分のためにも、赤ちゃんのためにも、家族のためにも、遠慮せず利用しましょう。
職場によっては独自の制度を設けている場合もあります。まずはどんな制度があるのか、担当者に確認してみてくださいね。そして先輩ママがいれば、ぜひとも話を聞いてみましょう!
(Photo by :http://www.photo-ac.com/)
著者: カラダノート編集部