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『SSRI薬と抗精神病薬』の薬剤併用については注意が必要

 

『SSRI薬と抗精神病薬』の併用で、不整脈の危険性

 

2012年10月に10歳の児童が日本脳炎ワクチン接種を行ったところ、接種5分後に心肺停止となり、約2時間半後に死亡するという事故が報道されました。この事故の原因とされるのが、児童が服用していた精神薬『オーラップやジェイゾロフト』(広汎性発達障害と診断されたためその治療薬として)であり、この2剤は併用禁忌とされており、心室細動などの不整脈を引き起こす可能性があるとして使用には注意喚起が行われています。

 

通常、体内に入った薬物の代謝には、そのほとんどに『シトクロム』という酵素が関与しますが、薬物の中にはこの酵素を阻害する作用を持つものが存在します。今回の事故においてはこの酵素の阻害によって薬物血中濃度が上がり、心停止などの重篤な副作用を引き起こしたものと見られています。同様の事故を起こさないためにも、患者が自身で服用剤に対してよく管理することが重要だとされています。以下ではその詳細について見て行きたいと思います。

 

事故の詳細について

 

上記の事故の詳細としては、児童は広汎性発達障害と診断され、2012年6月より抗精神病薬【アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)】【ピモジド(商品名:オーラップ)】を内服、9月にSSRI薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)【塩酸セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)】を追加し、 3剤を併用していたとされています。

オーラップとジェイゾロフトは、心電図のQTを延長(下記参照)させ、心室頻拍を誘発させるとともに、ジェイゾロフトの薬剤代謝酵素阻害作用も加わり、薬剤血中濃度が上昇することからも併用禁忌となっています。また、それに加え予防接種を実施したことによる強い痛み刺激が体内カテコールアミン分泌を誘発したことも、心停止の原因とされているようです。

 

<なぜ発達障害に抗精神病薬が用いられる?>
オーラップ自閉症に対する適応が、唯一正式に認められている抗精神病薬であり、最近では非定型抗精神病薬(リスパダールなど)が使用されることが多くなってきたようですが、やはり広汎性発達障害に対しては使用されることの多い薬です。また近年では広汎性発達障害に対するSSRIの効果が注目されており、使用される割合も増加しています。

 

<SSRIとは?>
上記の事故において服用されていた『ジェイゾロフト』とは抗うつ剤の一種で、薬物代謝酵素であるシトクロムを阻害する作用が有り、もう一方の服用剤『オーラップ』の代謝を阻害しQT延長作用を生じさせたことが推測されます。SSRIとは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors、SSRI)の略称で抗うつ剤ですが、安定剤としても用いられます。セロトニン神経終末に存在するセロトニントランスポーターに特異的に作用し、セロトニンの神経終末への再取り込みを阻害し、シナプス間隙のセロトニン濃度の上昇によって、抗うつ作用を表すというものです。

 

<オーラップとは?>
上記で服用された『オーラップ』は、ブチロフェノン誘導体という抗精神病薬の一種で、ドパミンD2受容体遮断作用を持ち、統合失調症などの精神病の陽性症状に有効であるとされています。QT延長作用が注意喚起されています。


QT延長症候群とは?

 

QT延長症候群とは、心疾患が認められない患者に『突然死』が生じる疾患であり、『QT』とは心電図上のQ波からT波の間隔のことを指し、これが延長することで心室細動などの症状を呈するというものです。臨床的には先天性と後天性によるものがありますが、今回の事故は後天性QT延長症候群であり、様々な病的な状態(薬物・徐脈・低K血症など)が心筋カリウムチャネルをブロックすることでQT延長が引き起こされたものとされています。

 

QT延長を生じる可能性のある薬剤とは?

 

QT延長やまたその代謝酵素阻害作用を持つ薬剤は、以下になります。これらの薬剤の併用は禁忌とされています。

 

◆QT延長(心臓の電気的収縮時間の延長=不整脈や突然死の原因)と関係のある薬剤

 

◇抗精神薬
1)プチロフェノン系(ハロペリドール、ドロペリドール)
2)フェノチアジン系(クロルプロマジン)
3)ディフェニールピペリジン系(ピモジド)
◇非定型抗精神薬
リスペリドン、オランザピン、スルトビリド
◇抗うつ薬
1)三環系抗うつ薬(イミプラミン、アミトリブチリン、クロミプラ二ン、ノルトリブチリン)
2)四環系抗うつ薬(マプロチリン)

 

◆シトクロームP450(薬物代謝酵素)により代謝される薬、またはCYP阻害薬

 

◇抗精神薬
1)プチロフェノン系(ドロペリドール)
2)ディフェニールピペリジン系(ピモジド)
◇非定型抗精神薬
リスペリドン、オランザピン
◇抗うつ薬
1)三環系抗うつ薬(イミプラミン、アミトリブチリン、クロミプラニン)
2)四環系抗うつ薬(マプロチリン)

 

最後に

 

今回の事故では、常時精神薬を処方していたかかりつけ医と、予防接種の際の医師が異なっていたことから、服薬への把握が出来ていなかったことも原因のひとつと見られていますが、この事件についてコメントをしていた医師によると、通常予防接種を行っている現場は繁忙であり、個々人の服薬内容まで把握することは不可能であると述べています。今回のような事故を避けるためには、各家庭において服薬内容を出来る限りよく知り、また常時薬剤師に薬剤内容の不明点について相談するなど、副作用を引き起こさないよう自発的に対策を行うことが必要になります。

 

(photoby://pixabay.com/ja/%E8%96%AC-%E6%B2%BB%E7%99%82%E6%B3%95-%E3%82%BF%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88-%E8%96%AC%E5%B1%80-%E5%8C%BB%E7%99%82-%E7%97%85%E6%B0%97-%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82-257344/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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