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『iPS細胞』を使ったパーキンソン病治療、臨床研究の段階へ


『iPS細胞』を使ったパーキンソン病治療は臨床研究の段階に来ている
 

今月(2014年2月)、読売新聞の記事にてパーキンソン病治療について以下のような内容が公開されました。『iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ったパーキンソン病治療の臨床研究に向け、京都大が今年6月にも、再生医療安全性確保法(昨年11月成立)に基づく第三者審査委員会の設置を厚生労働省に申請することがわかった』。

 

京都大学の研究では、既にパーキンソン病のサルに対する移植実験が成功しており、今後の臨床研究では患者6人の血液細胞からiPS細胞を作り、それぞれ数千万個の神経細胞に変化させ、患者の脳に移植して1年間安全性の確認を行うということです。

今後のスケジュールとしては、手続きが順調に進んだ場合、2015年1月ごろから第三者委員会による審査が始まる見通しで、これを通過すれば、厚労相の承認を経て、早ければ2015年夏には臨床研究に着手可能とされています。ただ、患者の選定に時間が必要で、細胞の培養などに最短でも9か月はかかるため、移植手術の実施は2016年になる見込みとされています。以下ではその詳細について見て行きたいと思います。

 

パーキンソン病とiPS細胞について

 

<パーキンソン病の従来の治療とは?>
パーキンソン病は、脳の黒質と呼ばれる部分で『ドパミン(神経伝達物質)』を産生する神経細胞が減少することで、震振やこわばりといった症状が出る進行性の難病で、現在まで薬物や理学療法では対処療法のみであり、根本的なドパミン産生神経細胞の減少抑制や増加させるような方法は存在しませんでした

 

<iPS細胞とは?>

ES細胞のように受精卵を使用せずに、生体から採取した細胞をあらゆる臓器細胞へと分化する能力を有した『多能幹細胞』を人工的に作り出した物で、この細胞を脳内に移植することで神経細胞を補い、神経回路の形成と脳機能の再生を図ることを目的とした物です。

 

サルを用いた細胞移植試験の結果とは?

 

これまでのiPS細胞移植に関する研究では、マウスに対し自家細胞(自己の細胞から培養したiPS細胞)を移植した際に『免疫反応』が見られるという報告と見られないと言う報告の2通りの結果があり、議論に決着がついていませんでした。免疫反応が起きなければ、『免疫抑制剤』使用による副作用を回避することが出来、スムーズに移植を完了させることができます。以下は、サルを用いた細胞移植による免疫反応の実験が行われました。

 

<サルへの細胞移植試験の詳細>
1)3体のカニクイザルのiPS細胞からドパミン産生細胞を作製、移植を行った
3体のカニクイザルの細胞からiPS細胞を作製し、28日間かけてドパミン再生細胞へと分化させた。それぞれの脳内に『自家細胞、他家細胞』を移植、3ヶ月間免疫反応などの観察を行った。

 

2)自家細胞では、ほとんど免疫反応が起きないことを確認
他家細胞移植の場合、移植部位にリンパ球などの免疫細胞が集まってきたが、自家移植では免疫反応が見られなかった。生着に関しては、両細胞とも3~4ヶ月間免疫抑制剤なしで安定しているが、自家細胞の方がより多くのドパミン産生細胞が生着していた

 

⇒結果、パーキンソン病の臨床応用に向けては、自家細胞の方が望ましいことが明らかとなった

 

<今後の課題>

自家移植では、コストや時間がかかる問題があるので、今後は『HLA型を合わせたiPS細胞による他家移植で免疫反応がどの程度軽減されるか』を試験することが必要とされています。

 

その他の疑問点について

 

◇治療のリスクは?
移植する細胞の中に、自立的に過剰に増殖する細胞が混じっていると、やがて脳内で腫瘍となり手足の麻痺の発症に繋がるというリスクがある。現在はそれらの細胞が混ざらないようにする研究が行われており、万一起こった際は、放射線治療(ガンマナイフ)や摘出手術が可能とされている。

 

◇一般的な治療法として認可されるまでの期間は?
約7~12年程度と言われています。上記のように現在、動物実験の結果から安全性が確認され、国の審査会の審議と承認を経てから臨床試験が開始、その後移植準備期間を合わせて、およそ2年程度、また最初の臨床治療が開始されてからさらにヒトへの安全性に関する評価約5~10年程度必要と言われています。

 

最後に

 

上記のように、現在では最初の臨床試験の開始段階にある状態であり、一般的な治療法として導入されるまでにはまだ数年の時間が必要とされており、具体的な治療費なども不明であるとされていますが、それでも非常に急速な進度で実現に近づいているようです。人への安全性が承認されることを望みながら、実現を待ちたいところです。

 

(photoby://pixabay.com/ja/%E5%BE%AE%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6-%E3%82%BB%E3%83%AB-%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90-dna-%E5%88%86%E5%AD%90-%E7%94%B7-%E5%8C%BB%E5%AD%A6-%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%AE%A4-%E8%A7%A3%E6%9E%90-163470/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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