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『乳がん治療の第三世代薬』骨粗しょう症治療薬との併用に注意!『ハーセプチン投与』による効果とは?乳がん転移の治療法のその後は?

 

『アロマターゼ阻害薬』併用で副作用が出やすくなる?!

 乳がん治療薬の第一選択薬は、従来の『タモキシフェン』から『アロマターゼ阻害薬』へと変わり、その治癒率も向上したといわれています。

閉経後の早期乳癌患者を対象とした『術後補助療法大規模比較試験(ATAC)』では、後者の薬が有効性や副作用に関して優れているという結果が見られたためです。しかし、注意が必要とされているのが他剤との併用についてです。

 

アロマターゼ阻害薬は、上記の『タモキシフェン』や骨粗しょう症治療薬『ラロキシフェン』と併用すると、乳がん抑制効果が阻害されるなど様々な副作用が生じる可能性があるとして注意喚起が行われています。

 

1.『タモキシフェン』との併用は、乳がん抑制作用を阻害する

 『タモキシフェン』は、上記ATAC臨床試験において『アナストロゾール(アロマターゼ阻害薬)』との併用で、乳癌再発予防効果が阻害されることが明らかとなっています。

2剤の併用禁忌が広く知られている現在においては、薬剤師の処方箋のチェックが入ることで併用される心配はまずないとされていますが、万が一の場合に備え知っておくことは重要と言えます。

 

<タモキシフェンの作用機序>

乳がん細胞の核内に存在するエストロゲンの受容体への結合を拮抗的に阻害する事でエストロゲン作用を抑制する。

 

2.『骨粗鬆症治療薬(SERM)』との併用は、乳がん再発予防率を低下させる 

骨粗しょう症治療薬の『ラロキシフェン』は、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)と呼ばれる薬で、骨に存在する『エストロゲン受容体』を活性化しながら、乳房に対しては抗エストロゲン作用を示す(エストロゲンはガンを発生させる)という薬です。ですので、乳がん治療薬と相性がよく併用されることが多いです。

 

<アロマターゼ阻害薬は骨中エストロゲンを抑制する>

『アロマターゼ阻害薬』は、男性ホルモンであるアンドロゲン(※)をエストロゲンに変換する酵素『アロマターゼ』の作用を抑制することで、エストロゲン依存性の腫瘍の増殖を抑制するという薬です。エストロゲン産生抑制作用は、血液中だけでなく骨中にも働き、エストロゲン濃度も低下させます。

(※閉経後は、エストロゲンの分泌は卵巣からは極めて少なく、代わりに副腎から分泌されるアンドロゲンから変換されて作られる。)

 

<アロマターゼ阻害薬とラロキシフェン併用試験の結果とは?>

ATAC試験によると、『アリミデックス(商品名/アロマターゼ阻害薬)』と『エビスタ(商品名/ラロキシフェン)』を併用すると、アリミデックス単独よりも乳癌再発予防効果が悪くなるという結果が報告されました。現在では、骨粗鬆症薬の変更を行うなどの対応が必要とされています。

 

最後に 

上記のATAC試験について考察されていた医師のホームページによると、被験者の登録前検査で骨密度が正常な症例では、薬剤を併用しても、その後骨粗鬆症に移行することはほとんどなかったとされています。骨密度が若年女性平均値の80%未満であった症例では、その5%の女性に骨粗鬆症、病的骨折が発生したという報告があります。アロマターゼ阻害剤を投与する前には骨密度を測定し、骨密度が正常であることを確認することが、骨粗鬆症発症回避のため重要であると述べられていました。

 

 

難治HER2陽性乳がん治療『ハーセプチン投与』による効果とは?

『HER2蛋白』が正常細胞の何千倍もの多さで、細胞表面上に過剰に存在しているがんを、『HER2陽性乳がん』と言い、難治性であり、乳がん全体の約20%を占めると言われています。

この種の乳がんに有効であり、現在国内で保険適用となっている化学療法に『ハーセプチン(トラスツズマブ)』があります。

ハーセプチンの登場で、これまで完全奏効が難しかったHER2陽性乳がん治癒率が劇的に改善され、3cm以下の乳がん縮小が適用条件である『乳房温存療法』も選択できるようになったと言われています。

以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

『ハーセプチン』の詳細について

「「<ハーセプチンとは?>

ハーセプチンとは、HER2蛋白に特異的に結合する事で抗腫瘍効果を発揮する、乳がん・胃がんに対する抗がん剤です。癌の増殖などに関係する、特定の分子を狙い撃ちする分子標的治療薬の一種です。日本では、2001年にHER2陽性の転移性乳がんの治療薬として承認され、2008年からは再発防止のための、術後補助療法にも使えるようになりました。過去には、予後が悪く転移しやすいといわれていたHER2陽性乳がんですが、術後にハーセプチンを使うようになり、最近では再発率が低くなっていると言われています。

 

<ハーセプチンの適用となるには?>

ハーセプチンの治療は、『HER2検査』を行い『HER2陽性乳がん』と判定されることで適用となります。1)IHC法、2)FISH法の2種類の方法でHER2タンパクの量を調べ、細胞表面上に過剰に存在しているかどうかを調べます。

結果は、【0、1+、2+、3+】の4段階に分類され、「3+」であれば「HER2タンパクの過剰発現があり」の判定となります。「0」「1+」の場合はHER2陰性の判定となります。(※過剰に存在・・・正常細胞の1,000~1万倍のHER2タンパクが存在)。

 

<作用機序について>

ハーセプチンは、がん細胞の表面にあるHER2蛋白を標的とし、がん細胞の増殖を抑える働きがあります。ハーセプチンがHER2タンパクと結合することで、増殖のシグナルが出て行くのをブロックします。

 

<実際の治療スケジュール>

1)アントラサイクリン系抗がん剤の投与を3週ごと×4サイクル行う(計3カ月)。

2)ハーセプチン+タキサン系抗がん剤の併用投与を、3週ごと×4サイクル行う(計3カ月)。

 

⇒ハーセプチンの点滴時間は、初回90分の投与が行われ、問題がなければ2回目以降30分まで短縮可能。

 

『ハーセプチン』の有効性とは?

<病理奏効性は40%以上>

ハーセプチンの術前療法を行うことで、『病理学的完全奏効(pCR)=がん細胞の完全消失』率が増加することが明らかになっています。アメリカのMDアンダーソンがんセンターにおける臨床試験では、以下のような結果となりました。

 

◆従来の術前療法単独群(アンスラサイクリン系、タキサン系抗がん剤)と、ハーセプチン併用群による比較試験

中間解析の段階で、病理学的完全奏効率が、ハーセプチン併用群⇒65.2%、従来の化学療法群⇒26.3%と大差がつく結果となった。

 

◆日本国内のハーセプチン臨床試験(医師主導治験)

術前療法において、病理学的完全奏効率は46.3%と有用な結果が認められた。

 

最後に 

また、上記の臨床試験の結果に加え、国内のハーセプチン術前療法による試験では3cm以下へのがん細胞の縮小効果が認められ、70%以上の乳がん患者さんが乳房温存術を受けることが可能となったといわれています。さらに術前化学療法が有効であること=10年間再発が起こりにくいことを示唆している可能性が高く、一定の安堵感を得られるという点においても術前療法にはメリットがあると言われています。

 

 

 

乳がん転移の治療法『腋窩リンパ節郭清』による後遺症の可能性は?

乳がんは、進行するとわきの下のリンパ節から転移し(=リンパ行性転移)、全身に広がることがあります。この治療法として従来行われてきたのが『腋窩郭清(えきかかくせい)』というわきの下のあるリンパ節を摘出することです。

 

しかし、現在ではこの治療法の有無が生存率を左右するという確証がないことから、実施されないケースも増えてきていると言われています。では、その判断基準とはどのようなものでしょうか?

 

以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

腋窩リンパ節郭清の詳細について

摘出を行わない場合の再発率は?

腫瘤切除のみで、腋窩リンパ節郭清を行わないときの腋窩再発率は、術後10年間で28%と言われています

 

◆腫瘤径1㎝以下の場合⇒再発率1%

◆1.1~2.0㎝の場合⇒再発率26%

◆2.1㎝以上の場合⇒再発率33%

 

腋窩郭清による合併症とは?

腋窩郭清で生じる可能性のある合併症には以下のものがあります。

 

◆リンパ液漏れ

切断されたリンパ管から液が漏れ、わきの下にたまることがあるので、ドレーンの挿入や注射器で液を抜くことがあります。

 

◆術後感染症

溜まったリンパ液から、感染症を引き起こす可能性があります(5~14%)。

 

◆神経障害

手術によって脇の下~上腕の内側へ続く知覚神経が傷つくことがあり、激しい痛み(4~6%)や上腕の内側・肩甲骨のしびれ感(80%)が生じる可能性があります。

 

◆肩関節の運動障害

挙手がしにくくなる可能性があります(17%)。

 

◆リンパ浮腫

腕全体のむくみが生涯続く可能性があります(11~27%)。

 

『腋窩郭清』を行わなくても、予後は変わらない?

現在、『腋窩郭清』を実施する際には、事前に『センチネルリンパ節生検』というリンパ節の一部を摘出して、生検にかけるという検査方法が行われています。その中に、がん転移が発見されるようであれば、腋窩郭清が行われ、わきの下のリンパ節がほぼ全摘出される形となります。

 

しかし、JAMAという雑誌の中である臨床試験(センチネルリンパ節転移を認めた乳癌の患者さんに、腋窩郭清を実施する又はしない例において、再発や予後に差が生じるか?)の結果についての記述がありました。

 

結果としては、『5年間生存率は、郭清を行った群で91.8%、行わなかった群で92.5%』となり、予後に差は無いという結果となりました。

 

臨床試験の詳細について

【対象】T1-2(皮膚や筋肉など乳腺以外への浸潤がなく、5cm 以下の症例)で温存切除とセンチネルリンパ節生検を行った患者891名

 

【試験内容】891名中445名が、腋窩を追加郭清し、446名は行わなかった。その後平均6.3年経過観察し、予後や、局所再発率を検討する。

 

【結果】5年間の生存率は郭清した群で91.8%、行わなかった群で92.5%であった。また再発なしで5年間過ごせる確率は郭清した群で82.2%、行わなかった群で83.9%。

 

今回参照させて頂いた日本赤十字社のウェブサイトによると、『T1-2(皮膚や筋肉など乳腺以外への浸潤がなく、5cm 以下の症例)であり、術中にセンチネルリンパ節生検が行われ、転移ありと診断された症例が、温存切除され、残存乳房に放射線治療をし、そしてその後の化学 治療やホルモン剤による全身治療を受けるならば、腋窩への追加郭清を行うことは正しいとはいえない』と述べられていました。

 

また、センチネルリンパ節生検に関しては、リンパ節転移の有無をほぼ100%(95%)検出できるとされていますが、残りの5%で転移を摂り逃してしまう可能性があるとされています。

 

他にも偽陽性となるなどの例もあり、実施の際にはその数値について医師とじっくり話し合う必要がありそうです。

 

(photoby:http://pixabay.com/ja/%E5%A5%B3%E6%80%A7-%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88-%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%AD%90-%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB-%E7%BE%8E%E3%81%97%E3%81%95-%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2-259004/)

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-02掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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