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生活習慣病

高脂血症治療薬『スタチン』と『抗真菌薬』併用重篤な副作用に

 

スタチン系薬剤と抗真菌薬の併用は、横紋筋融解症発症の可能性がある

高脂血症治療薬の中で、最も良く用いられるのはHMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン系薬剤)と呼ばれる、コレステロール低下作用のある薬剤ですが、このスタチン系薬剤の中で『リポバス』という薬と、抗真菌薬である『イトリゾール』を併用すると、リポバスの副作用(横紋筋融解症)が起きやすくなるとして、併用は禁忌とされています。

 

横紋筋融解症とは、筋肉細胞が壊れ成分が血中に流出することで、大量のミオグロビンが腎臓の尿細管に負荷をかけ、重症の場合急性腎不全を発症するという重篤な疾患です。

 

この作用機序としては、イトリゾールが薬剤代謝酵素である『CYP3A4』を阻害するため、リポバスの血中濃度が上昇することにあります。

 

通常、スタチン薬単独では、この副作用は稀とされていますが、併用によって血中濃度が上がることによりリスクが高まります。しかしスタチン系製剤の選び方によってこのリスクを低減することができると言われています。

 

以下では、その詳細について見ていきたいと思います。

 

スタチン系薬剤の種類と副作用発症因子について

スタチンの種類としては、以下の6種類があります。

 

◆メバロチン(水溶性)

 

◆リピトール(脂溶性)

 

◆リポバス(脂溶性)

 

◆リバロ(脂溶性)

 

◆クレストール(親水性)

 

◆セリバスタチン(脂溶性、販売中止)

 

<横紋筋融解症を発症しやすい因子とは?>

スタチンが横紋筋融解症を発症しやすい因子として、以下が挙げられています。

 

1)HMG-CoA阻害作用の強さ

 

2)脂溶性の高さ

 

3)筋肉細胞への移行しやすさ

 

4)薬物代謝酵素阻害剤との相互作用

 

各スタチン剤の、横紋筋融解症発症リスクの高さとは?

上記の副作用を発症しやすい4つの因子について、薬剤個別の特性について考えると以下のようになります。 

 

1)HMG-CoA阻害作用の強さ(強いほど、副作用が出やすい。)

 

HMG-CoA阻害作用によって、メバロン酸からコエンザイムQ10の産生が低下すると、横紋筋融解症が生じるという機序であると言われています。

 

<強い⇔弱い>

 

セリバスタチン>クレストール>リバロ>リピトール>リポバス>メバロチン

 

⇒メバチロンは非常に酵素阻害作用が低く、リポバスとの差は約1/4倍、セリバスタチンとの差は約1/22倍。

 

2)脂溶性の高さ(高いほど副作用が出やすい。)

 

脂溶性であるほど、細胞膜を通過しやすいため、横紋筋融解症が生じる。

 

<強い⇔弱い>

 

リポバス>セリバスタチン>リバロ>リピトール>クレストール>メバロチン

 

⇒リポバスは最も脂溶性が高く、セリバスタチンとの差は約1/2倍、メバロチンとの差は約1/10倍。

 

3)筋肉細胞への移行しやすさ(移行しやすいほど副作用は出やすい。)

 

<強い⇔弱い>

 

セリバスタチン>リポバス>リピトール>メバロチン>クレストール(リバロ:不明)

 

⇒セリバスタチンは肝細胞よりも筋肉細胞に移行しやすい。リポバスとクレストールの差は約1/20倍。

 

4)薬物代謝酵素阻害剤との相互作用(高いほどスタチン剤の血中濃度が高まる。)

 

<高い⇔低い>

 

リポバス>リピトール>メバロチン>クレストール(リバロ:不明)

 

⇒リポバスは非常に代謝阻害されやすく、血中濃度が高まる危険がある。クレストールとの差は約1/50倍。

 

<結果>

 

横紋筋融解症発症の可能性が低い(安全性が高い)順は、通常の服用量においては、メバロチン>クレストール≧リピトール≒リバロ>リポバスであると考えられています。

 

(参考ホームページ:スタチンによる横紋筋融解症リスク/ウツボの部屋)

 

参考にさせていただいたホームページによると、2010年スタチン系剤の有効性・安全性について検証が行われた結果、リピトール、リバロ、クレストールの3種の薬剤には16週の試験後においてほぼ差がないことが示されたそうです。

 

数値としては、大きな差がありますが、それら3種に関しては理論通りではないようです。しかしながら、メバチロンの安全性の高さと、リポバスが比較的安全性が低いことが上記から読み取れます。

 

いずれにしても、スタチン剤の使用には、副作用の件も含め医師との十分な話し合いが必要になります。 

 

 

気になる!脂質異常症(高脂血症)治療薬の副作用 

 薬を飲むうえで気になることといえばやはり副作用があるかどうかということです。

脂質異常症(高脂血症)の治療薬における副作用を見ていきます。

 

 ●スタチン系の副作用

スタチン系は脂質異常症(高脂血症)の治療薬としては第一選択薬、つまりまず第一に選ばれる薬になることが多いです。

世界で最も服用されている薬とも言われており、悪玉コレステロール、中性脂肪値の両方にアタックできる薬でもあります。

スタチン系の薬の副作用は重篤なものでは横紋筋融解症がありますが、滅多に見られません。

一般的な副作用としては胃腸障害、頭痛、人によっては湿疹が現れます。

 

●副作用には胃腸障害が多い

スタチン系以外の脂質異常症(高脂血症)の薬の副作用には胃腸障害が多いようです。

例えばフィブラート系の薬は腹痛、下痢、悪心などが代表的な副作用です。

お腹が痛くなるだけ、という方もいれば下痢をしてしまう方もおり、人によって違いはあるものの胃腸に副作用が出る場合が多いのです。

 

●副作用が出たら

脂質異常症(高脂血症)の治療薬を服用して副作用が出た場合は医師に相談してください。

背後に別の病気が隠れていたり重篤な副作用の場合もあり、副作用だからそのうち慣れるだろう、とはいかないことも少なくはないです。

 

脂質異常症(高脂血症)の副作用はスタチン系の場合は頭痛や湿疹、そしてスタチン系も含む脂質異常症(高脂血症)治療薬全体の傾向としては胃腸障害があります。

副作用が出たら医師に相談してください。

 

 

薬物治療中はグレープフルーツに注意! 

薬には併用禁忌というものがあります。

ある薬ともうひとつの薬を併用すると副作用が出てしまう、薬の本来の作用が少なくなってしまうなどの問題が起きてしまうため併用禁忌となる場合があります。

 

●脂質異常症(高脂血症)の場合はグレープフルーツに注意

デザートとしてそのまま食べたり、果汁を絞ってジュースにしたりとさまざまな食べ方があるグレープフルーツですが脂質異常症(高脂血症)の薬物治療中には望ましくないと言われています。

というのもグレープフルーツに含まれる成分が、薬の副作用を引き起こしてしまう可能性があるからです。

 

●危険なのはスタチン系

脂質異常症(高脂血症)の治療に最も多く使われている、そしてまず初めに使うことが多いスタチン系の薬はグレープフルーツとの相性が良くありません。

スタチン系の薬が体の中に入ったとき、普通は分解されるべきなのですがグレープフルーツの成分が分解を止めてしまいます。

結果的に薬がなかなか分解されず副作用だけが出てしまう可能性もあるのです。

ほかの薬については大きな問題はないと言われています。

 

●グレープフルーツ以外の食べ物は?

グレープフルーツが併用禁忌となると気になるのはほかの食べ物についてです。

グレープフルーツと同じようにスタチン系の副作用を出しやすくする食べ物にはスウィーティーやザボンがあります。

同じ柑橘系でもみかんやレモンは問題ありません。

 

脂質異常症(高脂血症)の治療薬でスタチン系を服用開始すると言われた時はグレープフルーツを食べないようにしてください。

 

 

治療薬の併用に要注意

脂質異常症の治療薬は、併用が禁忌なものがあります。

 

スタチン系とフィブラート系脂質降下剤の併用は禁忌

スタチンもフィブラートにも、横紋筋融解症という骨格筋障害の副作用がおきる場合があります。この2剤を併用すると、急激な腎障害とともに横紋筋融解症が発症する可能性があり、併用は禁忌となっています。2剤を飲む必要がないため、通常医師が2剤を処方することはありませんが、まれに別な医療機関で2剤を入手して併用するというケースがあります。自己判断での薬の服用はやめましょう。

 

スタチン系治療薬と抗真菌薬

シクロスポリンとスタチンの併用で、血液中のスタチン濃度が上昇する、という報告がなされています。併用することで、スタチンの代謝・排泄が阻害されている可能性があるようです。その結果、肝臓で機能するはずのスタチンが十分機能しない、あるいは別な副作用が発生する可能性があります。同様に、イトラコナゾールやミコナゾールなども、スタチンと反応して悪影響が出る可能性があり、併用は禁忌となっています。高齢者などは深在性真菌症などを併発するケースもあり、その場合には治療が難しくなります。

 

その他の影響が懸念される薬剤

エリスロマイシンやクラリスロマイシン、HIVプロテアーゼ阻害剤、H2ブロッカーなども、併用に注意が必要なものとして挙げられています。

 

サプリメントや他の病気の薬にも注意

強い作用を持つ薬剤は、その副作用も大きく、薬剤同士の相互反応も十分可能性があります。多数の薬の併用については十分な知見が得られていないこともあるため、何が起きるかわからないとも言えます。スタチン系などの脂質異常症の治療薬は強い作用を持つ薬剤であり、その効果を十分に発揮させ、副作用を回避するために、医師は十分な注意を払って処方しています。手元にある薬を自己判断で併用しないように、市販薬や漢方薬、サプリメント、他の病気の治療薬についても、それぞれの医師にきちんと報告し、相談して服用しましょう。

 

 

脂質異常症の治療に『ナイアシン』は死亡率を高める危険性がある?!

低HDLコレステロール血症は、高LDLコレステロール血症と同じく動脈硬化性疾患の危険因子であり、早期改善することが重要とされています。低HDL-Cの治療法は主に、『運動療法、摂取エネルギー制限、禁煙』が勧められますが、治療薬としては高脂血症が伴わない限り使用され方向にあります。そして近年『ナイアシン』がその治療薬の候補として有望視されていましたが、様々な有害事象が生じたとして、いくつかの論文では服用の危険性が示され、現在では処方すべきでないという意見の方が多数となっているようです。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

ナイアシンとは?

ナイアシンは、ビタミンB3と呼ばれる必須ビタミンであり、トリプトファンから合成されるため、同様にトリプトファン由来の脳内ホルモンセロトニンと似た作用を持ち、ナイアシン欠乏によって意欲減退・幻覚妄想などの精神症状が生じます。また、極少量であれば体内でも必須アミノ酸のトリプトファンから合成されますが、大部分は食事から摂る必要があります。

 

ナイアシンのHDL増加の効果と、有害事象が生じる条件とは?

ナイアシンは、LDLコレステロール低下・HDLコレステロール増加など、様々な効果があり、副作用もほとんど見られないと考えられていたため、メルク社による脂質異常症のための新薬『トレダプティブ』として開発されていたという経緯があります。トレダプティブは、ナイアシン2,000mgに『ラロピプラント』というプロスタグランジン抑制作用のある薬を合剤としたものですが、ラロピプラントは、ナイアシンの唯一の副作用『ほてり・痒み』症状の出現の原因となるプロスタグランジンを抑える作用があります。しかし、臨床試験の結果、患者さんの予後の改善が認められず、その他因果関係が不明の有害事象が出現したため、2013年発売中止となりました。

 

臨床試験について

以下の臨床試験は、心疾患患者へのナイアシン+ラロピプラント長期投与の結果を示したものです。

 

■ナイアシン+ラロピプラントの長期服用で、死亡率が増加した(ニューイングランド・ジャーナルオブメディシン)

 

(対象)50-80才の心血管疾患患者

 

(試験内容)徐放性ナイアシン(ビタミンB3)+ラロピプラント服用群、又は偽薬群を摂取させ、ナイアシンの心臓発作・脳卒中の減少効果を4年間検討した。

 

(結果)ナイアシンは偽薬と比較し、心臓発作・脳卒中率を減少することは確認されなかった。

 

⇒またナイアシンによって死亡率の増加、肝障害、感染症、痛風、糖尿病などの発症率が増加することが明らかになった。

 

最後に

ノースウェスタン大学フェインバーグ医学校のドナルド・ロイド-ジョーンズ医師によれば「ナイアシンを処方した200人に1人が死亡している可能性がある。ナイアシンは、スタチンを摂取出来ない心臓発作や脳卒中のリスクが非常に高い患者や、他のエビデンスに基づいた選択肢がない患者だけに利用されるべきだ」と述べています。少なくとも、現在の状況では、軽度の脂質異常症の改善に気軽な形でサプリメント摂取を行うことは控えておいたほうが良いと言えそうです。

(photoby:http://pixabay.com/

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-01掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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