気になる病気・症状
基本は無症状の肝血管腫…でも進行していくとどうなるの?症状は?様々な治療法とは
体の中に異変があったからと言って、そのすべてが体に悪影響があるものではありません。その中には良性腫瘍と言われるほぼ無害なものもあります。
中でも肝臓にできる肝血管腫という良性腫瘍は、人口の1~5%が持っていると言われています。
肝血管腫のほとんどは無症状
肝血管腫の症状はほとんどが無症状です。無自覚のまま検診を受けて、エコー検査の結果として腫瘍が認められ、特別な疾患の可能性が否定されてはじめて肝血管腫と診断されるというケースが多いようです。
そのため、検診などを受けなければそのまま見つからないで過ごしてしまうということも十分にあり得ることです。そもそも悪性の手術が必要な病気であっても、肝臓の病気は自覚症状が出にくいものですので、良性となるとまたさらにということも言えます。
進行していくとどうなるの?
肝血管腫はごく小さくコブのようになっているものもありますが、反対に直径10センチを超えるような大きな腫瘍に成長することもあります。
肝臓にそうした大きな腫瘍があるということは、良性であろうが悪性であろうが、その腫瘍自体の大きさで肝臓やその周辺の機能を圧迫するということです。そのため、腹痛・熱・腹部膨満感のような症状が見られるようになってきます。
肝血管腫自体は日を追うごとにどんどんと大きくなっていって、体の不調が実感と共に大きくなるという心配はまずありません。
ただし上のような症状が見られている場合には、良性と言えども腫瘍が大きくなりすぎていますので、外科的手術が必要になります。
肝血管腫と診断されただけでは、大きさにもよりますが、まだ深刻に考える必要はありません。その後3か月後、6か月後と検査を受けて見て腫瘍の変化の有無を確認していく必要があります。
肝血管腫でまれに引き起こされる腹痛…腫瘍が大きくなるとお腹に症状が出る?
健康診断や人間ドックを受けた際に、腹部エコーの結果として「腫瘍が発見されました」と言われたらドキッとしてしまうと思います。
しかし腫瘍と言っても良性であれば、その後の健康に即時的に大きな影響があるわけではありません。
肝臓によく見られる良性腫瘍
肝良性腫瘍のうち、最も頻度が高いものに肝血管腫というものがあります。
血管腫とは、体のメカニズムに反して血管が過剰に特定の場所で発達し、かたまりをつくってしまったものです。それが肝臓にできた場合を肝血管腫といい、体の他の場所にできれば他の名前の血管腫になります。
この良性腫瘍は他の疾患と共に見られるよりは、これのみで見られることの方が多く、ほとんどの場合、自覚症状がない状態で、定期検診などの検査で発見されます。
腫瘍が大きくなるとお腹に症状が出て来る?
良性腫瘍は小さければ、肝臓自体や他の臓器の邪魔にならないので問題ありませんが、大きくなると問題が出てきます。
血管腫自体にかたまりになって集まっている血管の量、つまりそこに流れている血液の量も多くなっていますから何かがあると問題になるのです。
まれにみられる腹痛
・大きくなりすぎた腫瘍で腹痛
…良性でもかたまりが大きくなってしまえば、それだけで臓器にとっては邪魔になりますから、肝臓自体や他の臓器を圧迫して腹痛を引き起こすことがあります。
・腫瘍が破裂して腹痛
…また、大きくなりすぎた腫瘍はその外側が中の圧力に耐え切れずに破裂したり、ちょっとした衝撃で破裂してしまったりすることがあります。この破裂によって腹腔内に血液がたまってしまい、腹痛が引き起こされることがあります。
腹部に生じる腫瘍のため症状としては腹痛という症状が見られやすいようですが、それでも大部分は無症状で済んでしまいます。
肝血管腫でまれにみられる出血の症状!貧血、全身の出血症状、出血性ショック症状…
体の外側、つまり自分から見える場所におできや血豆のようなものができても「自分は死ぬのではないか」と心配する人はあまりいないと思います。
しかし、体の中に同じようなものである良性腫瘍ができると、「ガンなのではないか」「どのように進行するのだろうか」と考えてしまいがちです。
肝臓にできただけで悪いイメージが浮かぶ…
上記のように、体の中の外にできるおできが肝臓にできるのを、肝血管腫と例えて言われることがあります。肝臓の腫瘍と言われると肝臓の病気のイメージが出てきて、初期症状に乏しく気づいたころには治りにくくなっているという想像を膨らませます。
そのため、肝臓に腫瘍と言われるとどうしてもそういった悪いイメージがついて回ってしまうのです。
肝血管腫は肝臓にできた血のかたまり!どんな症状?
肝血管腫は肝臓にできた血のかたまりと言ってよいでしょう。肝臓の一部に血管が集合してかたまりになってしまい、コブのようなものを形成しているのです。そのため以下のような症状が見られることがあります。
・貧血
肝血管腫が大きくなりすぎて破裂すると、それ自体が血管の集まりですから、そこから腹腔内に大量に出血することになります。そのため貧血症状が見られることがあるのです。
・全身の出血症状
肝血管腫の中の血管内で血栓症を多数引き起こし、播種性血管内凝固障害を引き起こすことがあります。すると鼻血や血尿、歯茎からの出血、青あざなど全身的な出血症状が見られるようになります。
・出血性ショック症状
肝血管腫が何らかの原因で破裂すると、体の中を巡る血液が急速に減少しますので、大量出血をしたときのような、顔面蒼白、冷や汗、頻脈といったショック症状に陥ることがあります。他にも血液凝固異常などの症状が見られることがあります。
上記の症状は非常にまれな場合で、腫瘍が10センチを目安に大きくならないと出ないものです。
切除?血管をふさぐ?肝血管腫の治療 肝動脈をふさぐ手術、肝動脈塞栓術
肝臓に発生する良性腫瘍で持っても頻度が高いと言われているのが肝血管腫です。
これは血管系組織が拡張して起こる海綿状血管腫と、胎児期の血管組織の残り物が増殖して腫瘍の形になる新生児や乳幼児の血管腫がありますが、見られるのはほとんどが前者の血管腫です。
●良性の腫瘍を切除する時って?
良性の肝血管腫であっても、場合によっては積極的な治療が必要になる場合があります。それは血管腫が大きすぎるときや、肝機能障害やその他の肝臓の病気を併発しているときです。
大きすぎる場合はその大きさによって引き起こされると考えられる体の不具合を考えて切除されますし、肝疾患を併発している場合には、肝血管腫が肝細胞がんの初期の段階だという判断がなされると切除が必要になります。
基本的に肝血管腫の治療となると、経過観察が切除かと言われることが多いですが、しばしば肝細胞がんの治療で行われる肝動脈塞栓術が行われることもあるようです。
これは特に肝血管腫が大きくなって破裂の危険がある場合に行われることがあるようです。
●肝動脈をふさぐ手術、肝動脈塞栓術
肝動脈塞栓術とは、腫瘍に栄養を送っている血液の流れを止めて腫瘍が育つのを阻止したり、それによって壊死させたりする治療です。
具体的には大腿のつけ根にある動脈からカテーテルを挿入し、血管造影によって画像でカテーテルや血管の位置を確認しながら肝臓にある肝血管腫の近くまで進めていき、血管を塞栓させる物質を注入します。
この間、動脈血塞栓術では、腫瘍サイズの縮小は認められていませんが、患者の自覚症状が改善されることが認められています。
ただし、これは根本的な治療にはなりません。
しばしば良性であっても放射線治療が選択されることもあり、放射線治療の場合、症状の改善に加えて、腫瘍サイズの縮小、あるいは消失が認められた例も報告されています。
肝血管腫の腫瘍破裂予防!切除・動脈閉塞術・放射線治療…様々な治療法
肝臓に発生する良性腫瘍の肝血管腫は、肝臓にできる血管のかたまりのようなものです。
良性の腫瘍ですから基本的に手術の必要などはないのですが、血液がたくさん集まっているという特性上、腫瘍自体に何かが起こると厄介です。
腫瘍が破裂すると…
小さい腫瘍ではあまりないようですが、腫瘍が大きくなると破裂する可能性が増します。
また、腫瘍が大きくなればその分だけ集まっている血管の数が多くなりますので、破裂したときの出血の量がより多くなります。
破裂する前にどうすればいい?
腫瘍が破裂すると多量に出血するというだけでも危険です。そのため過度に大きい肝血管腫の場合には破裂が起こるのを予防する必要があります。
また、破裂の危険だけでなくても腫瘍内で血管内凝固などの異常や血栓などが生じている場合にはそれ以上に危険な状態にならないように以下のような方法が選択されることがあります。
・切除
…腫瘍が悪性だった場合と同じように、肝血管腫の部分を切除してしまうことがあります。
・肝動脈閉塞術
…これも悪性腫瘍の手術と同じですが、できている腫瘍がそれ以上成長していかないように、腫瘍に流れている血液を腫瘍に流れる前に止めてしまうというものです。
この手術は細い管であるカテーテルを血管の中に挿入して腫瘍近くの血管を閉塞させるものです。
通常、まず腫瘍の中に抗ガン薬を腫瘍の中に挿入した後に、腫瘍に流れる血流を遮断します。
・放射線治療
…これも悪性腫瘍への治療と同様です。
しかし、放射線治療を選択する際には副作用と、効果の兼ね合いから線量を決める必要があります。
肝血管腫の破裂などの予防をするという観点から見て必要な腫瘍を小さくする、あるいは消失させることにおいては、切除や放射線治療での治療実績の方が良いようです。
(Photo by: [http://www.ashinari.com/])
著者: カラダノート編集部