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ガン・悪性腫瘍

抗がん剤治療時は抗酸化物質『グルタチオン』は枯渇させるべき?

 

『スルファサラジン』で還元型グルタチオンを枯渇させることががん死滅に繋がる?

 

『スルファサラジン』とは、潰瘍性大腸炎の治療に使われる薬ですが、がん患者にスルファサラジンを投与することが抗がん剤の効果を高め、がん治療を促進させるとして近年研究が進んでいます。

スルファサラジンには、副作用として体内解毒酵素である『グルタチオン』の活性を阻害する作用があります。通常であれば、グルタチオン阻害によって活性酸素除去能力が低下し、人体に悪い影響を与えますが、抗がん剤治療中であれば活性酸素はむしろがん細胞を攻撃する物質として有益であり、グルタチオンを枯渇させた方が早いがん治療に繋がると考えられています。

以下では、その詳細について見ていきたいと思います。

 

『抗酸化物質』はがん予防には有効だが、抗がん剤治療時には効果を低下させる?

 

上記のように抗酸化物質には2面性があり、がん細胞に対してはその用途を使い分けることが重要です。

 

1)がんの予防:DNAにダメージを与える活性酸素を消去することが必要
活性酸素やフリーラジカルによるDNAのダメージは、遺伝子変異を起こしてがん発生の引き金になるので、それを消去する抗酸化物質はがん細胞の発生を予防する効果を発揮します。

 

2)抗がん剤治療時:がん細胞への酸化ストレスを高めることが必要
放射線治療や抗がん剤治療では、活性酸素やフリーラジカルの発生ががん細胞を死滅させるメカニズムになっており、抗酸化作用のある物質が存在すると、がん細胞を酸化ストレスから保護することになります。

 

『グルタチオン』とは?

 

グルタチオンは細胞内に高濃度に存在する抗酸化物質で、活性酸素やフリーラジカルから細胞を守る役割を担っています。通常は(発がん予防時は)グルタチオンは高濃度であることが望ましいですが、上記のように抗がん剤治療時はがん細胞への酸化ストレスが弱まるため、可能な限り低下させることが望ましいとされています。また、グルタチオンは、がん細胞自身が酸化ストレス下にあるときに合成増加させることが分かっています。


<グルタチオンの合成経路は?>

グルタチオンとは、3つのアミノ酸【グルタミン酸・システイン・グリシン】が結合したトリペプチドです。その合成経路とは、まず

 

1)『γ-グルタミルシステイン合成酵素』によってグルタミン酸とシステインが結合してγ-グルタミルシステインを合成する
2)『グルタチオン合成酵素』によって、γ-グルタミルシステインにグリシンが結合してグルタチオンが合成する

 

上記の2段階によって行われます。


これに対し、潰瘍性大腸炎治療薬の『スルファサラジン』にはシスチン・トランスポーターの阻害作用があるので、細胞内のシステイン(シスチン2分子から合成される)を減らしてグルタチオンの濃度を低下させ、その結果、がん細胞の酸化ストレス抵抗性を減弱することが報告されています。(慶應義塾大学先端医科学研究所遺伝子制御研究部門の佐谷秀行教授らの研究グループ)


最後に

 

佐谷教授らの研究報告では、上記の方法以外にも『糖質制限やケトン食』ががん治療に有効であると述べています。糖質制限やケトン食はがん細胞のグルコース取込みや代謝を阻害するので、グルタチオン合成のエネルギー源であるATPとNADPHの産生を阻害する、というメカニズムによるものです。現在ではこれらの臨床試験も行われており、抗がん剤治療の補助療法として使われる日が近いかもしれません。


 (photoby://pixabay.com/ja/%E5%8C%BB%E7%99%82-%E8%96%AC-%E9%8C%A0-%E6%B3%A8%E5%85%A5%E3%81%99%E3%82%8B-%E3%82%AB%E3%83%97%E3%82%BB%E3%83%AB%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82-%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC-%E7%97%85%E6%B0%97-41834/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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