カラダノートみんなの役立つ予防法や対処法
  1. カラダノートTOP >
  2. 育児・子供の病気 >
  3. 病気と症状 >
  4. 代謝異常・栄養障害 >
  5. ホモシスチン尿症 >
  6. 先天性代謝障害『ホモシスチン尿症』に新たな治療薬

育児・子供の病気

先天性代謝障害『ホモシスチン尿症』に新たな治療薬

ホモシスチン尿症とは、遺伝的にシスタチオンニンβシンターゼ(合成酵素※シスタチオニン:システインの前駆体)が欠損していることにより、食物から摂取した必須アミノ酸であるメチオニンが正常に代謝できず、中間生成物のホモシステインの形で多量に体内蓄積され排出されるという疾患です。

 

幼児期にかかると危険な理由

ホモシステインの体内濃度が上昇すると、幼児期には知能障害や骨格異常などの危険性があり、またその後も血栓塞栓、動脈硬化発症などの危険性から、患者は生涯厳密な食事療法を守る必要があります。

 

しかし、今年の1月に承認された治療薬『ベタイン』の登場により、その補助薬として血中ホモシステイン濃度のコントロール効果に期待が寄せられています。以下ではその詳細について見ていきたいと思います。

(※ホモシスチン・・・ホモシステインの重合体)

 

『ホモシスチン尿症』とは? 

『ホモシスチン尿症』とは、常染色体の劣性遺伝性の疾患(アミノ酸代謝異常症)で、必須アミノ酸のひとつであるメチオニンの代謝経路において、中間生成物ホモシスチンの代謝酵素であるシスタチオニン-β合成酵素(シスタチオニン-β-シンターゼ)の先天的欠損によりホモシスチンがシスチンに変換されず、体内に多量に蓄積され血中メチオニン濃度が上昇するという疾患です。

 

正常なメチオニン代謝のサイクルとは?

食事から摂取したメチオニンは、

【メチオニン⇒アデニルメチオニン⇒アデノシルホモシステイン⇒ホモシステイン】

に代謝されたあと、シスタチオンβシンターゼによって、

【シスタチオニン⇒システイン⇒タウリン、硫酸⇒尿中】へと排出されます。

 

症状について

現在は、出生時スクリーニングテストが行われており、発見が遅れることは国内においては通常ありませんが、治療開始時期が遅れると【知能障害、骨格異常(高身長、四肢指伸長・続発性の骨粗鬆症)水晶体偏位による視力低下・緑内障など】を引き起こすと言われています。また、血中メチオニン濃度が上昇すると血栓症や動脈硬化などの危険性が指摘されています。

 

⇒血中ホモシステイン濃度が5μmol/l増加で、虚血性心疾患リスク42%増加、脳卒中65%増加。

 

メチオニン含有の食品とは?

メチオニンを多く含む食物には、【果物、肉、野菜、ナッツ、マメ科の植物】があげられます。特に【ホウレンソウ、グリーンピース、ニンニク、トウモロコシ、ピスタチオ、カシューナッツ、インゲンマメ、豆腐】などに豊富に見られます。肉類では【鶏肉、牛肉、魚肉】など大部分のものに含まれています。

 

治療方法は?

◆メチオニン制限・除去、シスチンを添加した食事療法の継続

◆(乳児期)治療用メチオニン除去ミルクや低メチオニンミルクによる摂取量コントロール

◆ビタミン療法(ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸:ホモシステイン→メチオニン還元反応の補助剤として、血中ホモシステイン濃度を下げる。)

 

⇒上記3種を併用して行うことが通常でしたが、これに加え、食事療法のみで治療が困難な場合は『ベタイン』投与の併用が行われるようになりました。

 

新薬『ベタイン』とは? 

『ベタイン(商品名サイスタダン原末)』は、上記のように2014年1月に、ホモシスチン尿症治療薬として製造販売が承認された新薬です。食事療法が困難であると判断された場合に処方されます。

 

ベタイン処方の判断基準は?

ホモシスチン尿症は、◆B6反応型(ビタミンB6の投与に反応する)と◆B6不応型(反応しない)の2種類が存在しています。

 

⇒B6反応型の患者

【ビタミンB6大量療法】と【低メチオニンミルク、低蛋白食、シスチン添加】などの組み合わせが有効であり、これらの療法が困難でなければベタインは使用されないようです。

⇒B6不応型の患者

【低メチオニン食+シスチン添加、あるいはベタイン】を併用します。

 

ベタインの作用機序

ベタインは、メチオニン代謝経路においてベタイン・ホモシステインメチル基転移酵素(BHMT)の基質として、ホモシステインにメチル基を供与することにより、ホモシステインの再メチル化を促進し、ホモシステインをメチオニンに還元することによって、血液中のホモシステイン濃度を低下させます。

 

副作用について

副作用としては、【発熱、感染性腸炎、悪心、嘔吐、変色歯、血中メチオニン値上昇】などが認められています。また重大な副作用としては、脳浮腫に注意が必要とされています。なお、安全性や有効性を確認する観点から、全投与症例において使用成績調査を実施することが必須となっています。

 

上記のように、ベタインは従来までの食事療法継続の困難さを緩和させる役割があり、効果には非常に期待が持てますが、一方で副作用に関しては重篤な例も見られる可能性もあるようで、使用の安全性に関してはまだ不安が残るという印象です。いずれにしても、使用の際には、十分な医師との話し合いが必要になります。 

(photoby://pixabay.com/

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


通報する

ホモシスチン尿症に関する記事

子どもがホモシスチン尿症と診断されたら…薬と病気との付き合い方

生まれたときは正常でも、放置することで症状があらわれてくる病気があります。 ...

未治療の場合は急死することもある?ホモシスチン尿症

  ホモシスチン尿症とは常染色体の異常遺伝子が劣性遺伝することによって発症する...

病気と症状の体験談

あかちゃんの皮膚トラブル対処法!

生後0~1か月の頃は脂漏性湿疹で皮膚ケアをがんばる日々でしたが、やっと完治。しかし、今度は生後二ヶ月...

脂漏性湿疹や汗疹、湿疹。あかちゃんの皮膚トラブル

あかちゃんのお肌はとても繊細。新生児期は脂漏性湿疹に悩まされましたが、3ヶ月ごろは首や足の付け根の深...

カラダノートひろば

ホモシスチン尿症の関連カテゴリ

ブックマークは20件まで登録可能です
トップへ戻る