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生活習慣病

ATPを浪費し、高い脂肪燃焼効果!褐藻類に多い『フコキサンチン』とは

 

褐藻類中に含まれ、脂肪燃焼効果の高い『フコキサンチン』

 

近年、厚生労働省によるとメタボリックシンドローム患者数は中高年(40~70歳)で約1,900万人とされ、同年齢層の平均で男性2人に1人、また女性5人に1人が罹患しているという報告があります。

肥満症には2種類の脂肪組織が関連しており、それぞれを【白色脂肪組織・褐色脂肪組織】と言います。白色脂肪組織は脂肪を貯蔵する性質があり肥満の原因になりますが、褐色脂肪組織は脂肪分解・熱産生して余分なカロリーを消費する性質があるため、これが増加すると同じ運動量でも脂肪燃焼効果が高いことが分かっています。しかし、残念ながら黄色人種においては褐色細胞は幼児期にのみ多く発現し、成人ではわずか全体の数%しか残っていないことも明らかになっています。そこで現在注目されているのが、褐藻類中に含有される物質『フコキサンチン』です。

 

フコキサンチンは、白色細胞において『UCP1』と呼ばれるエネルギーを浪費し、カロリー消費しやすくするたんぱく質を発現させるとして大学や企業などで研究が行われています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。


『フコキサンチン』とは?

 

『フコキサンチン』は、こんぶやわかめなど褐藻類中に微量に含有される、非プロビタミンA類のカロテノイドの一種です。現在北海道大学において研究が行われており、また報告されている作用として【脂肪燃焼・抗腫瘍・抗糖尿病・抗糖化・活性酸素消去】などがあります。

 

<フコキサンチンはどのように熱産生を助ける?>
上記のように、通常成人では褐色脂肪組織はわずかしか存在していないため、熱産生によるカロリー消費能力は低下していると言えますが、フコキサンチン投与によって『βアドレナリン受容体』が活性化されると、白色脂肪組織が褐色化し、ミトコンドリア脱共役蛋白(UCP1)が増加することがわかっています。


(※UCPとは:脱共役蛋白質は褐色脂肪細胞のミトコンドリアに存在するUCP1、白色脂肪細胞(脂肪細胞)や内蔵など身体の各部に広く存在するUCP2、骨格筋に存在するUCP3などがあります。褐色脂肪細胞は運動をしなくても体脂肪を熱エネルギーに変換するという機能をもっていますが、成人では首筋と背中に萎縮してごく少量しか存在しません。)

 

<脱共役蛋白とは?>

脱共役蛋白とは、ミトコンドリア電子伝達系のエネルギー産生(ATP産生)過程において『酸化的リン酸化反応(電子の受け渡し(酸化)で生じた力を利用して、リン酸化(ATP合成)を行う反応)』を脱共役(共役を阻害)させ、エネルギーを熱として浪費させる機能を持った蛋白質のことを指します。

 

具体的には、グルコースや脂肪酸が分解される過程でミトコンドリアの膜間スペースには水素イオン(H+)が貯えられ、膜を隔ててH+の濃度差が発生します。濃度差には限界があり、およそ10倍程度に止まる性質があるため、分解は無制限に進みません。この濃度差は通常、ATP合成酵素によりATP合成に利用されて解消の方向に進みます(グルコースや脂肪酸の分解も促進される)。

 

しかし、UCP1が存在しているとATP合成酵素を通さずにH+の濃度差を解消することができ、ATP合成を行うことなしに、次々と脂肪酸やグルコースを熱エネルギーへと変えることができます。

 

マウスによる実験の結果とは?

 

フコキサンチンを用いたマウスに対する実験(北海道大学大学院水産科学研究院)に、以下のものが報告されています。

 

◆脂肪蓄積抑制作用
【対象】肥満マウス
【実験内容】肥満マウスに4週間混餌(0.4%)投与し、内臓脂肪重量を測定。
【結果】フコキサンチン投与群は、非投与群と比較して、有意な脂肪重量減少が認められた
⇒内臓脂肪中のUCP1の発現を調べた結果、顕著な発現上昇が確認された。

 

◆抗糖尿病作用

【対象】自然発症糖尿病肥満モデルマウス(高血糖、肥満、高インスリン血症)
【実験内容】フコキサンチン(純度:97%)を、マウスに4週間混餌(0.1~0.2%)投与し、血糖値を測定。
【結果】フコキサンチン投与群は非投与群と比較して、有意な血糖値・血中インスリン濃度低下を示した

 

◆抗糖化作用
【対象】リン酸緩衝液(pH:7.4、D-グルコース10%、ウシ血清アルブミン1%)900µL
【実験内容】上記にフコキサンチン溶液100µLを添加し、60℃で3日間静置した。
【結果】フコキサンチンは、30µg/mL以上でAGE産生を抑制する傾向を示し、100µg/mLで有意に抑制した


最後に


現在、いくつかの企業と大学研究所の共同でフコキサンチンを高濃度に抽出したサプリメントの開発が進められています。上記の実験内容以外にも効果の高いものとして、抗がん作用(アポトーシス誘導・G1期細胞周期停止・血管新生抑制)などが報告されており、治療薬として非常に有用とされています。今後の動きに注目したいところです。

 

(photoby://pixabay.com/ja/%E6%B5%B7%E8%97%BB-%E7%B7%91%E3%81%AE%E8%97%BB-%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%81-caulerpa-%E7%94%A8%E3%81%84%E3%81%A6-63105/)

著者: カラダノート編集部

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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