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もし身内が末期の肝臓疾患になったら…知っておきたい唯一の治療法『肝臓移植』

 

肝臓は移植のため切り取っても、また再生することができる

 

肝硬変や肝細胞がんなど、末期の肝臓疾患は根治が不可能であるため、その治療法として他者から臓器をもらう『肝移植』が行われます。肝移植のドナーには、【生体肝移植と脳死肝移植】のいずれかを選択することになりますが、脳死肝移植は適応や緊急性によって受けられる順番が決まるため、生体ドナーよりも治療開始が困難な場合が多いようです。

 

通常、60歳以下で体格差が極端でなく、近い親族であれば生体ドナーとなることは可能です。日本では1989年以来、年間約400例~500例の生体肝移植が行われているとの報告があります。肝臓は損傷しても再生する能力があり、移植によって半分以上失っても半年程度で再生することが知られています。しかし、再生の際に肝臓と腸の癒着が起こる可能性があるなど、知っておくべき合併症はいくつかあります。以下では、肝臓移植についての詳細を見て行きたいと思います。

 

肝臓移植の詳細について

 

<生体ドナーになるための条件>

 

1)倫理的条件

近い身内(原則、配偶者と3親等以内の血族)であること。自らの自由意思の善意の臓器提供であること。

2)年齢条件

成人で原則として60歳以下

3)医学的条件

原則、健康であり、ウィルス性肝炎などの血液を介してうつる感染症がない、解剖学的に手術可能で、極端な体格差がないこと。

 

上記の条件に加え、本人からの検査申し込みが行われると、以下の検査予約の調整に入ります。

 

◆一次検査血液・検尿・心電図・肺機能・胸腹部レントゲン・腹部超音波検査

 

◆二次検査造影CT検査:移植する肝臓(=グラフト肝)の大きさを決める)

 

◆三次検査精神科受診、HLA・MRCP検査(時に、肝生検も必要:脂肪肝など)

 

<手術時間について>

 

ドナー手術:約5~8時間。前述のようにCT検査によって、切り取る部分(レシピエント:患者に渡す部分)と、ドナーに残す部分を判断します(=部分肝移植)。再建すべき4つの構造物(肝動脈、門脈、肝静脈、胆管)は温存します。

 

最小の区分では、肝臓の4分の1に当たる『左外側区域(左端の部分)』を切り取り、最大の区分では、半分~3分の2に当たる『右葉』を切り取ります(通常、体格に合ったサイズが必要になる。ドナーの安全のために、最低30%の肝臓を残すことが必要。)

 

<術後経過について>

特に合併症が見られず、経過が順調であれば以下の日程にしたがって進められます。

 

術翌日(1日目):離床2~3日目水分・食事開始。硬膜外チューブ(背中に入っている痛み止めチューブ)、尿道カテーテル抜去。⇒7日目創の抜鉤

 

10~14日目肝機能の改善で退院1ヶ月目初回外来2~3ヶ月目自宅安静から、社会復帰へ。

 

 

<主な合併症について>

ほとんど症例では、上記のような経過となりますが、一部において手術に伴う合併症が発生することがあります。

 

◆血栓症

 

1~2%の確立で生じると言う報告があります。緊急に血栓を取り除く再手術が必要となります。

 

◆胆管の合併症(胆汁の漏出、狭窄)

 

胆管の合併症は、15%の確立で生じると言う報告があります。胆汁の漏れは、手術後1ヶ月以内の早期に起こることが多く、狭窄は、数ヶ月以内の発症が多いとされています。再手術によって改善する可能性はありますが、全身の感染症が生じ、致命的になる可能性があります。

 

◆感染症

 

術後早期で死亡原因の最多であるのが、感染症によるものです。手術前の全身状態の弱りと、免疫抑制剤による影響が大きく関わっています。対処法には、抗生物質が主に使用されます。

 

◆呼吸器障害

 

早期に無気肺、全身感染に伴う肺の機能障害などによる呼吸障害が生じる可能性があり、人工呼吸器が必要となる場合もあります。また、手術前や手術中・術後に、種々の原因で腎臓の機能が低下した場合には人工透析を必要とする場合もあります。 

 

◆拒絶反応と免疫抑制

 

拒絶反応は、移植後5日~数週間で生じる可能性があり、制御できない場合再移植の可能性もあります。また、免疫抑制によって抵抗力が弱くなりますが一般病棟で十分管理可能な程度であると言われています。免疫抑制剤は、成長障害、糖尿病、腎障害などを引き起こす可能性があります。

 

◆胆管・血管狭窄による、肝機能低下

 

血管の狭窄は、数ヶ月~2年くらいの間に全体の5%以下、胆管の狭窄は約10%の症例にみられます。胆管狭窄は、黄疸や肝機能低下、血管狭窄も肝機能低下に繋がる可能性があります。

 

◆原疾患の再発

 

B型・C型のウイルス性肝硬変、肝臓癌、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、などの場合、移植後に再発する可能性数%の可能性であるという報告があります。

 

◆腸閉塞

まれに、手術によって腸管癒着が生じ、癒着がひどいと腸閉塞が生じることがあります。

 

 

<費用について>

 

肝移植の保険適応基準には、肝硬変の非代償期(黄疸・浮腫など症状が表れている状態)であり、かつ『ミラノ基準』に合致している必要があります。

 

◇ミラノ基準とは・・・肝臓癌が遠隔転移(肝臓外への転移)と血管侵襲(肝臓の大きな血管に噛みこんでいくこと)を認めず、かつ、5㎝以下の固まりが1個、または、複数ある場合は個数が3個以下で、最大径が3㎝以下であること。

 

最後に

 

最初にも述べましたが、肝臓移植は末期肝臓疾患では唯一の治療法になる可能性が高く、親族に肝障害を罹患されている方がいる場合、万が一のために知っておきたい治療法です。近年では、2010年の改正臓器移植法案が施行された後、これまで生体ドナーが9割とされていたのが、脳死肝移植が急増したと言われています。しかしながら、すぐに適応のドナーが見つかるとも限らず、一度は親族が合併症などに理解をした上で、ドナーとなるかの判断を考えておいたほうが良さそうです。

 

(photoby://pixabay.com/ja/%E5%AD%90-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88-%E5%AE%B6%E6%97%8F-%E6%8C%87-%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%AD%90-%E6%89%8B-%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97-%E5%AD%90%E4%BE%9B-%E6%84%9B-17387/?oq=%E6%89%8B)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-27掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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