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自己免疫疾患、IgA腎症の根治療法『扁桃摘出術』とは?~腎臓疾患の治療~

 

IgA腎症は、扁桃からの二次感染によって起こる?

 

IgA腎症とは、自己免疫疾患の一種で、多くは上気道の粘膜感染の際に病原体とIgAが『免疫複合体』という結合物質を作り、腎糸球体に流れ着いて沈着することにより炎症・破壊を起こし腎機能を著しく低下させるという疾患です。IgA腎症は、慢性糸球性腎炎の約2/3を占めると言われ、日本で最も多い腎臓疾患であると言われています。

 

過去には原因不明のため、根治療法は見つかっていませんでしたが、現在では口蓋の左右に存在するリンパ組織『扁桃』への感染症が二次感染的に腎糸球体へ沈着することが原因と言われており、これを摘出すれば、寛解するという症例が多く報告されています。以下では、扁桃摘出手術について詳しく見て行きたいと思います。

 

扁桃の摘出を行うかどうかの判断基準とは?

 

<扁桃とは?>

扁桃は、口蓋の両左右にある免疫機能のあるリンパ組織で、『桃の種のような』形をしていると言われています。成人・小児では、代償機能が働くため、摘出によっても免疫機能に大差はないと言われています。

 

<手術を行うかどうかの判断について>

手術を行うべきかどうかは以下が基準になるとされています。 

 

◆腎生検で『予後不良』であった場合行うべき

扁桃手術を行うかの判断については、腎生検の結果状態が【予後不良群、予後比較的不良群】の診断が行われた中等~重症の場合になります。(※予後良好群、予後比較的良好群については、薬物長期治療アンジオテンシン受容体拮抗薬、抗血小板薬)。

 

⇒治療せずに放置した場合:1)10~20年後、予後比較的不良群は30~40%が透析が必要の可能性、1~3年以内に予後不良群は数%が透析が必要になると言われています。2)また、【1日尿蛋白の値:1g以上】で治療を行わない場合には、10年以内30%慢性腎不全に移行すると言われています。

 

◆全身状態が良好でなければ、行ってはいけない

 

1)手術に絶えられない基礎疾患高血圧、動脈硬化症、糖尿病、心疾患など)がある。

2)血液疾患血友病、紫斑病、白血病など)により出血傾向にある。

3)伝染病麻疹、流行性耳下腺炎、百日咳など)への罹患。

4)急性上気道炎風邪など)で発熱症状がある。

5)妊娠中又は月経中もなるべく避ける。

 

扁桃摘出術についての詳細とは?

 

<手術の流れについて>

以下の順序で実施されます。 

 

1)全身麻酔を行い、気管支挿管とともに開口器で大きく口を開け、舌圧子で舌を押さえ扁桃腺を直視下にする。

2)口蓋の左右にある扁桃腺を剥離、切除する(桃の種のように塊が取れる)。

3)切除直後は止血作用のある薬剤使用と、電気凝固で止血医療用コットンでタンポンする。翌日除去可能。

4)翌日から創面は白くなり、カサブタ状になる。

5)食事は流動食から徐々に普通食へ(入院期間は数日~10日程度)。

 

<稀におこる扁摘後の合併症とは?>

1)出血(縫合を行わないため。24時間以内とカサブタが取れ始める1週間後)

2)手術後の感染

3)手術による神経損傷・舌の圧迫による味覚障害

4)サイズの大きい扁桃摘出による声質の変化(共鳴構造の変化)

5)摘出後、リンパ組織の代償性肥大によるのどの違和感

 

扁桃炎が起こった経験が無い場合は、摘出するべきでない?

 

IgA腎症の治療方法として扁桃摘出が推奨される理由は、ステロイド単独治療の場合と比較し、併用治療(ステロイドパルス療法+扁桃摘出術)で寛解率が上昇したためです。

⇒【ステロイド単独:20~30%の治療有効率、扁桃摘出+ステロイドパルス治療:60~70%の治療有効率。(2008年日本腎臓学会総会)】

 

しかし、あるクリニックにおいては、扁桃に炎症が生じていない場合、摘出を行っても状態に大きな変化が無いと指摘するところもあるようです。

 

<ステロイド単独療法と扁摘+パルス療法の比較について>

 

◆扁桃炎の経験がある人対象でも、ステロイド単独療法と扁摘+パルス療法に大差なし

1)扁桃炎発症の経験がある患者を対象にした症例で、全国12施設対象の厚生科学研究による80の症例では、【摘出術+パルス療法とパルス単独療法】の双方の療法において治療結果に大きな差は見られなかったという報告(2011年1月のIgA腎症研究会)。

 

2)また同じく扁桃炎経験者対象で、国立病院の14例においても【扁摘+パルス療法と単独療法】双方とも、尿検査において1日蛋白量は約1/3に減り、また半数以上(54%)で尿潜血が消失したという報告がある。

 

<扁桃摘出で効果が見られないとするその他の理由>

 

◇IgA腎症で扁桃に慢性感染症を持っている人はかなりの少数⇒急性腸炎がIgAの原因の大半を占める(IgA産生場所の7~8割が腸管由来

ノロウイルス性急性腸炎ではIgA腎症は激しく悪化する。

扁桃摘出で、術後に味覚障害や心筋梗塞の合併症などの報告もある。

1日蛋白量が1g未満であれば、透析が必要になるまで進行しない0.5g未満であれば、98%進行しない)。

適度な運動と感染予防3~5割が自然寛解する。

 

最後に

 

上記のように、扁桃摘出術を行うかどうかは、扁桃炎を発症した経験によって判断するべきであるとの意見もあり、かかりつけの医師には過去の症例なども聞いた上で決断することが必要となります。

 

(photoby://pixabay.com/ja/%E6%89%8B%E8%A1%93-%E6%93%8D%E4%BD%9C-%E7%97%85%E9%99%A2-%E5%A4%96%E7%A7%91%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0-%E5%8C%BB%E5%AD%A6-%E5%86%85%E9%83%A8-%E5%8C%BB%E5%B8%AB-%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB-79584/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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