健康診断・健康管理
喘息の症状が悪化しひどくなる!?小児喘息と親の喫煙の関係 たばこが与える体への影響とリスク
国内では小児喘息を患っているお子さんが500万人もいるそうです。患者数は年々増加傾向にあり、発症年齢も低年齢化が進んでいます。早い例だと生後2~3か月で小児喘息と診断されるケースもあるようです。
・小児喘息とは?
小児喘息はホコリやダニ、インフルエンザウイルス、ペットの毛などアレルゲンが要因となり慢性的に気管・気管支が炎症を起こすことで発症します。炎症を起こした気管は狭くなるために呼吸困難になったり息切れの症状が起こります。タバコ自体はアレルゲンではなく発症の原因にはなりませんが、気管を刺激して炎症を悪化させる要因となります。治療には炎症を抑えて発作を予防するために吸入ステロイドが用いられますがタバコの煙を吸うことでステロイドの効きが悪くなるとも言われています。
・小児喘息に受動喫煙は厳禁
タバコが喘息に対して悪影響を起こすのですから受動喫煙も厳禁です。「軽いタバコだから」とか「換気をするから」など、安易な考えで受動喫煙にさらすことは禁物です。また、喫煙者自身が吸い込む主流煙に比べ、周りの人間が吸い込む副流煙の方が有害物質を多く含んでいることが知られています。小児喘息のお子さんを持つ方はタバコについて十分注意することが必要です。
恐ろしいピロリ菌、喫煙との関係
数年前から話題になっているピロリ菌をご存じでしょうか?
日本人に感染者が多く、50代以上だと7割が感染していると言われています。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そして胃ガンの危険因子となります。日本人が高い割合で胃ガンを発症する事とピロリ菌には大きな因果関係があるようです。
・ピロリ菌感染者が喫煙するとリスクが高まる
ピロリ菌感染者同士を比較した場合、恐ろしいことに「喫煙者」の方が胃ガンのリスクが約2倍になります。
また、「ピロリ菌に感染していない非喫煙者」と「ピロリ菌に感染している喫煙者」を比較すると後者の方がなんと約11倍も胃ガンのリスクが高いそうです。
・ぜひ除菌治療したいピロリ菌。しかし・・・
「ピロリ菌+喫煙」がいかに危険かお分かりいただいたと思います。
ピロリ菌は除菌治療すると高い割合で効果をあげるのでぜひ除菌治療したいところです。ピロリ菌が発見された場合、3種類の薬剤を1週間服用することで除菌します。
しかし、喫煙者にとって厄介な問題が生じます。除菌期間中に喫煙すると成功率が大幅に下がるのです。1週間の禁煙が難しいことは喫煙者なら皆が知っていることですね。
ピロリ菌の検査や治療の前に禁煙の計画を立てる事が大切かも知れません。胃ガンのみでなく、様々な病気のリスクを減らすことができますから。
たばこは腎臓がんのリスクを上げる!
タバコは肺がんなどのリスクをあげることで知られています。
そのため、健康を重視するならタバコは出来るだけ早いうちに止めた方がよいと言われています。
また、タバコの煙を間接的に吸ってしまう副流煙の問題もあります。
●タバコは腎不全のリスクを上げる
腎不全と言えば、蛋白尿が出るなどの症状があります。
全く基礎疾患のない人であっても喫煙しているというだけで、腎不全のリスクが1.69倍高くなるということが米国腎臓学会によって発表されました。
そして高血圧や糖尿病を持っている患者の場合、タバコが腎臓病を含む合併症及び高血圧・糖尿病などの病気そのものの危険因子ということもわかっています。
●タバコと腎臓がん
タバコには、わかっているだけでも50種類以上の発がん性物質が含まれています。
このため、タバコはがんの発症リスクを上げると考えられています。
タバコによってリスクが上がるがんにはさまざまなものがありますが、腎臓がんもその一つです。
がんに関する国際学会誌での発表によれば喫煙が腎細胞がんのリスクを1.38倍高めるということがわかりました。
非喫煙の人と1日21本以上のタバコを吸う人を比べると2倍以上のリスク上昇がみられました。
その他、泌尿器系のがんもタバコによってリスクが上昇するということが研究で明らかになっています。
禁煙したくなる!怖いタバコのリスク
■ニコチンの怖い話
ニコチンとは無色透明の油性の物質です。実は麻薬と変わらないぐらい強力な依存性があります。
そして強力な毒薬でもあります。体重1キロあたりで、0,5~1ミリグラム摂取すると「死」に至ります。
実際には熱でほとんど吹き飛ぶので、死にいたることはありませんが、直接クチに入れたら話は別です。
小さい子供が間違えて、クチに入れてしまい、大事故につながることもある、とても危険な物質です。
■タールの成分
ニコチンと並び、タバコで最も害のある成分として有名な物質のひとつですね。
タバコにはこの二つ以外にも約4000種類もの科学物質があります。
しつこいですが、タールはその中でも特に問題の物質です。
別の名称で「ヤニ」と呼ばれることも多いですね。
植物を燃やすと出てくる物質です。どんな植物でも必ず出てきます。
普段は固形で真っ黒な物質なのですが、熱でベタベタした茶色の液体に変わります。
タバコのように温度が高いと最終的には気体に変化して肺の中に吸い込まれます。
それが冷えると、また固体に戻るわけですね。
タールは肺の中にベットリとこびりつきます長年、吸い続けている人の肺はタールで真っ黒になっています。
そしてタールには発ガン物質が、なんと「60種類」以上も含まれています!!
これがよく「タバコで肺ガンになる!」と騒がれている問題であり、原因でもあります。
■一酸化炭素について
一酸化炭素については、タバコ以外の出来事で聞き覚えがある人が多いかもしれません。
火事といった災害や事故などで、一酸化炭素中毒による死亡というニュースや記事を見たことがある人は多いでしょう。
では具体的に何で死亡するぐらい危険な物質なのか説明していきます。
一酸化炭素を話す前にまずはヘモグロビン(血色素)について。
ヘモグロビンとは、血液中の酸素を運ぶ役割をする特殊なタンパク質です。
ヘモグロビンと酸素が引っ付き血管をめぐり、全身に酸素を供給してくれるんですね。
では本題の一酸化炭素についてですが、一酸化炭素は酸素よりも、このヘモグロビンと吸着しやすい物質です。
数字で示すと、酸素の200倍!
するともし、大量に一酸化炭素が取り込まれると、酸素を運ぶはずのヘモグロビンが一酸化炭素ばかりをカラダ中に運ぶことになります。
当然、全身の酸素が足りなくなります。
これがひどくなると、酸素が足りなくなり、最悪「死」に至るということです。
これが有名な「一酸化炭素中毒」です。
タバコからくる一酸化炭素で、突然死ぬことはありませんが、普通の人より10%ぐらい酸素が足りない状態になっています。
酸素が供給されないと、そのぶん疲れやすくなったりその疲れが取れにくくなったりします。
喫煙と関連性がないように感じる、うつ病や骨粗しょう症…意外な原因は喫煙なんです!?
喫煙がもたらす病気は多いですね。さまざまなガンをはじめ
脳疾患や心疾患など、生命に関わる重大な病気が多いです。
一方、一見は喫煙と関連性がないように感じる意外な病気も
喫煙がもたらす場合があるのです。
・うつ病
喫煙者は、非喫煙者に比べてうつ病を患うリスクが高まります。
原因は今のところ不明ですが、喫煙者はうつ病の発症率が1.6倍程度になるという報告があります。また、禁煙することにより、うつ病の発症リスクは非喫煙者と同等になることも確認されています。
・骨粗しょう症
近年話題になっている骨粗しょう症。骨がもろくなる病気なのですが、高齢者が骨折することにより「寝たきり状態」になる原因として注目されています。
喫煙によりカルシウムの吸収が悪くなったり、骨への血流や栄養分の供給が減少する事が原因です。骨の密度は年齢と共に低下するのですが、喫煙は低下を早めると言われています。
もちろん、上記以外にも喫煙が関係する病気は沢山あります。
タバコが関係する病気のリスクは多種多様であり、個々人によってもリスク度合いは異なります。また、受動喫煙にさらされる家族や周りの人たちにも同様のリスクがある事を認識しましょう。
(Photo by http://pixabay.com/ja/%E8%B5%A4%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93-%E5%B0%91%E5%B9%B4-%E5%AD%90-%E3%81%8B%E3%82%8F%E3%81%84%E3%81%84-%E5%BC%8F-%E9%A1%94-%E4%BA%BA%E9%96%93-%E5%B9%BC%E5%85%90-%E5%AD%90%E4%BE%9B-19295/)
著者: カラダノート編集部