ガン・悪性腫瘍
大腸がんにならないための食生活!~野菜を積極的に食べる理由~
大腸がんは初期であれば簡単に腫瘍を切除できます。しかし、簡単だからといってすぐに暴飲暴食をはじめてしまっては、再び大腸に悪性の腫瘍を作ってしまうことになってしまいます。また、手術後はいくら簡単な手術とはいえ内臓に負担がかかっており、腫瘍やポリープができやすいと考えられています。今回は再び腫瘍やポリープができないように、大腸がんの手術後に控えるべき食品について紹介します。
大腸がんの手術後に控えるべき食品
アルコール
過度なアルコール摂取は、通常の大腸においてもがんのリスクを増やすことがわかっています。手術後においては大腸にとってアルコールは大きな負担となることが考えられるため、飲まないようにしてください。
刺激物
香辛料やコーヒーなどは健康な時は体にいい刺激を与えてくれますが、弱っているときはあまりよくないため、控えてください。
脂質
全くとらないわけではありませんが、消化の際に内臓に負担がかかりやすい油っぽい肉類や動物性の脂質は控えてください。植物性の油脂はカロリー範囲内でとるようにしてください。
甘いもの
実は結構消化に負担がかかります。特に脂質も多く含む洋菓子は控えてください。
塩分
全くとらないわけではありませんが、塩分の多いベーコン、ハム、たらこ、イクラ、かまぼこなどは控えてください。
タンパク質を取る際の注意
消化の際に内臓に負担がかかりやすいイカ・貝類などは控えてください。また、食物繊維の多いおからや大豆の水煮は消化に負担がかかります。大豆製品を取る際は豆腐や豆乳がおすすめです。
食物繊維を取る際の注意
体にいいからと思い、野菜などばかりをとると消化が悪くなってしまします。野菜や海草をとることは大切ですが、食物繊維だけではいけません。また、食物繊維をとる際は柔らかく煮ると良いです。
大腸がんの手術後はアルコールや刺激物、脂質を控え、バランス良い食事を心がけてください。
大腸がんにならないための食生活~野菜を積極的に食べる理由~
がんはいくつもの遺伝子の変異が引き起こす病気です。1日に300個以上のがん細胞が生まれ、免疫機能によって、がん化が阻止されています。がん細胞を増やさないよう免疫機能を強化するために、私達は食生活でどんなことを気をつければ良いのでしょうか。野菜を積極的に食べることが推奨されていますが、それはなぜでしょうか?
食物繊維がたくさん取れる
食物繊維の効果は、便の量を増やし排便をスムーズにすること、便が増えることで発がん性物質が薄まること、化学物質を吸着すること、善玉菌の餌となることなどです。結果、便・発がん性物質が大腸内にたまっている時間が短くなり、免疫機能も向上します。
食物繊維が多い食品
野菜だけではなく、植物性の食品には多く含まれているので積極的にとってみましょう。例えば、ご飯を白米から雑穀米や玄米にする。メインの付け合せに野菜のソテーを添えてみる。いつものお味噌汁に海藻をプラスしてみるなどです。
・野菜類…ごぼう、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、もやし、ナス、トマト、切り干し大根など
・イモ類…さつまいも、じゃがいも、やまいも、こんにゃくなど
・きのこ類…干ししいたけ、なめこ、えのき茸、しめじなど
・果物…キウイフルーツ、りんご、いちご、バナナ、みかんなど
・海藻…ひじき、昆布、のり、寒天など
・豆類…納豆、あずき、おから、いんげんなど
・穀類…玄米、オートミール、ライ麦パン、そばなど
野菜は生より温野菜
野菜には、フラボノイドやポリフェノール、クロロフィルなどの成分が含まれています。これは肉類・動物性脂肪を食べた時に便の中に発生する過酸化脂質ラジカルという遺伝子のDNAを、切断してしまう物質を中和する作用があります。しかし、生のままでは植物の有効な成分が詰まっている細胞の壁はこわれません。そこで有効な成分を摂取するために温野菜、特に野菜スープなど溶け出た成分も全て摂取できるような食べ方がお勧めです。
国立がんセンターがん予防・検診研究センターの報告では、「野菜・果物をたくさん食べても大腸がんのリスクは変わらず」とされていますが、世界保健機構・食料農業機関の合同の報告では「予防効果はわずかとしながらも、おそらく予防的」と述べています。現在も食事と大腸がんに関する研究が続いています。これがだめ、あれが良いだけではなく、バランスの良い食事を楽しんで摂ることが大切なようです。
動物性の脂質やタンパク質の摂りすぎは危険!大腸がんと大腸中の菌の関係
大腸がんの原因として、腸内の菌のバランスが大きく関わっています。今回は大腸がんと大腸中の菌の関係について紹介します。
大腸がんと大腸中の菌の関係
日本人の食生活が欧米化しているため、動物性の脂質や動物性タンパク質の摂取量が大幅に増加しています。動物性の脂質はまず胆汁酸によって分解され、脂肪酸とグリセリンになり小腸で吸収され、エネルギーとなります。脂肪酸とグリセリンはエネルギーとなるだけなのですが、胆汁酸の3~4割が大腸に流れ込み、特定の腸内細菌によって二次胆汁酸(デオキシコール酸やリトコール酸)となります。この二次胆汁酸が発がん性を持ちます。
動物性タンパク質は一定量は必要ですが、大量に摂取するとさまざまな消化酵素によってタンパク質が消化されてアミン類となり、大腸に流れ込み、特定の腸内細菌によって二級アミン類を経てニトロソアミンができます。このニトロソアミンが発がん性を持ちます。動物性の脂質や動物性タンパク質の摂取量が多いと、このように大腸がんのリスクが高まってしまいます。
発がん性物質をできるだけ少なくするには?
まず、動物性の脂質(バター、ラードなど)動物性タンパク質(牛肉、豚肉、鶏肉など)の摂取量を控え、タンパク質や脂質は魚介類やダイズ製品、植物性油脂から摂取するようにします。野菜や海藻類などに含まれる食物繊維も多く摂ることを意識してください。和食が大腸の中の細菌にとって理想的です。
このように動物性脂質と動物性タンパク質の摂りすぎは大腸がんの発生リスクを高めます。特に日本人は今まで動物性の油脂や動物性タンパク質を大量に摂取する生活を送っていないため、体にかなり負担がかかります。動物性の油脂や動物性タンパク質を全く食べないとする必要はないですが、適度な量を摂取する程度に抑えてください。
乳酸菌は『死菌』でも腸内環境改善効果がある!
便秘の解消から、癌の予防まで、腸の常在菌である『乳酸菌』は人にとって有益な菌として、さらに数を増殖させる食物(ヨーグルトや酵素ドリンクなど)が盛んに多くの人に活用されています。
乳酸菌についてまとめました。
善玉菌と悪玉菌
腸内環境において、乳酸菌などの善玉菌と、病原微生物などの悪玉菌は競合的に働いており、善玉菌が減少すると、悪玉菌が増殖します。
悪玉菌が増えれば便が腐敗することで有毒物質が発生し、この物質が血中に吸収されて、肝臓から体全体に悪影響を及ぼしてしまいます。
乳酸菌は加齢で減少?
加齢によっても乳酸菌数は減少していき、生後1週間の乳児と80歳以上の高齢層の腸内ビフィズス菌の比率を比較すると、乳児では約90%以上を占めているのに対し、80歳以上では約1%に留まるという結果であったようです。
そのため、外部から乳酸菌を摂取することが健康管理において推奨されているのですが、問題はこれらの菌が胃酸に弱く、経口摂取しても『生きて腸まで届ける』ことが難しいと言う点でした。
生きて届く乳酸菌「有胞子乳酸菌」
この問題に対して近年注目されていたのが、体内に胞子をつくる『有胞子乳酸菌』という乳酸菌です。この菌は、酸や熱に強い殻(胞子)をもっているため、生きて腸まで到達し、腸内細菌として補充できると言うものです。
有胞子乳酸菌は高価
有胞子乳酸菌の代表としては、『ヤクルト菌』としても知られる、『ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株』などが有名ですが、これらの特別な耐酸性菌を摂ろうと思うと、費用として多少高価という面があり、出来れば既存のヨーグルトなどで摂りたいというのが一般的な見方であると思います。
生きて届かなくても効果がある?
乳酸菌は効果がないという状況を受けて、通常の経口からの乳酸菌摂取で腸内環境改善効果はないかという調査が行われたところ、以外にも『死菌』においても何らかの改善効果が見られたとの報告がありました。
以下では、その実験についてご紹介したいと思います。
植物性乳酸菌の働きについて
植物性乳酸菌には以下の働きがあると言われています。
1)小腸での栄養分の消化吸収・大腸での水分吸収。
2)ビタミンを作り出す(特にほとんど全てのビタミンB群)。
3)腸のぜん動運動を高めて、便秘を予防する。
4)乳酸や酢酸を作り出し、食中毒を起こす菌や病原菌の増殖を抑える・殺傷する。
5)発酵作用が、通常ほとんど吸収されない鉄やカルシウムなどのミネラルを吸収しやすい形に変える。
6)腸内の腐敗を抑え、ニトロソアミンや二次胆汁酸などの発ガン物質の発生を防ぐ。
7)マクロファージの働きを活性化させて変異細胞(がん細胞など)を排除する。
(参考ホームページ:沖縄予防・栄養医学研究所)
『死菌においても効果がある』その根拠について
下記の実験は、腸内細菌学の第一人者である光岡知足氏によって行われたものです。結果としては、死菌によってもガン増殖の抑制や、便中の有害物質が抑えられるなどの効果が見られたようです。
この実験結果について光岡氏は「生きた菌が含まれていない殺菌酸乳に一定の延命効果が見られたということであり、死菌だから効果がないわけではなく、実際には死菌でも生菌でも効果が変わらない。」と述べられています。
また「こうした事実から、私は摂取した乳酸菌に含まれる菌体成分が腸内フローラのバランスに何らかの好影響を与え、あるいは、菌から分泌された発酵生成物が関与している」と、生きた菌よりも菌自体に含まれる『菌体成分』や『発酵生成物』の重要性が指摘されています。
死菌の効果に関する3つの実験をみていきましょう。
◆マウスに乳酸菌の死菌を添加したところ、平均寿命が延びた
<実験内容>
90匹のマウスを1つのグループとし、3つのグループそれぞれに異なるエサを与えた。(グループ1:通常のエサ、グループ2:牛乳が14%添加されたエサ、グループ3:殺菌酸乳が14%添加されたエサ)
上記を離乳期から生涯にわたって投与し、その寿命を比較した。
<結果>
⇒平均寿命は、
グループ1・・・84.9週間
グループ2・・・84.4週間
グループ3・・・91.8週間(腸内のビフィズス菌数は、1、2のグループより約10倍高かった)
◆ガン細胞移植マウスに乳酸菌の死菌を経口投与したところ、ガン細胞増殖抑制が見られた
<実験内容>
殺菌酸乳を経口投与したマウスに、ガン細胞(エーリッヒ腹水ガン細胞)を移植した。
<結果>
⇒ガン細胞の増殖が有意に抑えられることが確認。
⇒乳酸菌の菌体のみを投与したグループはガン細胞の蔵相くの抑制効果が認められた。
⇒投与された菌数が多いほど抑制効果が高まった。
◆乳酸菌の継続摂取で悪玉菌の抑制、有害物質の抑制を確認
<実験内容>
健常な成人男女8名(男性3名・女性5名/平均年齢28歳)を対象に、一般的なプレーンヨーグルトを1日3回(130g/回×3=合計390g)を2週間継続摂取。
<結果>
⇒便中のビフィズス菌が増加し、ウェルシュ菌などの悪玉菌の密度が低下。
⇒便中の有害物質(フェノール類、インドール、硫化水素など)も有意に低下。
⇒phもアルカリ性から酸性に変化する傾向が見られた。
(参考ホームページ:乳酸菌サプリの誤解とその真実を解き明かす)
上記の実験結果において死菌の有効性が確認されましたが、それ以外の常時乳酸菌を継続摂取されている方などの実感においても、死菌が有用であると考えられているようです。
自家製ヨーグルトなどで乳酸菌を継続摂取されている方の話では、排便時に明らかな変化(乳児様の便、匂いがしない等)が見られたとのことです。腸内環境を改善したいと言う方は、一度試してみる価値はありそうです。
大腸がんとアルコールの関係とは?大量飲酒で高まるリスク
自分の好きな時間をお酒とともに楽しんだり、ほろ酔いの状態でコミュニケーションをとることでいつもよりスムーズにお話ができたり、お酒をいただくことで精神的なストレスの発散になることもあります。ストレスに弱い大腸のためには、お酒が好きな人にとっては適量の飲酒はいい薬なのかもしれません。では、大腸がんにならないために、飲酒の時に気をつけることはどんなことでしょう。
大量飲酒はリスクを高める
お酒を飲むことで、得られる大腸への直接的なプラスの効果は消化促進です。アルコールによって腸の蠕動運動が促進されます。しかし、それも適量だから言えること。いわゆる食前酒の効果です。食前酒の量を思い出してください。あれくらい少しの量で十分なのです。
大腸がんとアルコールの関係は、国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの予防研究グループの研究では、男女問わず、飲酒量が多ければ多いほど、大腸がん全体、結腸がん、直腸がん全てにおいてリスクが高くなることがわかっています。適量はお酒1単位程度(日本酒1合、ビール大瓶1びん、ウイスキーダブル1杯程度など)です。
アルコールが大腸がんに及ぼす影響
いずれも明確になっているわけではありませんが、可能性は十分に考えられます。
・アルコールが分解された時にできるアセトアルデヒドが発がん性がある
・アルコールが葉酸の活動を阻害することで、がんの初期段階の細胞を誘発する
・アルコールの摂取によって便秘を引き起こし、癌になりやすい環境をつくる
飲み過ぎない工夫
適量を超えての飲酒を控えるのはもちろんですが、毎日の晩酌を楽しみにしている人もいると思います。好きなものを急に控えると、ダイエットの時のようにリバウンドが起こりかねません。少し工夫をして、飲酒の量を少しずつ減らしてみましょう。
・自分自身が本当にどうしても飲みたい気分なのか、自分に問いかけてみる。ルーチン化した行動の中で飲み始めるのではなく、一度考えることで選択の機会が生まれます。
・飲酒のまえに1杯ソフトドリンクを挟む。水でもかまいませんが、胃液を流してしまい、胃に負担がかかるおそれがあるので、胃粘膜の保護のことも考えると、牛乳やヨーグルト系の飲み物がおすすめです。
・食事をある程度終わらせてから晩酌を始める。ある程度満腹感があれば、飲酒量も自然と減ります。晩酌の時は炭水化物を抜く人もいますが、食事はバランスよく。
・酔を楽しむのではなく、お酒の味を楽しむ。
アルコールは百薬の長と言われます。上手な飲み方でアルコールを味方につけて、人とのコミュニケーションも、大腸とのコミュニケーションも楽しくとれるといいですね。
著者: カラダノート編集部