健康診断・健康管理
健康診断でわかること~末梢神経伝導検査と運動負荷試験の検査方法や費用など~
末梢神経伝導検査は手か足に電気刺激を送って神経の様子を調べる検査で、筋電図検査などともよく似ています。
末梢神経伝導検査で具体的にわかるのは神経障害の種類や速度です。
●伝導速度から病気を判断
人間の末梢神経に刺激を与えると、神経から脳に情報が伝わります。刺激を与えた時間と脳が情報をキャッチした時間を計ればどれくらいの速さで刺激が伝わったかもわかります。
末梢神経伝導検査では電気刺激からの運動による波形発生までの時間を計って、神経の動きが遅くなっていないかどうかをチェックしています。
●波形によっても病気を判断できる
末梢神経伝導検査によって得られたグラフは脳波のような波形で現れるので、その波形を見ることでも病気の判断が可能です。
基本的には脱髄型、軸索型に分かれており、軸索型の方が波形の波が小さめに出るなどの特徴を持っています。
伝達速度と波形を見てどのようなタイプの神経障害なのかを明らかに出来るのが末梢神経伝導検査が持つメリットです。
●筋電図検査との併用
神経障害が疑われる場合には末梢神経伝導検査の他に筋電図検査も行うのが一般的です。
筋電図検査は針筋電図検査、誘発筋電図検査、表面筋電図検査があり、この中で最も末梢神経伝導検査に近いのは誘発筋電図検査です。
神経系の病気の判断に役立っているという点では末梢神経伝導検査も誘発筋電図検査も同じです。
末梢神経伝導検査は誘発筋電図検査と基本的に違いは少なく、診療報酬の点数上は誘発筋電図と(神経伝導速度測定を含む)の表記で一緒にされています。
1神経につき150点、つまり全額実費の場合は1500円の費用がかかり、そのほかの筋電図の検査に比べるとやや格安なタイプの検査でもあります。
末梢神経伝導検査はどのように行われる?検査にかかる時間とは
末梢神経伝導検査は筋電図検査と同じように電気を流すタイプの検査で、多少の痛みも伴います。
ここでは末梢神経伝導検査がどのように行われているのかという全体の流れ、かかる時間を見てみます。
●仰向けに寝て手首で検査を受ける
末梢神経伝導検査のほとんどは、ベッドに仰向けで寝て指や腕、足首やひざから電気を流して様子を見る方式です。
患者としてやるべきことは横になってリラックスしておくだけで、特に指示がなければ何もしなくてOKです。
ちなみに、Inching法というやり方では手のひらから脇のあたりまで、1㎝間隔で電気刺激を与えることでどの部分に問題があるのかをチェックできるメリットがあります。
Inching法を検査のために用いる病院も少なくはありません。
●痛みはビクッとするくらい
末梢神経伝導検査の痛みは針筋電図検査以外の筋電図検査とほとんど同じで、電気刺激によってビクッとするくらいです。
肩こりや腰の痛みで電気をかけて治療したことがある方なら、その時の痛み・違和感をちょっと強くしたような感じを想像してください。
あまりにもビリビリと痛いと感じる場合は技師もしくは医師にその旨を告げてください。
●検査時間は30-60分
検査時間は30-60分かかりますので、事前にトイレなどは済ませておきましょう。
食事制限などは特にありませんが、服装は腕と足を出せる格好が望ましいです。
もしも神経伝導検査以外に筋電図検査などを受ける場合にも腕と足が出せる服装であれば大体対応しています。
末梢神経伝導検査はバチバチするというイメージがありますが、耐えられないほどの痛みはほとんどの人が感じないので安心してください。
リラックスして電気刺激を1時間程度受ける検査です。
知っておこう!運動負荷試験を受けられない条件とは?
運動負荷試験は呼吸器や心臓の運動中の状態をチェックして、どれくらい体に負担があるのかを見る検査です。
病気の重症度評価や運動負荷を伴うリハビリの目標値設定に使われています。
●運動負荷試験を受けられないケース
運動負荷試験を受けることでさらに病気が悪化する、発作などを引き起こす可能性が高い場合には運動負荷試験は受けられません。
具体的には、以下のような病気の場合です。
・不安定狭心症やうっ血性心不全などの心臓の病気
・急性感染症
・心的ダメージが大きい重症精神障害
・解離性大動脈瘤
・重症高血圧
・未治療の糖尿病
●日を改めて受けられる場合も
解離性大動脈瘤や不安定狭心症などの場合は運動負荷試験を受けるのは時間をおいても難しい場合が多いですが、その日のみ発熱や胸痛があった場合には日を改めて運動負荷試験を受けられます。
1回受けられなかったからといってずっと受けられないわけではないので、医師に次はいつごろ受ける・受けられる状態になるのはいつごろかを確認してみるのがおすすめです。
●運動負荷試験が健康増進に
運動負荷試験のよいところは健康増進のためのきっかけになるケースもあるということです。
運動負荷試験の結果を受けて出来る範囲で運動をすることによって、病気を抱えていても肥満やほかの病気の併発を上手に防ぐことが可能です。
運動負荷試験の負荷は医師や技師によって行われています。どの運動負荷試験でも急に具合が悪くなったりした場合には医師・技師に告げて検査を中止します。
心拍数、血圧、心電図、不整脈など運動によって変化する部分のデータを取ることで、今まで行っていた運動療法や薬物療法、生活療法の見直しが行われることもあるかもしれません。
知っておくべき運動負荷試験の検査前・検査後の注意点!費用はどれくらいするの?
運動負荷試験は階段を上ったりベルトコンベアーの上を走ったり歩いたりする試験で、試験時間は大体15分くらいが目安です。
呼吸機能検査では運動負荷試験以外にもさまざまな試験を行うので、実際にはもっと病院にいる時間が長くなることもあります。
●検査前・検査後の注意点
検査前の注意点は一般的な呼吸機能検査の注意点と同じで、検査40分前までに食事を終えておくことです。
学生時代のことを思い出すとわかりやすいですが、ご飯の後の体育はお腹が痛くなったりなんだか気持ち悪くなった経験がある方もいるはずです。
お腹にものがたくさん入っていると運動負荷試験も含めて呼吸器の検査結果が正しく出ないので注意しましょう。
検査後の注意点ですが、運動負荷試験が行われるということは基本的に心肺や呼吸器になんらかの問題があるケースが多いです。
そこで、負荷試験後急に具合が悪くなる可能性もあることから検査後に呼吸や心拍が落ち着くまでは検査室を出られません。
その時間を入れると、運動負荷試験を行うのに20-25分程度かかることもあります。
●費用は3割負担で2400円
喘息運動負荷試験の診療報酬上点数は800点、3割負担で2400円の費用がかかります。
それとは異なる時間内歩行試験というものを行うと診療報酬点数で200点、3割負担で600円がかかります。
運動負荷試験と時間内歩行試験の2種類を行えば3割負担では3000円の費用が必要ということになります。
運動負荷試験は検査直前に飲食をしないこと、検査後は少し検査室で休まなければならないことなどが主な注意点です。
また、検査中に痛みを覚えたり非常に息苦しくなった場合はすぐに中止しなければなりません。
(Photo by: [http://www.ashinari.com/2013/09/18-382220.php])
著者: カラダノート編集部