ガン・悪性腫瘍
自宅療養でできる!末期がんの痛みを軽減できる因子や緩和ケアとその方法
末期がんでも、通院治療を受けながら自宅で療養生活をおくる人もいるでしょう。自宅で過ごすためのポイントになるのが、痛みのコントロールです。できるだけ長く自宅で暮らし続けるためにできる身近な痛みの緩和方法を挙げます。
薬を適切に使用する
眠気が強くなる、吐き気が起こるなどの理由から、鎮痛薬を使いたがらない人もいます。確かに副作用はありますが、末期がんの強い痛みを抑えることは、生活の質を上げる助けになります。薬の種類や量などを医師に相談して、鎮痛薬を上手に利用しましょう。
薬以外の簡単な緩和ケア
◆温める
冷えを感じると体がこわばり、痛みが増すように感じられます。痛みや不快感、倦怠感がある部分を温めてみましょう。カイロ・湯たんぽ・蒸しタオル・電気毛布などを利用すると便利です。低温やけどをしないよう、注意してください。
◆お喋り
特に女性にとっては、最高の気晴らしになります。自分が感じている痛みを言葉で伝えることも大切です。どんな時に、どんなふうに、昨日と比べてどのくらい強く痛みを感じるのか?ということを伝えてみましょう。お喋りによって共感が生まれ、精神的な落ち着きにもつながります。
◆マッサージ
がんでなくても、人は痛みを感じる部分に自然と手を当てます。痛みで体に力が入り、こわばっていることもあるでしょう。痛む部分に軽く手を当てる、優しくさするだけでもマッサージ効果が得られます。アロマなども活用すれば、香りの効果で気持ちも和らぎます。
◆眠る・休息をとる
痛みが強いと睡眠を十分にとれず、さらに不快感が増すことがあります。薬などを使ってでも、まずは体を休めましょう。
患者さんに対する痛みの緩和ケアとともに、看護する家族の精神的ケアも重要です。看護する側に余裕ができることで、患者さんの心身が楽になるケースもあります。がん患者の家族会などに相談するのもおすすめです。
ガンの痛み緩和ケアにも使われるアロマテラピー どんな効果があるの?
アロマテラピー(アロマセラピー)は昔からインド、エジプトなど世界の各地で行われてきたヒーリング療法のひとつで、現在日本で行われているアロマテラピーのもととなったのは1900年代初頭にフランスで生まれたものです。
精油を使って香りを広げることにより、リラックス効果やリフレッシュ効果をもたらすのがアロマテラピーの主な目的で、ガンの痛みを緩和するためにアロマテラピーを使うケースもあります。
●脳のバランスを整えるアロマテラピー
アロマテラピーがガンの痛み緩和に使われる理由は、アロマテラピーで使う精油の香りが脳に働きかけるからです。
現在もっとも有力と言われているのは『アロマテラピーで使う精油の香りが視床下部に送られ、そこから免疫系や自律神経系のバランスを整える』という説です。
免疫系や自律神経系のバランスが整うことで自然に痛みが緩和されていきます。
科学的立場からいうと医療ほどの信頼性・即効性はないものの、心理療法的な側面の強い存在と言えるでしょう。
●発がん性や抗がん剤との組み合わせに注意
ガン患者の精神的リラックス、もしくは疼痛管理のためにアロマテラピーを用いる際には発がん性のある精油や抗がん剤と組み合わせの悪い精油には十分注意しなければいけません。
本来のリラックス効果とはまったく逆の方向に働いてしまう可能性があるからです。
アロマテラピーの資格を持っておりガン患者の疼痛管理をしたことがあるセラピストを選ぶこと、医師との話し合いのうえでアロマテラピーを受けることが重要です。
香りによってリラックス効果を得て、最終的に自律神経系や免疫系を整えることで痛みの緩和にもつなげるアロマテラピーは、ガン治療においてはほかの治療法と組み合わせて使われることが多いです。
ガンに関するアロマテラピーのプロのもとで精神的な負担を少なくし、そして痛みと上手く付き合っていきましょう。
WHOが定める『3段階の除痛ラダー』とは?
がんの治療において『痛み』の治療も最近では注目されるようになりました。
がんの転移による痛みや病院生活における褥瘡の痛みなど、がんとともに様々な痛みが起こる可能性があります。
そんな痛みに関する治療において、WHOが用いている3つの除痛ラダーというものがあります。
ラダーとは階段を意味する言葉で、痛みに応じた鎮痛薬の使い方を示しています。
●3段階の除痛ラダーとは
WHOでは痛みを大きく3段階に分けています。
軽度、軽度から中程度、中程度から高度という3段階です。
この3つの状態に合わせて、それぞれ階段のように弱い薬から強い薬を使っています。
●オピオイド・非オピオイド
3段階の除痛ラダーにおいて投与される鎮痛薬には、非オピオイド鎮痛薬と弱オピオイドというものがあります。
オピオイドは痛みを感じる脊髄・脳への伝達を遮断するというものです。
軽い痛み(除痛ラダー1段階)では非オピオイド鎮痛薬だけの使用となりますが、痛みがひどくなればそれに合わせてオピオイド鎮痛薬を使っていきます。
●オピオイドの成分
除痛ラダーの2段階、3段階において使われるのがオピオイドですが、その成分は様々です。
2段階で主に使われるオピオイド鎮痛剤の成分はコデインです。
そして3段階で主に使われるオピオイド鎮痛剤の成分は硫酸モルヒネや塩酸モルヒネなどが一般的です
薬の成分が体に合わない、治療上の問題があるという場合も考えられるので慎重な投与が求められています。
癌性疼痛とはなに?‐癌性疼痛の種類と痛みを軽減できる因子について‐***
がん性疼痛とは、がん細胞が広がり臓器がダメージを受けている場合や、がん細胞が臓器を圧迫する為に感じる苦痛を指します。
癌性疼痛の種類を少し、ご紹介させて頂きます。
◆癌性疼痛はコントロールできる
がんに羅病した人は、大半(70%)の方々は何らかの痛みを感じた経験があると言われています。その癌性疼痛 は8割がた痛み止めを使うことに拠ってコントロールできます。
◆癌性疼痛の種類
? 神経因性疼痛 腫瘍細胞が神経へ直接浸潤することで生じる
? 骨転移痛 炎症性疼痛と神経障害性疼痛
? 消化管閉塞 消化管が腫瘍により内側から圧迫されるか、外側から消化管が圧迫されるか
? 腹部膨満 腹水が有り腹膜が常に引っ張られて感じる鈍い痛み
? 炎症
◆癌性疼痛には4つの因子がある
身体的疼痛・精神的疼痛・社会的疼痛・スピリチュアル疼痛
? 痛みを増大させる要因
身体的な痛みを止める鎮痛剤を使うのはもちろんですが、精神的な不安と恐怖を構築する不眠・疲労・怒り・不快・悲しみ・こう鬱・孤独感・社会的地位の剥奪・などの感情が痛みを増幅させることがあるようです。
? 痛みを軽減させる要因
鎮痛剤・睡眠・他の人との係わり合い・クリエイティブな思考と行動・緊張の緩和・不安の緩和・知識と理解・などが伴うと痛みは軽減できるようです。
◆がんの痛みとは
がんの痛みは、健康人が経験しない痛みである事は確かです。
? がんの進行で感じる癌性疼痛
? がんの治療でおきる癌性疼痛
? がんに伴う他の部分の癌性疼痛
◆癌性疼痛の緩和には
がんの進行と原因によって、鎮痛剤と使う種類の薬が違います。非ステロイド系抗炎症薬やオピオイド系鎮痛薬を組み合わせて使います。
オピオイド系鎮痛薬の副作用や抵抗が有る場合は、神経ブロックを考えることが出来ると言います。
ひとこと
がんの痛みは、モルヒネを投与しても依存が起きないそうです。ご安心ください。
がん性疼痛の症状にはどう対処したらいいのか?‐回りの人が出来ること ・サポート‐
がん性疼痛とは聞きなれない言葉で、「がん」と言う言葉だけでも怯んでしまうかも知れません。
がん性疼痛とは何か、またどのように成るものなのかを考えてみましょう。
がん性疼痛はがんの検査・治療・手術の後・がんの進行を原因とする、心身のあらゆる痛みを指します。
がん性疼痛はどの時点でも経験しますが、がんの進行が末期になると大半の患者は多くの複合した痛みを経験します。
◆がん性疼痛の痛み(心身とも)
?がんの進行に伴う痛み
?がんの治療の痛み
?がんの検査の痛み
?衰弱による心身の痛み
◆がん性疼痛の特徴
がん性疼痛は、健常者の経験する痛みとは根本的に違うもので、がん細胞が転移し浸潤する痛みや、内臓を圧迫する痛み、放射線治療の痛みなどがあります。
がん性疼痛にはがんに伴う不安、恐怖、否定、不眠、うつ、孤独感、疎外感などの心的要因も相まって、がん性疼痛を複雑になることがあります。
◆がん性疼痛の緩和(薬剤を使って)
身体的な痛みは殆どの場合コントロールができます。良質な痛み管理を常時継続することによって、患者の満足感や毎日のクオリティを高めることができます。
心理的な問題の不安感や不眠には、抗うつ剤や精神安定剤、睡眠薬などを適切に医師に訴え、処方して対処できます。
◆がん性疼痛の緩和(心理的な側面から)
◇不安感情と恐怖感情と否定感情の仕組
人間の心理は良く判らならない(情報が少ないもの)に不安を感じます。
↓
不安は、次に恐怖を想像させ、
↓
恐怖はそれらに関する全ての情報に否定、隠匿、排除、をしようとし、
↓
自分の認識に対し「自己」の被害者意識、孤独感、疎外感で理由をつけようとします。
◆がんに対し当人の理解と知識
当人ががんや、自分状態と状況を把握し理解しているかで、痛みのコントロールはかなり変化します。
◆人間の手の不思議さ
全ての患者にも言えるのでしょうが、他の人間の存在がとても大切なキーポイントに成ります。
大切な人が病で寝ていると、側の人は自然に手を握っています。
撫で摩り、手に対して語りかけます。
心身的な痛みには、他者の存在が大変重要になるでしょう。
痛みに対する不安と恐怖が大きい…癌性疼痛 の対処ってどうしたらいいの?
「がん」「痛み」この2つを聞いた途端に足元が崩れていくような気持ちになるかもしれません。
目の前が真っ暗になり、何も考えられないというのが正直な心持でしょう。
がん性疼痛は全く我慢することなく、心身共に痛みや苦しみがあれば積極的に対処すべき症状です。
◆癌性疼痛とはなにか
がん性疼痛とはがんを所以とした全て(心身共に)の痛みと苦しみを指します。
不安で眠れない、先のことを考えると恐怖で鬱状態になってしまう。
がんの検査・治療・手術・進行・全身の衰弱、全てを指します。
がんの初期から痛みを感じる人約3割、がんの末期までに大半の人は痛みを経験するそうです。
◆がん性疼痛は殆どコントロールできる
医学的には完全に完璧にとは断言できませんが、痛みは殆どコントロールが可能なようです。
がん細胞が原因の痛みには、障害受容性疼痛の体性痛・内臓痛と神経障害性疼痛があります。
どの臓器が発病元かを突き止めることで、治療方法と使う薬が変わってきます。
また転移が骨や神経の場合も鎮痛剤と治療法が変わりますから、何はともあれ早期発見が望まれます。
◆痛みは我慢する必要が無い
痛みは少しでも、積極的に対処しましょう。恥ずかしいとか弱虫だなどと感傷的に考えるのではなく、何所の部分がどのように痛い、何時痛くなるのか、などと伝え、医師は貴方の患部がどう変化しているのかを理解できます。
痛みコントロールは、人生のクオリティコントロールのようなものかもしれません。
◆痛みは早く医師に告げること
痛みは自分だけしか感じられず、検査や数値では出てきません。
医師に痛みを積極的にわかりやすく説明することが、痛みコントロールの最善策です。
ただ、赤子の様にイタイイタイを繰り返しても無駄ですが、明確に何の薬を何時どれだけ服用し、病歴や持病との関係、どの薬を飲んでどうなった、どう感じた、どのように痛いのか、どうしたいのかを明確に伝える必要があります。
記録ノートをつけておくと、上手く話せないという人には良いかも知れません。
(Photo by:http://www.ashinari.com/2009/06/21-022781.php)
著者: カラダノート編集部