気になる病気・症状
感音性難聴を見つけるための主要な3つの検査を知ろう!補聴器を使う時に気をつけたいこと?治療~人工内耳について
感音性難聴とは聴覚障害の一種で、耳のより奥にある内耳や聴覚中枢までの部位に病変がある状態です。耳は外側から外耳、中耳、内耳となっています。
そんな感音性難聴を見つけるために行われる検査を見てみましょう。
●一般的な聴力検査
感音性難聴やその他の難聴を調べるために欠かせないのが、一般的な聴力検査である標準純音聴力検査です。
この標準純音聴力検査は高さの異なる音を出して、それを聞き取れるかどうかをチェックしています。学校や会社の検診で行われる聴力検査が、標準純音聴力検査です。
ヘッドホンをかけて、音があると感じたらそれを伝える(ボタンを押したりする)だけの検査ですので、負担はほとんどありません。
●自記聴力検査
自記聴力検査は、どれくらいの大きさの音なら聞き取れるかを確かめるための検査です。
標準純音聴力検査と同じようにヘッドホンを耳に当て、中の音が聞こえている間はボタンを押し続けます。
聞こえなくなったらボタンから指を離すことで、どれくらいの音の大きさをとらえられるのかがわかります。
●語音聴力検査
感音性難聴を調べるためには特に重要な検査が語音聴力検査というもので、これは実際に会話に使われる言葉をどれだけ聞き取れるかを調べます。
『明日の予定は決まっていますか』といった言葉が感音性難聴では『アータノォティハキマティマスカ』といったように聞こえます。
これは感音性難聴によくみられる特徴的な症状ですので、語音聴力検査で異常が出る場合は感音性難聴の可能性が高いです。
感音性難聴を調べるためには上記で紹介したような聴力検査の他に、脳波を利用した検査を受けることもあります。
難聴の種類は数多くあるので、確定診断までにはいくつもの検査を受けると考えてください。
子どもの感音性難聴に要注意!
そもそも感音性難聴は何でしょう?
聞こえないというよりは、聞こえづらいと言ったほうがいいと思います。
これは神経性の難聴です。内耳でうまく音を信号に変えれない、音の信号が脳へ伝わらない事で起こります。
音量に関係なく、聞きづらいということがあります。
原因は心因性である事がほとんどのようです。心因性というと、なかなか原因の断定が難しいようです。
そして、程度も様々です。軽度~重度まで、感じ方も様々だと思います。
学校でのストレスに注意!!
小学生から思春期の時期までは注意が必要です。
それは、人間関係が複雑になり、感受性豊かな時期だからです。
代表的な心の病として、お子様を持つ親御さん又は教師の方はある程度理解しておくことが必要です。
(どんな子がなりやすい?)
男の子より女の子の方が多いようです。
社会問題になっている、いじめや家庭環境が原因の事が多いため、異変を耳の異常から気付いてあげることもできるかもしれません。
お子様が感じている以上に、精神的負担となっていることが多いのです。その異常を体は、正直に現わします。
(どういう時に気付く?)
学校で行う聴力検査によって見つかるケースが多いようです。
又、家族からの問いかけに気付かない事が多くなることで、耳鼻科を受診して見つかるケースもあります。
基本的に「聞こえてないかな?」って思うことがないか、気をつけて見てあげる事が大事です。
また片方の耳だけ聞こえないということもあります。
耳を傾けたり仕草は要注意です。こんな時は、わざと後ろから話しかけてみて下さい。いつも同じ方向から振り返るようになります。
いつも振り向かない方の後ろから話しかけてみてみると、聞こえていなかったり、逆の耳で聞こうと言う仕草をします。
(対処法は?)
心因性の場合は、確実に治療することができません。
ストレスや疲労など目に見える原因ではないからです。
何となく見当がつくようであればいいのですが、全く見当がつかない場合は、学校や友人などに相談してみるようにして下さい。
ゆっくりと休養をとる事と、原因を取り除く事が必要です。
家族や学校が子どもの異変に気付いてあげる事が必要不可欠です。些細な異変も、心のサインかもしれません。放置せず相談することが大切です。
感音性難聴で補聴器を使う時に気をつけたいこと
難聴になったのなら補聴器をつければ解決するんじゃないか、と思う方もいるかもしれません。
確かにそれには一理あるのですが、難聴は難聴でも種類によっては補聴器の選び方に注意しなければならないのです。
●感音性難聴と補聴器の問題
感音性難聴は耳の中でも内耳か聴神経に問題が起きている状態で、補聴器の使用には注意が必要と言われています。
感音性難聴で補聴器をつけると、まず外耳から中耳にはしっかりと音が伝わります。
ただし、感音性難聴の大きな問題はここからで、内耳から聴神経に補聴器が直接働きかけてくれるわけではないので、補聴器が意味をなさないケースもあるのです。
●感音性難聴で補聴器を使う場合
感音性難聴では補聴器がまったく無意味な場合ばかりかというとそうでもありません。
感音性難聴は聞き分けが難しいものの、人によっては補聴器が役に立つ例もあり、補聴器選びが大切といえるでしょう。
耳の状態、耳のどこに問題が起きているか、どの程度の聞き取りが難しいかなどを正確に調べたうえで補聴器を購入することが大切です。
高度難聴、もしくは重度難聴の場合には身体障害者自立支援法によって補聴器の補助金が出ますのでチェックしながら自分にぴったりの補聴器を探してみてください。
感音性難聴は耳に入ってきた音を分析、脳に伝える能力が低下しているので補聴器ですべて解決するということはありません。
ですが聞き取りやすさや理解のしやすさに補聴器が役立つケースもあるので、症状を見ながら医師・補聴器の提供者と相談して選んでいきましょう。
感音性難聴の治療~人工内耳を使ってもOKな場合、NGな場合
耳の奥にある内耳やその奥の神経に問題があるのが感音性難聴で、感音性難聴の治療に人工内耳が使われることもあります。
人工内耳とは何か、そしてどんな場合には使ってもOKで、どんな場合にはNGなのかを見てみます。
●人工内耳は世界で一番使われている人工臓器
人工内耳は世界一使われている人工臓器とも言われており、感音性難聴で問題がある内耳の機能を補う人工臓器でもあります。
体の中に埋め込む機械、そして補聴器のような少し大きめで耳の後ろにつける機械のセットで人工内耳と呼ばれています。
●補聴器でも効果なしの人が対象
人工内耳を使うのがOKとなるのは、補聴器でも効果が見られないほどの高度難聴の方です。
成人での基準となるのは90デシベル以上の高度難聴とされています。(日本耳鼻咽喉科学会2006年の適応基準による)
90デシベルといえば犬の鳴き声やカラオケなどの音で、60デシベルが普通の会話の音量ですので、90デシベル以上の難聴は日常生活も難しいほどです。
●子どもの適応基準もある
感音性難聴にかかっている子供のための人工内耳適応基準もあります。
(参考:日本耳鼻咽喉科学会 小児の人工内耳適応基準2014 //www.jibika.or.jp/members/iinkaikara/artificial_inner_ear.html)
子どもの場合も大人と同じで、基本的には90デシベル以上の高度難聴が見られる場合、そうでなければ、補聴器装用を行っても聴力レベルが改善しないなどの条件を満たしていなければなりません。
そして、この人工内耳の手術は原則的に1歳以上、体重が8kgを超えていないと受けられないという基準もあります。
人工内耳の装用がOKとなる基準は90デシベル以上の高度難聴と覚えておきましょう。
それにプラスして子どもなら、年齢や体重の関係もあることを忘れないでください。
なお、人工内耳を装用したからといって健常人と同じくらい聞き取れるわけではなく、リハビリや周囲の協力は不可欠です。
(Photo by: [http://pixabay.com/static/uploads/photo/2013/02/12/00/58/bethesda-naval-medical-center-80636_640.jpg])
著者: カラダノート編集部