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進行胃がんに有効!抗がん剤で直接胃を洗浄する『腹腔内温熱化学療法(HIPEC)』とは?

転移性胃がんに有効とされる『腹腔内温熱化学療法(HIPEC)』とは?

現在、胃がんは日本人のがん部位別発症率において第2位に挙げられるなど、非常に罹患率の高い疾患であり、手術で切除を行っても浸潤を起こした胃がんは、腹膜に転移し再発するケースが多いことが問題となっています。

 

これに対し、以前までは有効な治療法がないとされていましたが、現在では滋賀医科大学医学部附属病院にて『腹腔内温熱化学療法(HIPEC)』という、生理食塩水に抗がん剤を混ぜた溶液で直接胃を洗うという療法が行われるようになり、生存率が飛躍的に上昇していると言います。

 

以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

『HIPEC』の実際について

<腹膜播種性転移とは?>

腹膜播種性転移とは、胃の内側の粘膜に発現したがんが、浸潤し胃の壁を越えて腹腔内にこぼれて広がり、転移を起こした状態のことを言います。

 

『HIPEC』の適用としては、腹膜播種性転移が起こる可能性がある場合と言われており、(胃がん切除後の再発の半数が腹膜によるものであり、腹膜播種が起こりやすいStageⅢAから生存率が下がっていることから)逆にこれを制御できれば、飛躍的に生存率が上がると言われています。

 

<治療の実際について>

胃がんの進行は、胃の内側の粘膜から発症し表面側へと浸潤していきます。胃がんの深達度は以下に分類されます。

 

◆胃がんの深達度

T1:粘膜と粘膜下層に留まっている

T2:筋層あるいはしょう膜下層まで進んでいるが、胃の表面には出ていない

T3:胃の表面に出てきている

T4:胃の表面に出て、さらに他の内臓や組織に浸潤している

 

⇒『HIPEC』の適用としては、腹膜播種性転移が起こる可能性が高いと思われるT3、T4の患者さんに行われます。

 

◆治療の手順

1)通常の胃がん手術で腫瘍を取り去り、消化管再建を行う。

2)ウーンドリトラクターと呼ばれる囲い(還流スペース)を腹腔内に作り、腹膜へ水圧を加えて薬剤の組織浸透性を増加させる。

3)3種の抗がん剤【シスプラチン(10mg)、マイトマイシンC(50mg)、フルオロウラシル(1000mg)】を加えた5リットルの生理食塩水を加熱する。

4)手で溶液を攪拌しながら、腹腔内抗がん剤濃度を均一にする。

5)42℃を維持しながら、腹腔内を30分間持続還流する。

6)ポンプ調整によって、還流温度、還流流量を調整する。

7)終了後、腹腔内溶液をすべて吸引。

 

⇒静脈投与による従来の化学療法よりはるかに高い濃度(50~70倍)の抗がん剤に、直接がん細胞が暴露されることで、抗腫瘍効果が増強されていると考えられています。

 

臨床試験では、播種の抑制と高い生存率が確認された

滋賀医科大学で、『HIPEC』を行ったケースと行わなかったケースを比較し、下記のように5年生存率に顕著な差が現れたという報告があります。

  

<HIPEC後の5年生存率>

IA:92.2%

IB:85.3%⇒100%

II:72.1%⇒100%

IIIA:52.8%⇒90.9%

IIIB:31.0%⇒77.9%

IV:14.9%⇒28.9%

 

滋賀医科大学の報告によると、術後の副作用については、発症する可能性のあった【熱傷、腸閉塞、腎機能障害】については現在まで起こっていないと言われています。その理由として、高濃度の抗がん剤を使用しているが術後にすべて吸引することで、血中移行が少ないこと、また還流時間の短縮化により患者への体の負担が軽減したことなどが挙げられています。

 

未だ臨床試験の段階であり、保険適用とはなっていませんが胃がんに関しては現在申請中との報告もあり、一般治療として普及する日も近いと言われています。

(photoby://pixabay.com/

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-02掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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