気になる病気・症状
耳硬化症の手術の後遺症は?安全な手術のための医師選びから症状・検査について
耳硬化症は、耳の奥にある耳小骨の付近に骨のような組織が出来てしまう病気のことで、耳小骨がうまく動かなくなるせいで難聴を引き起こします。
耳硬化症の手術とその後遺症を見ていきます。
●耳硬化症手術では耳小骨を入れる
耳硬化症で問題を引き起こしているのは、耳小骨の付近に出来た骨のような組織ですので、耳小骨を組織ごと取出します。
ですがそのままでは耳が聞こえなくなってしまうので、今度は人工の耳小骨を入れ込んでそれを自分の耳小骨として使います。
人工の耳小骨は、チタン系のものもあればセラミックのものもあります。
なお、手術にかかる時間は全身麻酔で1-2時間、必要な入院期間はおよそ1週間です。
●めまいなどの後遺症
耳硬化症手術の成功率は80%以上、高い場合は90%を超えることも珍しくはないので、後遺症が残るケースの方が珍しいです。
起こり得る後遺症の一例をあげておきます。
・めまい
・却って難聴がひどくなる
・味覚障害
・顔面の麻痺
●安全な手術のための医師選び
耳小骨は非常に小さな組織なので、少しのズレが大きな後遺症を生み出してしまう可能性もあります。
そこで重要になってくるのは耳硬化症の手術に慣れている医師、執刀経験の多い医師を選ぶことと言えるでしょう。
今までの手術実績はもちろん、成功率なども参考にしながら病院を選べる状態がベストです。手術実績について一度病院に訊ねてみてもよいでしょう。
耳硬化症の手術は必ずしも行わなければいけないものというわけではなく、聞こえ方を確認して最終的に手術を勧められることが多いです。
補聴器での回復もある程度見られる病気ですので、どうしても手術のリスクなどが怖いという場合は、補聴器で対応してみるのもひとつの方法と言えます。
手術で治ります!耳硬化症
耳硬化症とは、思春期以降に発症する伝音性難聴で、耳の奥にあるあぶみ骨というところが動かなくなることで発症する病気です。だんだん耳が聞こえなくなってきて、耳鳴りやめまいなどの症状が出てくることがあります。
聴力がそれほど落ちていない場合は、手術の必要は無く、循環改善薬などで聴力の保持を試みます。あぶみ骨の可動性が低下してきて、難聴が進行してきた段階で手術を行います。
手術はあぶみ骨を人口骨に置き換えます
耳の穴か耳の後ろを切開して、あぶみ骨を長さ約4mmほどの人口骨に置き換えて、あぶみ骨が動くようにします。
難聴は手術でほぼ回復が可能です。
人口骨は一生涯使用可能なので、取替えの必要はありません。手術が成功すれば再手術は必要ありません。
術後は入院が必要です
手術前日から入院し、一週間ほど入院する必要があります。
麻酔は全身麻酔です
基本的には全身麻酔で行います。一時間から二時間ほどで手術は終了します。
病院選びを慎重にします
非常に精密な技術を必要とする手術なので、熟練した技術を持っている病院か医師に施術してもらったほうがいいでしょう。年間の手術数などを参考に医師を探してください。
耳硬化症による伝音性難聴は、手術で治癒が可能な珍しい難聴です。高価な補聴器を使用するより、手術を一回してしまったほうが費用として安くつくこともあります。手術が必要な程度の難聴状態にあるようでしたら、手術することを検討してみたほうがいいでしょう。
原因不明の耳硬化症!かかりやすいのはどんな人?
耳硬化症という病気は耳の中に骨状の組織が大量に出来てしまうのが特徴です。
本来は耳の中にはないものが出来るので、耳の中で自由に動いていたはずの器官の働きを邪魔して難聴になります。
ただし、耳硬化症のはっきりとした原因はいまだにわかっていません。
●日本人は耳硬化症にかかりにくい
日本人の耳の病気のうち耳硬化症が占める割合は1%、100人の耳の病気の患者がいたらたった1人が耳硬化症という程度です。
この数値は決して高くはなく、日本人はどちらかといえば耳硬化症にかかりにくい国民と言えるでしょう。
一方で、同じアジア人であっても、インド人は耳硬化症の患者が多いです。人種別にみると白人が最も多く、インドを除くアジア系と黒人には少ない病気です。
●男女比は1:2
耳硬化症の患者の特徴を挙げるとすればもうひとつ、女性の方が男性よりもかかりやすい病気ということが挙げられます。
男女比は1:2と言われているので、女性は男性の2倍耳硬化症の患者がいることにもなります。
●発症年齢は若いうちから
耳硬化症の発症年齢は若いうち、とはいっても乳幼児のころではなく思春期が多いと言われています。
ちょうど中学や高校で学生時代を過ごす時期に耳硬化症になり、徐々に進行して中年期から壮年期に気づくといった様相です。
思春期の時点では症状をまったく感じずに、ほかの子と同じように過ごしていたという方も少なくはありません。
耳硬化症にかかりやすい人の特徴は白人やインド系の女性、思春期でかかりやすいと言えますが、日本人の男性でもかかる可能性はもちろんあります。
なお、耳硬化症の原因はよくわかっていませんが、手術をすることで改善することが多い病気ですし、補聴器の効果もあるので、治療法は確立されているといえるでしょう。
耳硬化症進行により平行して進行していく症状
耳硬化症は進行性の難聴です。思春期以降に聴力が低下し始めて、40代頃には難聴がかなり進行しています。症状が進行していく過程でいくつか出てくる症状があります。
耳鳴り
聴力の低下とともに、耳鳴りも進行していきます。両側におこることも、片側のみのこともあります。あぶみ骨の手術をして難聴を回復させても耳鳴りは残ることもあります。
めまい
耳硬化症が進行すると、内耳にも影響が出てめまい症状が起こります。メニエール病と同じ理屈で起こりますが、耳硬化症がある場合は内リンパ水腫という病名になります。
循環改善薬などでの治療が行われます。また手術をすることで後遺症として出る場合もあります。
手術後の経過
手術後に聞こえる音域があったりなかったりといった症状が出る場合があります。また味覚障害などが出る場合があります。耳鳴りやめまい症状が発症したり、悪化したりする可能性があります。
耳硬化症は両側性
片側だけの症状が進行していく場合もありますが、残りのほうの耳も硬化症が進行していくことが多いです。片方がかかっている場合は両方をあわせてみていく必要があります。
耳硬化症は難病で、遺伝が関係しているといわれています。
有色人種では罹患率が低いのですが、白人では罹患率が5パーセント以上と高くなっています。
有色人種には珍しい病気なので、認知率も低く、熟練した医師や手術を行える施設も多くあるわけではないので治療に際しては、なるべく症例を多く扱う施設や医師に診察してもらったほうがいいでしょう。
耳硬化症の診断のために行われる検査 検査で痛みはほとんどないので安心して
原因不明で耳の中に骨状の組織が出来てしまう病期が耳硬化症で、すべての耳の病気のうち1%程度は耳硬化症と言われています。
耳硬化症の症状には難聴や耳鳴りがあります。そんな耳硬化症の検査はどのように行われるのかを見ていきます。
●鼓膜を見るティンパノメトリー
ティンパノメトリーとは、鼓膜の動きを知るための検査です。耳の穴に機械をつけて、内部の空気圧を変化させます。
すると鼓膜が動くので、あとは鼓膜の動きをグラフで見て病気の判断をします。
ティンパノメトリーは、耳硬化症の他に耳管狭窄症や中耳炎の検査としても役立っています。
●基本となるのは聴力検査
耳硬化症は名前からもわかるように耳の病気ですので、耳の病気を調べる基本となる聴力検査ももちろん行われます。
耳にヘッドホンを当てて、ピーという音が聞こえてきたらボタンを押すタイプのオージオグラフを使った検査が一般的です。
そしてこの検査で出来るオージオグラフというグラフから、耳硬化症をチェックします。
●耳小骨筋反射検査
耳硬化症のメカニズムともっとも深くかかわっているのが、非常に小さな骨である『耳小骨』です。
この耳小骨の動きを調べるための検査が耳小骨筋反射検査で、顔面神経麻痺が起こっているかどうかを確認するにも役立つ検査でもあります。
片耳に耳栓を、もう片方には聴力検査の時のようにヘッドホンをつけて、音を聴く検査です。
耳硬化症の診断のための検査はいずれも耳で音を聞いたり、耳に空気を入れたりする検査です。
どの検査においても痛みはありませんが、ティンパノメトリーでは耳内部の空気圧を変えることから、痛みというよりも違和感があります。
飛行機に乗った時の耳閉感に似ている、キーンとした感じです。
(Photo by: [http://pixabay.com/static/uploads/photo/2014/03/12/18/06/boys-286179_640.jpg])
著者: カラダノート編集部