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はさみやペンが怖い人は要チェック!先端恐怖症の診断基準を知ろう!先端恐怖の症状を重くしないための考え方。他の精神疾患との関係..治療は受けるべき?受けなくてもよい?
はさみやペン先を見ると、どうも気分が落ち着かないという方は先端恐怖の可能性があります。
先端恐怖を始めとした恐怖症の診断基準を見ていきます。
●恐怖症の基準
ある物事、出来事に対して恐怖症であるかどうかは次の5つの質問にYesかどうかでわかります。
1.特定のものや状況が非常に怖い
2.恐怖の対象に触れる、恐怖を感じる場所に行くとすぐに不安になる
3.対象への恐怖が一般的でないことを自覚している
4.恐怖対象を避ける、我慢する
5.苦痛の度合いが高い、もしくは生活に支障が出ている
先端恐怖の場合はこれらの基準の『対象』が『先端のとがったもの』となります。
●恐怖の回避は効果的ではない
恐怖症になるとどうしても恐怖の対象を避けてしまいがちですが、それは更に症状をひどくする要因にもなりやすいです。
例えば先端恐怖だからといって鉛筆やカッターを使わない生活をしていると、日常生活に影響が出るだけではなく、ふとしたときに鉛筆やカッターを見た時に、今まで以上に緊張してしまうと言われているのです。
恐怖の回避は恐怖症を改善するためには効果的ではなく、一時的な対処法としてはよくても完治のための治療にはなりません。
つらいときの一時的な手段として使う、治療に大きな影響がない程度で回避することを意識してください。
治療でよく使われるのは、恐怖の対象となるものにわざと近づく曝露療法ですので、つらいとき10回に1回くらいは、恐怖の対象を避けてもいいかという意識です。
これが2回、3回と増えないように注意が必要です。
先端恐怖症で先端のとがったものを見るのが怖いだけではなく、外に出たらとがったものに出会うのではないか不安、短時間ではあるがひどい発作が起きるというときにはパニック障害に移行している可能性があります。
恐怖症は不安系の障害やうつ病とのかかわりも深いです。
先端恐怖症…どんなものに対してどんな症状が出るの?
人が恐怖を感じる対象は人によって違いますが、健常者の場合本当にそれが自分の生命を脅かす可能性のある恐怖の対象であることがほとんどです。
しかし、恐怖症となると本当はそれが自分の生命を脅かすものではないのに恐怖を感じてしまうということになります。
先端恐怖症とは
恐怖症には様々な恐怖症があります。その中のひとつが先端恐怖症という恐怖症です。これは文字通りでイメージしやすい恐怖症で、先がとがったものに対して強い恐怖を感じます。
具体的にどんなものに恐怖を感じるのか
先端恐怖症では具体的に以下のようなものに対して恐怖を感じます。
・針
・鉛筆の先
・箸の先
・注射器
・傘の先
・刃物
・アイスピック
・髪の毛
・人の指
・爪楊枝
・ペン
・車のワイパー
程度の差がありますし、先端恐怖症の人が全員これらのすべてに対して恐怖を感じるわけではないのですが、こうした様々な尖ったものに対して恐怖を覚えます。
日常生活の中にあるものばかりですし、これら以外にも日常生活の中には先がとがったものがたくさんありますから、生活する上でも苦労がたくさんあることが想像できます。
どんな症状が出るの?
恐怖の対象も様々なら症状も様々です。多くはこうした先のとがったものがつきつけられ、それを意識することによって症状が出ます。
・強い不安感を生じる
・強い不快感を生じる
・めまいがする
・イライラする
・動悸が激しくなる
・お腹が痛くなる
・頭が痛くなる
・熱が出る
・見るだけで人を傷つけてしまうのではないかと考えてしまう
刺さる心配がなくても恐怖を感じることもあるようです。対象のものがどれくらい近いとだめなのか、見ているだけでもダメなのかということも人それぞれです。
他の恐怖症である高所恐怖症は不自由はあるにせよ高いところを避ければよいですが、先端がとがっているものは生活の中にあふれていますから、非常に困難を感じる場合が多いようです。
こんなものも恐怖の対象に!?先端恐怖症の人が怖い"先端を持つもの"
先端恐怖の人が感じるとがったものへの恐怖は、『目に入ってくるのではないか』『それによって失明するのではないか』などといった不安と一体化しています。
自分の方にはさみの刃が向かって来たら、先端恐怖でなくても思わず怖くて目を閉じて自分を守ろうとしますね。
その範囲が大きく、感じ方や不安も大きいのが先端恐怖です。
●一般的な先端恐怖の対象
一般的によく言われる先端恐怖の対象となるものを挙げてみます。これらの先端恐怖を持つ方に出会ったことがある方も多いかもしれません。
・シャープペンシルや鉛筆
・はさみ、包丁
・竹串、爪楊枝
・針(注射針、裁縫針など)
・指を自分に向けて指される
・箸
・傘
●こんなものも?な先端恐怖の対象
鉛筆やはさみほどメジャーではないものの、以下のものに恐怖を覚える場合も先端恐怖の可能性があります。
・三角形、Aという文字
・避雷針
・紙、ティッシュなどの角
・洋服をかけるフック
・前髪
先端恐怖症の対象はいろいろで、他人から見たらとがっていないように見えるものでも、本人が『目に入ってきそう』と思うようなものは先端恐怖の対象になりえます。
どんなものが怖いのか、どんなふうに暮らせばよいのかを工夫していく必要があると言えるでしょう。
本格的に先端恐怖を治すには、やはり心理療法と薬物療法が一番です。日常生活に与える影響が大きい場合は、これらの治療を考えてみてください。
心療内科もしくは精神科でとがったものが怖いと相談すれば、適切な治療を受けられます。
心理療法ではあえて恐怖に体を慣れさせる曝露療法が用いられることが多いので、最初のうちは恐怖症なのに恐怖に向き合うことに対して抵抗感を覚える方もいます。
ただし、恐怖に慣れていけば完治するので少し頑張ってみてください。
先端が怖いのは自然な反応です!先端恐怖の症状を重くしないための考え方
先端恐怖は、とがったものを見たりとがったものが迫ってくると怖いと感じ、めまいや心臓のドキドキに悩まされます。
高所恐怖症などと同じ恐怖症の一種で、恐怖症は不安障害とは違って、恐怖の対象がしっかりと本人にも認識できます。
●先端が怖いのは自然な反応
先端恐怖症をこれ以上悪くしないためには、先端恐怖への感じ方を見直してみる必要もあります。
まず、先端が怖いというのは、人間としてはかなり自然な反応であることを覚えておいてください。
動物の牙・ナイフなど、先端がとがっているものは人間の生命を脅かすものだったことから、体を守る反応としてある程度とがったものが怖いのは異常ではありません。
それがちょっと行き過ぎただけと考え、必要以上に先端恐怖症に振り回されないような考え方にシフトしていきましょう。
●治療せずに対処する方法もあります
恐怖症の治療には、曝露療法やそれにプラスして不安を抑える薬物療法などが用いられますが、これらは絶対に行わなければいけないわけではありません。
先端恐怖症の場合もそのほかの恐怖症の場合も、治療が必要とされるのは生活に著しい影響を及ぼすときです。
例えば日常生活で包丁などを使うのにはそこまで抵抗はないが、病院での注射が怖いといったような先端恐怖症では、病院で注射を打つ時だけ目をつむるといった対症療法で乗り越えられます。
必ず直さなければ、と思うのではなく付き合っていくことも考えてみてください。
先端恐怖症そのものは生活への影響が小さければ直す必要はありませんが、不安やうつの症状がひどい場合は別の病気が疑われるので、病院で治療した方が良いです。
気分が落ち込んでどうしていいかわからない、何を聞いても見ても悲しいと思うのであれば、一度心療内科で先端恐怖と不安のことを医師に伝えてみましょう。
尖ったものがダメな先端恐怖症…先端恐怖症からなりやすい他の精神疾患の関係
先端恐怖症という恐怖症を聞いたことがある人は比較的多くいると思いますし、疾患として正確に内容を認識されているものと思います。
尖ったものがダメな先端恐怖症
ナイフに対して恐怖を感じるのは心の反応として当たり前ですし、正常です。
しかしナイフをはじめとして人の指、箸、傘の先などに対しても大きな恐怖感を持ち、異常なほど反応してしまうのが先端恐怖症です。
先端恐怖症の場合、ただ怖いと思うだけよりもめまいや動悸といった身体症状が起こります。
パニック障害に移行することも…
先端恐怖症ではそこまで過度に重い症状は出ません。しかし、生活空間の中には先がとがったものがたくさんありますからそうした環境の中でストレスを溜め続けると、次第に見られる症状が重くなっていくことがあります。
もし先端恐怖症の症状として動悸や息苦しさを「このまま死んでしまうのではないか」というくらいまでに感じたのであれば、もしかしたらそれはパニック障害に移行している、あるいは併発してる可能性もあります。
うつ病やストレス性疾患の部分症状という見方も…
先端恐怖症の症状は特に睡眠不足や疲労などで体が弱っているときに出やすかったり、重くなりやすかったりする傾向があるようです。
そのことから先端恐怖症の症状がストレス性疾患の症状のひとつなのではないかとも言われています。また更にはうつ病が先端恐怖症のひとつの原因になっているとも考えられています。
具体的な精神疾患との関連が考えられるのは、先端恐怖症の症状緩和に薬物治療が有効ということが一つの要因かもしれません。
実際うつ病の治療に使われる、脳内神経伝達物質であるセロトニンに作用する抗うつ薬は、先端恐怖症の治療にも使用されます。
直接的な関係はなくてもセロトニンとの関係は大きいと言えるでしょう。
先端恐怖症、治療は受けるべき?受けなくてもよい?
包丁が自分に向けられていたら誰でも恐怖を感じるのが当たり前ですが、指が自分に向けられているなら、不快であっても恐怖は感じません。
先がとがっているものに恐怖を感じる先端恐怖症は、発症していても、その症状の強さや症状が出る場面は実に様々です。
程度が様々な先端恐怖症
爪楊枝を自分の顔に近づけられるとドキドキと動悸が止まらなくなるという人もいますし、刃物を見ているだけで心臓がどきどきして、他人を傷つけてしまうのではないかという思いが止まらなくなるという人もいます。
また、授業中に先生が持っているチョークが気になって仕方がなく、不快で授業に集中できないという人もいます。このように先端恐怖症の症状そしてその程度は様々です。
治療は受けた方がいい?受けなくてもいい?
先端恐怖症は程度の差がありますから、普段は恐怖症を持っていても普通に生活していけている人も多くいます。その場合、先端恐怖症を生じていても治療を受ける必要はありません。先端恐怖症で命を落とすこともありません。
しかし、逆に先端恐怖症の症状によって日常生活に支障が出るのならば治療を行った方がよいでしょう。
特に日常生活の中で避けられないものに恐怖を感じてしまうならば早めに対処した方が良いです。
トラウマが隠れていることもある
先端恐怖症の大元の原因に過去のトラウマが隠れていることもあります。しばしば自分なりの対処法(サングラスをかける、眉間をおさえるなど)で恐怖心が和らぐこともありますが、それは根本的な治療ではありません。
症状がひどいのであればトラウマの可能性も考えてカウンセリングを受けるとよいでしょう。
本格的に精神療法をしていくとなったら、恐怖の対象としっかりと認識し、向き合うことが必要になります。
(Photo by: http://www.ashinari.com/2011/08/29-349526.php )
著者: カラダノート編集部