気になる病気・症状
脊髄小脳変性症患者必見!~日常で取り入れられる細かい作業のリハビリ~
脊髄小脳変性による症状で、起き上がり、立ち上がり、遠くのもの取る動作、移動など日常生活で体を動かすような動作がしにくくなってきます。しかし、これは病気によって筋力が落ちるわけではなく、体の動きを上手に調整することが難しくなる症状によるものです。少しでも身体の能力を維持・向上するためにも意識して運動するようにしましょう。
起き上がり
腹筋をするように体を真っ直ぐに起こそうとすると、体や足が震えてしまったり、足が浮き上がってしまったりなどでうまくいかない事があります。
一旦横向きになって、ベッドであれば足をベッドの外に下ろして、肘・手でベッドや手すりを押して起き上がると安全に起き上がることができます。これを繰り返して練習します。
立ち上がり
ベットや椅子から立ち上がる
トイレや電話がなったなど急いでいる時に、手すりなどにつかまりながら立ち上がろうとすると、手すりをつかみそこねて危険なことがあります。
座った状態で足を軽く引いて、肩幅程度に広げて、お辞儀をするような気持ちで体を前に倒して立ち上がります。勢い良く立ち上がりがちですが、ゆっくりと立ち上がることを心がけましょう。これを繰り返すことで、立ち上がりの練習にもなりますし、運動しないことによる筋力の低下も予防することができます。
床から立ち上がる
一度片膝を立ててからゆっくりと立ち上がります。手すりや家具などに手をついて立ち上がるときは、固定された動かないものを選び、つかみそこねのないようにしっかりと手をついたことを確認してからにします。難易度は高めなので、安全な場所で無理をしないで行いましょう。
歩行
真っすぐ歩けずに歩幅が大きく、ふらふらとした歩き方になる症状もよくみられます。
膝を軽く曲げて、歩幅を小さくして歩くように心がけます。ふらつきを抑えるために、全身に力を入れてしまうことがよくあります。肩の力を抜いて歩くことを意識しましょう。
杖は、床につくときに震えてしまうなど危険なこともありますが、杖の種類や持ち方によって有効なことがあります。杖や歩行器の適応、また危険を回避するために車いすでの移動も検討が必要になる場合があります。医師や理学療法士、作業療法士などに相談してみましょう。
バランスの練習
立って歩くだけでなく、生活の中ではたった状態で色々なところに手を伸ばしてものをとったり、作業をすることがあります。座って遠くのものをとることもあります。わざと少しバランスの悪い姿勢で練習することも大切です。
四つ這い、膝立ち、立位で重心移動の練習、座った状態での重心移動の練習や、上下に手を伸ばしたり、少し体をひねるなどです。
どの方法も、自分自身でできる範囲の運動を継続して続けましょう。全ての事をやろうとせずに、「今日はこれとこれ」など自分自身で調節して無理の無い範囲で行ってください。また、疲れたら休息をとって、ストレッチも忘れないようにしましょう。また、自分自身にあったリハビリ方法を知るためにも、医師や理学療法士、作業療法士にも自宅でできるリハビリを相談してみましょう。
脊髄小脳変性症患者が日常で取り入れられる細かい作業のリハビリ どんなものがある?
脊髄小脳変性症では、その症状によって日常生活で行うような細かな作業が行いにくくなります。ここでは主に小脳が主な原因で起こる運動失調症に対するリハビリについてまとめます。
行いにくくなる細かい作業
・書字
・箸、スプーンの操作
・包丁やキッチンバサミの操作
・炒めものを混ぜる
・パソコンのマウスの操作
・アイメイクなどの化粧 など
行いにくくなったと感じる動作は生活の中で日常的に行う作業がその人によって違うため、個人差が大きいです。一人ひとりにあった運動をしていくことが必要になります。できることを安全にできる限りは「やめない」ということがとても大切です。
リハビリの方法
実際に行う動作を繰り返すことも大切ですが、似たような動作で体の機能の維持・向上を目指してみましょう。
例
・書字→大人の塗絵、渦巻きをかく、線をなぞる、クロスワードパズルなど
・オセロのコマを並べる
・ハサミで線を切る
・テーブルや棚、壁などに線や点をテープなどで貼ってそこに手をのばす
・おいてあるティッシュ箱に当たらないようにするなど目標点を決めてテーブルを拭く など
リハビリのコツ
自分自身で少し難しいくらいの作業を、嫌にならない程度の範囲で行ってください。一気にたくさんの事をやるより、少しずつでも毎日続けていくことが大切です。一般的は下記のように難易度が上がります。
・体の近くで作業する→遠くで作業する
・早く動かす→ゆっくり動かす
・大きなもの→小さなもの
・自分の好きなペース→音楽などリズムに合わせて
アフターケア
細かい作業を行うと特に、体の揺れを抑えるために、全身に力を入れてしまって疲れきってしまうことも多々あります。もちろん、作業中に力を抜くことも大切ですが、少し疲れたなと思ったら、休息を取りストレッチなどで固くなった筋肉を十分に伸ばしてあげましょう。
一人ひとりにあったリハビリ方法があります。自分自身で日々工夫し、考えて調整することも大切ですが、かかりつけの医師や作業療法士、理学療法士などの専門職にもぜひ相談してみてください。
脊髄小脳変性症によって生じる運動失調 生活に影響するその症状とは?
脊髄小脳変性症により出現する症状。ここでは主に運動失調の症状がどんなことが生活に影響するかまとめます。
症状
・何かをとろうとすると、目標物をこえてしまったり、逆に手前で止まってしまったり、ちょうどいい位置に手をもっていけない
・反復したリズミカルな運動ができない
・スムーズな動きができない
・運動の開始と停止が遅れる
・目標物に近づくにつれて、手や足の先の震えが強くなる
・立っている姿勢や座っている姿勢も不安定になる
・歩行が不安定になる。足を横に大きく開き、膝を伸ばしたまま、大きく踏み出したり、体幹の揺れが強い
・ろれつが回らず、不明瞭でとぎれとぎれで突然大きな声を出すようなしゃべり方になる
・眼球運動の調整が苦手になり眼振が起こる
具体的な例
ソファから移動して、食卓テーブルで食事食べる場面
ソファから立ち上がって移動する
・立ち上がるときに大きくふらついて、後方に転倒しやすくなる
・立った姿勢・歩行が不安定で足を踏み出すと大きく揺れる
・食卓イスに手をつこうとして、つかみ損ねる。つかもうとして手が震える。
箸を持って食事を食べる
・箸を持とうとすると行き過ぎて箸を持てなかったり、震えて持ち上げづらかったりする
・箸でものをつかもうとして、お皿にあたってしまう
・口に運ぼうとするが震えたり、口の中をさしてしまったりする
かかってきた電話をとってメモをとる場面
会話
・不明瞭なしゃべり方になるので発症前よりも聞き取りづらくなる
メモをとる
・字を書こうとすると字が揺れたりなどする
一例ではありますが、日常生活の中で動作のしにくさがでてきます。主な動作のしにくさの原因、揺れに対処するために全身に力を入れている事が原因のようです。肩をすくめ、脇を閉めて机上での作業をしたり、膝を伸ばして何かによしかかって立っていたり、極端に猫背にして座っていたりなどするため非常に疲れやすくなります。
また、脊髄小脳変性症にはパーキンソン症状や自律神経障害の症状が強く出るものもありますので、その場合にしづらい作業はまた変わってくることもあります。
対処の方法も生活環境も個々人によって違うため、その人のスタイルにあった対処法やリハビリが必要になります。
多系統萎縮症で利用できる福祉サービスとは?福祉用具とサービス選びのポイント
徐々に進行し、介護する可能性が高い多系統萎縮症。自分らしく生きるために、家族らしく接するためにどのようなサービスを利用できるのか、あらかじめ知っておくことで、その時に焦らずに余裕を持つことができるかもしれません。
費用
・費用負担額は1割
・要支援1~要介護5で各サービスごとに上限額が決まっているのでケアマネージャーなどに相談してみましょう。
居宅サービス
自宅で生活するために受けることができるサービスです。自宅内で受けるサービスだけでなく、通所でサービスを受けることができます。
訪問で受けるサービス
・訪問介護
・訪問看護
・訪問リハビリ
自宅内にサービススタッフを入れることに抵抗のある方もいるかもしれませんが、掃除だけ頼む、入浴だけ頼むなどの利用の方法もできます。自分にあった人や自分の要望にあったサービスを受けられるように、契約している事業所のケアマネージャーに相談してみましょう。
通所で受けるサービス
・デイサービス
・通所リハビリ
・ショートステイ
・老人保健利用の短期入所
自宅で家族が介助するには負担が大きい入浴をサービスとして利用されている方も多くいます。ご本人に日中の活動の場を提供するとともに、家族は自分自身の時間を得ることができます。「自分が行くようなところじゃない」など、若年であるほどデイサービスなどを利用することに抵抗のある方もいます。しかし、現在はデイサービスの事業所ごとに特色があるので、候補を見学してみて合う合わないを検討してみましょう。いざ、サービス利用が必要になった時に自分の希望に合う場所を選ぶ事ができます。
介護保険でレンタルできる福祉用具
移動補助
車いす、歩行器、杖(松葉杖、ロフストランド杖、4点杖など多点杖)、移動式(工事が不要)手すり、移動用リフト
寝具
電動ベットなどの特殊寝具、褥瘡予防用具(エアマットなど)、体位変換器
介護保険で購入できる福祉用具
・ポータブルトイレなどの腰掛け便座
・特殊尿器
・入浴補助具~浴室椅子、浴槽に渡す板など
・簡易浴槽
施設入所サービス
・老人保健施設
・特別養護老人ホーム
・介護保険利用の療法病床(病院)
自分の希望にあった生活を送るためにも、情報を蓄えておくことも大切なことです。
(Photo by:http://www.ashinari.com/2012/02/29-358447.php)
著者: カラダノート編集部