ガン・悪性腫瘍
脳腫瘍、胆管がんについて知ろう、腎臓の腫瘍には「抗がん剤か効きにくい理由」とは?セカンドオピニオンのメリットデメリット
脳腫瘍は組織型や悪性度によって分類されます。
組織型による分類方法
世界保健機構の分類では脳腫瘍は組織型によって
星細胞腫、乏突起膠腫などの神経上皮細胞腫瘍
悪性リンパ腫、胚細胞腫瘍などのその他の新生物に分類されます。
悪性度による分類方法
悪性度分類では脳腫瘍は最も良性のグレードⅠから
悪性のグレードⅣまで4段階に分類されます。
ただし、脳は生命の維持に極めて重要な臓器でありますので
良性腫瘍であっても正常組織を圧迫することで
重篤な生命の危機をもたらすことがあります。
以下ではいくつかの脳腫瘍を紹介します。
高悪性度星細胞腫
成人で最も一般的な原発性の脳腫瘍で好発年齢は45~55歳です。
50歳以上であるか全身状態の程度などによってクラス分類され
クラスが高いほど予後が悪く生存期間が短くなります。
周囲の組織を浸潤していくことが特徴で
高頻度に正中を挟んで反対側にも浸潤していきます。
症状としては一般的に
・頭蓋内圧の亢進
・けいれん発作
・局所の神経障害
などが表れますが周囲の浮腫の位置や大きさによって様々な症状が表れます。
転移性脳腫瘍
頭蓋内腫瘍の中で最も一般的なものでその頻度は
原発性脳腫瘍の10倍にもなりますが
診断学と脳外科治療技術の向上によって現在では治療を
受ければ脳転移が原因で死亡する患者さんはほとんどいません。
いずれの疾患も早期の発見が重要になりますので
気になることがありましたら速めに病院を受診しましょう。
胆管に発生する胆管がん
肝臓で発症する悪性の腫瘍の中に胆管がんがあります。胆管とは肝臓と十二指腸を結ぶ管で、肝臓で作られた胆汁を十二指腸に出す際の通り道です。この約8㎝の細い管は肝外胆管と肝内胆管にわけることができるのですが、悪性腫瘍が発生した部位により肝内胆管がんと肝外胆管がんの2種類にわけることができ、一般的に胆管がんと言うと主に肝内胆管に発症した悪性腫瘍のことを指します。
胆管がんは胆管内膜の粘膜から発生し広がっていきます。その進行の仕方によって大きく3つにわけることができます。
浸潤性発育
肝外胆管がんで最もよく見られる広がり方で、内側の粘膜から発生したがんはインクが染みていくように周囲へ広がっていきます。
胆管内発育
胆管の内側にだけ広がって、組織が盛り上がるような形で大きくなっていきます。
腫瘤形成性発育
出来た腫瘍がさらに塊を作って大きくなっていきます。
主症状
肝内胆管がんは肝臓にできたがんとして肝細胞がんと一緒に取り扱われることの多いがんです。症状も一般的な肝臓の疾患とかわらず以下のようなものが見られます。
黄疸
黄疸尿
かゆみ
白色弁
上の三症状は黄疸に付随して見られる症状で、胆汁がうまく流れないことによって胆管内を胆汁が逆流し、血管の中に入るようになることで起こります。胆汁中にふくまれるビリルビンと言う黄色い酵素によって引き起こされ、皮膚や目に症状が出るとそれらが黄色がかって見え、血中から尿中に排泄されると尿が茶色っぽくなります。また、胆汁中に含まれる胆汁酸と言う物質がビリルビンと共に血中に入ることでかゆみがひきおこされます。逆に白色便は胆汁が腸内に流れなくなることによって起こります。
治療や手術ができるかできないか、生存率や再発率は、病気の進行度や患者さんの年齢、合併症の有無によって左右されますので、一概にこうした場合はこうと言えるわけではありません。ただ、手術後の生存率はあまり高くないようで、放射線治療や化学療法による完全な治癒は望めません。
腎臓の腫瘍には「抗がん剤か効きにくい理由」
腎臓の腫瘍は、発病の原因がはっきりわかっていません。しかし小児に多い「ウィルムス腫瘍」は、遺伝的疾患ではないかと言われています。ほかにも肥満や感染症、腎不全などが発症リスク因子として挙げられています。しかしいずれにしても、治療が難しいのが腎臓の腫瘍です。
ショックが大きい腎臓のがん
腎臓にがんができると、「血尿」が出るため、患者のショックが大きいがんだとされています。吐血や下血などが消化器系のがんでも見られますが、排尿時の鮮血は、強い衝撃を与える症状です。このため、気持ちを強く持つ指導やサポートが大切です。
治療は外科手術が主流
腎臓は体内の不要物を排出する器官であり、薬剤が留まりにくい性質があります。そのため他のがんで使用する抗がん剤による化学療法が、効果を発揮しにくい臓器なのです。また、腎臓のがんは「衛星病変」といって大きながんの周りに目に見えない小さながん細胞が分布することがよくあります。このため再発しやすく、手術では腎臓の全摘出が最良の方法となります。
高齢者は動脈塞栓術
高齢などのために腎臓の手術が体力的に困難な場合、あるいは転移が認められる場合には、動脈塞栓術がとられます。これはがん細胞に栄養を供給する動脈を塞ぎ、がんを自滅させる方法です。カテーテルで動脈にスポンジ製剤やマイクロコイルを挿入し、定置します。
免疫療法
腎臓のがんでは抗がん剤が効かないため、体の免疫機能を高めてがん細胞を叩く「免疫療法」が行われるケースが増えてきました。基本的には、インターフェロンやインターロイキンなどの免疫機能を高める物質を投与し、がん細胞への免疫系による攻撃力を高めます。また、患者から取り出したリンパ球を増やして体に戻す「養子免疫療法」が取られる場合もあります。
腎臓の腫瘍は転移や再発の可能性が高い、難しい病気です。抗がん剤が使用できないなどの制約もあり、腎臓の全摘出の場合には、腎臓移植が必要になる場合もあります。病状をきちんと診断した上で、納得のいく治療方法を医師と話し合うことが大切です。
セカンドオピニオンのメリットデメリットとは?
インフォームドコンセントとともに世に知られるようになったセカンドオピニオン。そんな第2の意見を聞くときに気になるセカンドオピニオンのメリットとデメリットについてご紹介いたします。
【セカンドオピニオンのメリット】
まずはセカンドオピニオンにおけるメリットは、以下のに3つなります。
・主治医の誤診を防げる
・他の治療法に対する意見を聞ける
・自分で納得のいった治療を受けられる
メリットで特徴的なのが、主治医以外の医師の意見を聞くことによって起きるリスクの軽減だと言いかえることができます。
主治医の意見が絶対として治療してみたらそれが誤診だったという事件は、近年になってよく聞くようになりました。治療に対するさまざまな意見を聞くことによって、もっと他の治療の可能性もあると知ることができます。
【セカンドオピニオンのデメリット】
セカンドオピニオンにおけるでメリットは、以下のに3つとなります。
・診断などの費用が余分にかかる
・セカンドオピニオンが無意味な場合がある
・新しい医師との関係を一から作る必要がある
セカンドオピニオンのデメリットの特徴としては、新たにもう一つの病院の医師に意見を聞くと言うことになることで生じるマイナス面となっています。
本来、主治医だけの治療であれば生じるはずのなかった利用料や新たな医師との関係作りなど患者によっては大きな負担となることもあります。
また、セカンドオピニオンが無意味だったということもあります。セカンドオピニオンは医師の意見を理解して、難しいところは主治医もわかるように話してくれるということが前提で成り立っています。
この前提が崩れてしまった時などは、セカンドオピニオンを受けても無駄になってしまう可能性もあるということもあります。
内容が最初の診断とほとんど変わらなかった場合も費用同様、時間だけがかかってしまうこともあります。
このように、今の自分に必要かどうかなど、状況に合わせてどのメリット・デメリットをとるのかをしっかり把握しておくのがセカンドオピニオンの成功には必要となるでしょう。
(Photo by http://www.ashinari.com/2010/10/29-037036.php )
著者: カラダノート編集部