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欧米を中心に術後の『免疫増強経腸栄養剤』で、術後感染症が低下する報告!

従来、日本の治療方針の基本として、薬物治療が中心であり、栄養摂取は特殊な作用を持たない栄養素を補うためのものという位置づけでしたが、現在では欧米を中心に『免疫栄養法』という術前・術後の栄養剤の摂取で、感染症などの合併症罹患率が有意に低下すると報告されています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

免疫増強栄養剤による『免疫栄養法』とは 

欧米では、免疫栄養法は、『イムノ・ニュートリション』呼ばれており、外科手術前後に体力・免疫力が落ちて、細菌やウイルスに対する生体防御機能が弱くなることで、感染症が起きやすくなることに対し、特殊な栄養摂取法によって、これらを未然に防ごうとする療法のことを言います。

 

使用される『免疫増強栄養剤』には、主に【オメガ3系多価不飽和脂肪酸、アルギニン、グルタミン、核酸】などを配合した経腸栄養剤が中心で、市販のものとしては米国製のIMPACT(無味)や日本製のインパクト(ヨーグルト味)(味の素ファルマ)などが発売されています。これらは日本では医薬品ではなく食品の扱いとなっているため、一般の方でも購入することが可能です。

 

なぜ『免疫栄養法』が重要視されるか? 

近年、抗生剤を投与しても防げない感染症もあるとわかり、栄養管理の重要性が再認識されてきています。栄養不良が続くと、全身の免疫機能の低下(胸腺、リンパ節、扁桃、脾臓など免疫組織の萎縮、末梢血リンパ球数の減少など)が生じ、感染症にかかり易くなることが分かっています。積極的に免疫を増強することで、『入院日数の短縮化や生存期間の延長』を行う効果があると見られています。

 

<栄養不良による免疫系への影響>

◆リンパ球数の減少

◆抗原に対する皮膚の免疫反応が悪化

◆手術後の傷の治癒が遅くなる、易感染

 

<経腸栄養法による改善効果>

◆腸管の細菌に対するバリア機能の維持バクテリアル・トランスロケーション(腸管から全身への感染症拡散)の予防)

◆粘膜からのIgA分泌促進による感染防御肺炎にも有効

◆全身の50%を占める最大のリンパ組織である腸管から、サイトカイン・好中球の活性化を維持

◆蛋白・アミノ酸代謝の改善

 

免疫機能を調整する栄養成分の詳細 

免疫増強栄養剤に配合されている【オメガ3系多価不飽和脂肪酸、アルギニン、グルタミン、核酸】などは、体内でどのような働きをしているのでしょうか。

 

◇オメガ3系脂肪酸シソ油含有のα-リノレン酸、魚油含有のDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)など)

 

代謝の過程でオメガ6系脂肪酸(リノール酸やアラキドン酸など)と競合し、過剰な炎症性物質(プロスタグランジン、ロイコトリエン)を抑制し、免疫系を調整するものと考えられています。オメガ3系:オメガ6系の比率により、T細胞の増殖やサイトカイン産生が変化すると言われています。また、アルギニンとの併用で生体防御を高めるという報告もあります。

 

◇アルギニン成長下やストレス下では補給が必要なアミノ酸) 

T細胞の分化や成熟を亢進し、創傷治癒効果が高まると言われています。外科手術後に、食事中のアルギニン量を3~4倍に増加すると、T細胞機能の改善が得られることが報告されています。また、成長ホルモンやプロラクチン、インスリンなどのホルモンの分泌増加による免疫賦活作用も確認されています。

 

◇グルタミン 

侵襲時に筋肉から大量に合成、放出され、腸や免疫担当細胞の主要なエネルギーとなると言われています。また、腸管バリア機能の維持によるバクテリアル・トランスロケーションの予防や、免疫能の増強効果などもあります。

 

◇核酸

DNAの構成成分であり、免疫機能を増強させるサイトカインや免疫細胞の産生に寄与します。

 

また上記以外の栄養素として、『食物繊維やビタミンA・C・E、亜鉛、タウリン』などが挙げられています。これらは、腸粘膜の萎縮予防や、耐糖能改善、腸内細菌叢の維持、抗酸化作用、免疫細胞の活性化などの役割があり、併せて摂ることでさらに治療の促進が期待できそうです。栄養療法を利用し、早期の回復を図って行きましょう! 

(Photo by://pixabay.com/

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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