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ガン・悪性腫瘍

悪性度の高い『スキルス胃がん』治療の進歩によって、生存率はどれだけ改善されたか?

胃がん全体の約10%を占める悪性度の高い『スキルス胃がん』は、粘膜の下でがん細胞が増殖していくため、X線や内視鏡検査による胃表面の病変は小さく見え、早期発見が困難になることが多くあります。また、増殖速度も速く、通常の胃がんの約6倍の速度であることから、1年間で急に進行し成長した状態で発見されるケースも多いと言われます。さらに、スキルス胃がんで最も問題なのが、胃壁を突き破ってがん細胞が腹腔内に撒き散らされる『腹膜播種』です。この状態では胃摘出を行っても、散らばったがん細胞には対処できず、有効な治療法がない状態となることも少なくないとされています

 

しかし、現在の標準治療薬である『TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)』『タキサン系抗がん剤』が登場して以降、血中からの全身投与と、脂溶性薬剤の特性である長時間の腹腔内滞留が可能となり、高い抗腫瘍効果を発揮することとなりました。また近年では、抗がん剤を直接腹腔内に注ぐ『温熱化学療法』が導入された結果、1年生存率78%、2年生存率47%という良好な成績が示され、腹腔内に散らばったがん細胞が縮小、消失した症例も報告されていると言います。以下では、それらの詳細について見て行きたいと思います。

 

 

『スキルス胃がん』とは?

 

スキルス胃がんは、胃がんの中でも特に発見しにくいと言われていますが、その理由は胃壁全体にがん細胞が広がってしまうタイプであるためと言えます。胃がんは次の1~5型(ボールマン分類)に分類され、その内スキルス胃がんは4型に当たります。

 

◆1型

細胞と細胞が密にくっついて固まり、隆起を作るタイプ。

◆2型

えぐれたような潰瘍ができているタイプ

◆3型

細胞と細胞が離れやすく、潰瘍ができて崩れているタイプ。

◆4型

表面にほとんど凹凸がなく、がん細胞が胃壁の中にパラパラと広がっていくタイプ。スキルス胃がんもこのタイプ。

◆5型

その他で、1~4型に当てはまらない胃がんがここに分類される。

 

術前補助化学治療で生存率は変わるか?

 

スキルス胃がんの標準治療【タキサン系薬+TS-1の併用投与】が登場する1999年以前では、腹膜播腫患者の生存期間は約8カ月であり、2年生存率も6.3%と非常に少数でしたが、1999年の上記の治療法が行われるようになって以降、『生存期間は13.7カ月、2年生存率は33.7%』と大幅に向上しました。その後、『術前化学療法』が行われるようになって以降、さらに治療成績が上昇したと言われています。

 

<術前化学療法のメリットとは?>

術前化学療法のメリットは、強力な治療が行えるという点にあります。手術後は体力が低下しているため、強い抗がん剤治療が実施できません。術後化学療法(TS-1の単剤)の平均継続期間は、半年が7~8割、1年間継続が6割程度となります。一方、術前化学療法は、強力な治療にも耐えることが可能となります。

 

◆金沢大学院の臨床試験で、高度腹膜播種の患者に【術前タキサン系薬+TS-1の併用投与】を行った症例があります。

 

<試験内容詳細>

高度腹膜播種の患者22名を対象に、術前タキサン系薬+TS-1の併用投与を行った。

 

⇒結果、内10名に1)肉眼的播種の消失、2)腹水消失、3)細胞診陰性、さらに胃切除後4)生存期間944日に延長した。

 

『温熱化学療法』による治療成績は?

 

また、前述のように近年では『温熱化学療法』という42℃程度に熱した抗がん剤を腹膜全体に還流させるという手法も併用されている例があり、これによって治療成績がさらに向上しています。

 

◆東京大学における、温熱化学療法有効性を調べる第2相試験では以下の結果となりました。

 

1)07~09年の有効性を調べる第2相試験では、1年生存率が78%、2年生存率47%という優れた成績を示した(これ以降、高度医療に認定)。

 

2)09年12月以降は、高度医療制度下で再び第2相試験が行われ、『肉眼的な腹膜播種がある』症例1年生存率が約80%という、前回の第2相試験とほぼ同等の結果が出た(白血球減少や好中球減少などの副作用についてもほぼ同様の結果となった)。

 

最後に

 

上記の臨床試験の結果を受け、良好な成績が得られたことで、臨床試験は次のステップに進むこととなっているようです。今後は、さらに臨床試験の症例数を増加し有効性を検証していく予定であるとのことです。

 

(Photo by://pixabay.com/ja/%E8%96%AC-%E6%B2%BB%E7%99%82%E6%B3%95-%E3%82%BF%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88-%E8%96%AC%E5%B1%80-%E5%8C%BB%E7%99%82-%E7%97%85%E6%B0%97-%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99-257389/ )

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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