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乳がん転移の治療法『腋窩リンパ節郭清』による後遺症の可能性は?

乳がんは、進行するとわきの下のリンパ節から転移し(=リンパ行性転移)、全身に広がることがあります。この治療法として従来行われてきたのが『腋窩郭清(えきかかくせい)』というわきの下のあるリンパ節を摘出することです。

 

しかし、現在ではこの治療法の有無が生存率を左右するという確証がないことから、実施されないケースも増えてきていると言われています。では、その判断基準とはどのようなものでしょうか?

 

以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

腋窩リンパ節郭清の詳細について

摘出を行わない場合の再発率は?

腫瘤切除のみで、腋窩リンパ節郭清を行わないときの腋窩再発率は、術後10年間で28%と言われています

 

◆腫瘤径1㎝以下の場合⇒再発率1%

◆1.1~2.0㎝の場合⇒再発率26%

◆2.1㎝以上の場合⇒再発率33%

 

腋窩郭清による合併症とは?

腋窩郭清で生じる可能性のある合併症には以下のものがあります。

 

◆リンパ液漏れ

切断されたリンパ管から液が漏れ、わきの下にたまることがあるので、ドレーンの挿入や注射器で液を抜くことがあります。

 

◆術後感染症

溜まったリンパ液から、感染症を引き起こす可能性があります(5~14%)。

 

◆神経障害

手術によって脇の下~上腕の内側へ続く知覚神経が傷つくことがあり、激しい痛み(4~6%)や上腕の内側・肩甲骨のしびれ感(80%)が生じる可能性があります。

 

◆肩関節の運動障害

挙手がしにくくなる可能性があります(17%)。

 

◆リンパ浮腫

腕全体のむくみが生涯続く可能性があります(11~27%)。

 

『腋窩郭清』を行わなくても、予後は変わらない?

現在、『腋窩郭清』を実施する際には、事前に『センチネルリンパ節生検』というリンパ節の一部を摘出して、生検にかけるという検査方法が行われています。その中に、がん転移が発見されるようであれば、腋窩郭清が行われ、わきの下のリンパ節がほぼ全摘出される形となります。

 

しかし、JAMAという雑誌の中である臨床試験(センチネルリンパ節転移を認めた乳癌の患者さんに、腋窩郭清を実施する又はしない例において、再発や予後に差が生じるか?)の結果についての記述がありました。

 

結果としては、『5年間生存率は、郭清を行った群で91.8%、行わなかった群で92.5%』となり、予後に差は無いという結果となりました。

 

臨床試験の詳細について

【対象】T1-2(皮膚や筋肉など乳腺以外への浸潤がなく、5cm 以下の症例)で温存切除とセンチネルリンパ節生検を行った患者891名

 

【試験内容】891名中445名が、腋窩を追加郭清し、446名は行わなかった。その後平均6.3年経過観察し、予後や、局所再発率を検討する。

 

【結果】5年間の生存率は郭清した群で91.8%、行わなかった群で92.5%であった。また再発なしで5年間過ごせる確率は郭清した群で82.2%、行わなかった群で83.9%。

 

今回参照させて頂いた日本赤十字社のウェブサイトによると、『T1-2(皮膚や筋肉など乳腺以外への浸潤がなく、5cm 以下の症例)であり、術中にセンチネルリンパ節生検が行われ、転移ありと診断された症例が、温存切除され、残存乳房に放射線治療をし、そしてその後の化学 治療やホルモン剤による全身治療を受けるならば、腋窩への追加郭清を行うことは正しいとはいえない』と述べられていました。

 

また、センチネルリンパ節生検に関しては、リンパ節転移の有無をほぼ100%(95%)検出できるとされていますが、残りの5%で転移を摂り逃してしまう可能性があるとされています。

 

他にも偽陽性となるなどの例もあり、実施の際にはその数値について医師とじっくり話し合う必要がありそうです。

(Photo by://pixabay.com/

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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