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脊椎再生の最先端治療、嗅粘膜を使用した『脊髄再生術』とは?

外傷などにより、脊椎に重大な損傷(脊椎損傷)を受けると、脳からの情報が正確に伝わらなくなり、運動、知覚機能、自立神経が著しく障害され、生涯車椅子を使用した生活となる場合があります。脊椎損傷の治療法はこれまで確立されておらず、早期のリハビリ療法が中心となっていました。

しかし現在、最先端医療として注目されている治療法に、鼻腔の『嗅粘膜』を脊髄移植するという『自家嗅粘膜移植治療』があります。この治療法は、2012年に先進医療に認められ、今後の進展が期待されています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

『自家嗅粘膜移植治療』とは?

 

<なぜ『嗅粘膜』を使用する?>

 

『嗅粘膜』を脊椎に移植する理由は、嗅粘膜に中枢神経細胞の再生力があるためです。鼻腔の上方にある嗅粘膜は、においを感じとる神経細胞が集まっており、この嗅粘膜の神経は、再生する能力を持っています。これは嗅粘膜には神経細胞の再生に必要な幹細胞と嗅神経鞘細胞があるためといわれています。

 

<自家嗅粘膜移植治療の対象は?>

 

自家嗅粘膜移植治療は、以下の条件を満たした方が対象となります。

 

◆脊髄損傷後6カ月以上経っている

◆両方の下肢が完全運動麻痺をきたしている

◆MRI検査で脊髄損傷部位の長さが3cm以下

◆鼻腔に感染症がない

◆年齢が40歳以下である

 

<移植治療の実際について>

以下の順序で手術が行われます。

 

1)背中側から脊髄の損傷部位を除去します。

2)内視鏡を用いて鼻腔の嗅粘膜を取り出します。

3)脊髄の損傷部位に、嗅粘膜を移植し、傷を縫合して終了します。

4)手術後は、体の回復を見ながら専門施設で少なくとも48週間のリハビリを行います。

 

臨床試験の結果について

 

◆慢性期脊髄損傷患者への自家嗅粘膜移植治療(ポルトガル/国立エガス・モニツ病院)

 

【対象】両下肢完全運動麻痺の慢性期脊髄損傷患者20人(年齢:19~37歳、受傷後の期間:18~19カ月、20人中頸髄損傷=17人、胸髄損傷=7人

【試験内容】患者の嗅粘膜を脊髄の損傷部位に移植し、術後リハビリを行い経過を観察。

【結果】20人中11人に、四肢の機能の回復が認められた。

 

最後に

 

『自家嗅粘膜移植治療』は、前述のように再生不可能と言われていた脊椎損傷部の再生を行う治療法であり、これまでにない画期的な治療法ですが、現在のところその効果には個人差があり、脊椎の機能回復も完全ではないと言われています。また、長期間のリハビリが行える施設の必要性など、今後の課題も多いようです。今後の進展に期待したいところです。

 

(photoby://pixabay.com/ja/%E6%89%8B%E8%A1%93-%E6%93%8D%E4%BD%9C-%E7%97%85%E9%99%A2-%E5%A4%96%E7%A7%91%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0-%E5%8C%BB%E5%AD%A6-%E5%86%85%E9%83%A8-%E5%8C%BB%E5%B8%AB-%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB-79584/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-29掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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