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抗がん剤の『効く』『効かない』を事前に判定!『抗がん剤感受性試験』とは?

抗がん剤はがん治療には必須でありますが、副作用が強いことが従来から問題であり、患者にとって出来る限りの最小負担が望まれています。近年、先進医療のひとつに『個人への抗がん剤の有効性が事前に判定できる』と言う『抗がん剤感受性試験』の研究が進み、その精度も飛躍的に上昇していると言います。これにより、不必要な副作用を避けることが可能になると期待されています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

新たな『抗がん剤感受性試験法』は、生体内類似環境で試験が行える?

 

以前の抗がん剤感受性試験は、摘出したがん細胞が培養過程で他組織が増殖(線維芽細胞産生細胞)することや、がん細胞の単利過程で行う酵素処理ががん細胞を活性低下させることなど、生体内の環境と異なる条件下でしか検査できないことが問題とされてきました。しかし、『HDRD法』などの特殊ゲルを用いた新試験法では、これらの問題が生じることなく生体内に極めて近い形で試験が行えると言われています。

 

<抗がん剤感受性試験の詳細について>

摘出したがん組織の一片を試験管増殖させ、そこに様々な抗がん剤を投入し、がん細胞反応を見るという試験法です。主に【SDI法、CD‐DST法、HDRA法】があります(がん細胞増殖法や判定法に違いがある。)

 

◆HDRA法とは?

【試験方法】がん細胞と各種抗がん剤をキット内部で48~72時間接触させると言う試験法。

【利点】1)熱可逆性ゲル(TGPゲル)という特殊なゲルを使うことで、生体内に極めて近い環境で培養することが可能。2)各抗がん剤を4段階の濃度で実施し、定量的(どの量で効くのか)判断ができるため、より正確な効果判定が行える。

【試験の精度】転移性の大腸がんにおいて真陽性率90%、真陰性率91%、正診率90%(※以下で解説)。

 

<抗がん剤感受性試験の精度とは?>

理想的な抗がん剤感受性試験とは、『真陽性率』『真陰性率』がどちらも高い試験を指します。

 

◆『真陽性率』

効果がある(陽性)と判定された抗がん剤を実際に投与して効果が認められた率。

◆『真陰性率』

効果がない(陰性)と判定された抗がん剤を実際に投与して効果が認められなかった率。

 

⇒両者の臨床効果を正しく予測できた正診率が高ければ、試験精度が高いと言えます。

 

<対象となるがん種>

【胃がん、大腸がん、食道がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん、がん性胸膜・腹膜炎、子宮頸がん・体がん、卵巣がんなど】

 

臨床試験の結果について

 

1)HDRA法によるシスプラチンの有用性試験(がん研究会有明病院)

 

【対象】進行胃がん患者22人

【試験内容】全例にHDRA法でシスプラチン(胃がんの抗がん剤治療の第2選択薬剤)投与による臨床効果を予測し、治療を行う。

【結果】1年後の時点でシスプラチンが有効(陽性)と判定された患者18人中17人は生存。シスプラチンが無効(陰性)と判定された患者8人中4人が生存。

 

2)1)HDRA法によるTS-1の有用性試験(同病院)

 

【対象】胃がんの術後補助療法にTS-1(第1選択薬剤)を投与した36人

【試験内容】TS-1の構成成分のひとつである、5-FUの感受性試験と治療を行う。

【結果】1年後の時点で、5-FUが有効(陽性)と判定された患者27人中16人が無再発で生存。5-FUが無効(陰性)と判定された患者9人中4人が無再発生存患者となった。

 

⇒胃がんに関しては『真陽性率』への有用性が期待できる。

 

最後に

 

抗がん剤感受性試験2011年時点でCD-DST法とHDRA法の先進医療の認可を受けている医療機関が全国に20施設あると報告されています。検査にかかる費用は、抗がん剤5種類につき、一律22万4000円とされており、今後保険診療への導入と、実施施設の拡大が望まれています。

 

 (photoby://pixabay.com/ja/%E9%87%9D-%E6%B3%A8%E5%B0%84%E5%99%A8-%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%A9%9F%E5%99%A8-%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA-%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97-180339/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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