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心肺停止蘇生後、脳を損傷から保護する!『低体温療法』とは?

通常、心停止後に数十分経過すれば脳が損傷を受け、60分以上となると助かる見込みはないと言われていますが、2010年に行われた臨床試験によると25分以内に『低体温療法』が実施されれば、8割が社会復帰が可能、また25分以上でも死亡となる例が回復するなど、多方面から大いに期待されています。

 

しかし、その一方で、助かる見込みのない患者を延命させ、結果植物状態となる例もあり、低体温療法を実施する際は、慎重な見極めが必要と言う声もあります。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

低体温療法のメカニズムとは?

心肺停止によって脳の温度が上昇するのは、脳に冷却機能を持った血液が行き届かなくなり、脳が熱を溜めるためです。脳に血液が行かなくなるのは、脳浮腫によって頭蓋内圧が上昇して圧勾配(血圧-脳圧)が低下するためであると言われています。

 

さらに外傷後24-48時間で最も病態は悪化します(脳浮腫が亢進するため)。そして、この状態を特殊な冷却ブランケットで全身冷却させると、脳浮腫が抑制され、また脳代謝低下によって酸素消費量を減らし、無酸素による大脳損傷・神経毒の放出を抑える作用があると言われています。

 

適応は?

脳低温療法の適応として、以下が挙げられます。

 

1)GCS(グラスゴーコーマスケール:意識レベル)8以下5以上

2)若年であること

3)脳圧が高くないこと

4)脳幹反射が残存していること

5)心肺停止から心拍再開までの時間が短くしかも有効な心肺蘇生が行われていたこと

 

また適応外例としては、

1)GCS4以下

2)高齢者

3)脳圧が40mmHgを超えているもの

4)脳幹反応が廃絶しているもの

5)血圧が維持できないもの

6)重篤な合併症をもつもの

が挙げられます。

 

治療の手順とは

病院搬入直後に、気管内挿管、人工呼吸器、麻酔器をセットし、冷却のためのブランケット(冷水が循環)を胴体に巻く。体温を32℃まで下げて数日置く。

 

臨床試験について

以下の結果が報告されています。

 

林らによる臨床試験(『脳低温療法』/医学書院)

【対象】GCS6未満の重症頭部外傷患者48例・脳虚血患者17例・くも膜下出血患者10例、計75例

 

【結果】脳低温療法を行った結果、47例が日常生活可能となった。

 

札幌医大の臨床試験

【対象】GCS平均4.5の17例

 

【結果】脳低温療法によって、日常生活可能者が10例となった。

 

Shiozakiらによる臨床試験

【対象】GCS8以下の頭部外傷62例

 

【結果】脳低温療法によって、療法導入前の頭蓋内圧が20-40mmHgの患者は結果が比較的良好であったが、40mmHgを越えると効果は期待できないとした。

 

最後に 

脳低温療法の有効性は上記のようにある程度立証されていますが、治療基準(適応・方法・見通しなど)に関しては未だ施設によって統一されていないのが現状で問題視されています。

 

脳幹部分のみが助かることで、植物状態となる例もあり、実施の際にはこれらのリスクについて医師から十分な説明を受けることが必要となります。

(photoby: //pixabay.com/ )

著者: カラダノート編集部

本記事は、2016-08-02掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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