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関節痛・腰痛

膝関節軟骨損傷の再生医療『自家培養軟骨移植術』とは?

スポーツや事故などによって膝軟骨が損傷する例は昔から多くありますが、その治療法は薬物療法では『ヒアルロン酸注射』や『鎮痛剤』など対処療法に限られ、また外科治療においては比較的小さな損傷を対象とした、線維軟骨が再生される療法しか存在しておらず、将来的に『変形性関節症』を発症する可能性についても懸念されていました。しかし現在、新たな軟骨再生療法として自分の軟骨を培養して欠損部へ戻す『自家培養軟骨移植術』による再生慮法が先進医療として認定され、非常に注目を集めています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

軟骨損傷の詳細について

 

<膝軟骨とはどんな組織?>

軟骨組織は、膝などの関節内の骨と骨の間に存在し、クッションとしての役割を果たしています。軟骨は、一度損傷すると再生しませんが、これは内部に血管・神経が存在していないためです。欠損部が小さい場合、影響の少ない部位の軟骨を切り取り、欠損部にはめ込むと言う方法が行われますが、4c㎡以上と範囲が大きい場合は有効な治療法がありませんでした。

 

 

<軟骨損傷を放置するとどうなるか?>

軟骨損傷を放置しておくと、損傷範囲が徐々に拡大し、軟骨変性へ進行する(二次性変形性関節症)可能性があります。変形性関節症が進行して、歩行も困難なほどの痛みが生じる際には、『人工関節置換術』などの外科的治療が必要になります。

 

従来の治療法について

 

従来の治療法としては、以下のものがあります。外科的治療に関しては、損傷範囲が4c㎡未満の比較的小さな部位が対象であり、再生される軟骨は物理的に弱い線維軟骨が中心で、長期の使用で破綻し、変形性関節症に進行、人工関節置換術が必要となるリスクがあります。

 

<内科的治療>

◆膝の痛みの抑制

非ステロイド性抗炎症剤(鎮痛剤)の内服

 

◆保存療法(根本治療ではない)

関節内注射として、ヒアルロン酸ナトリウムやステロイド薬を用いる。

 

<外科的治療>

1)関節鏡下に損傷部を洗浄する方法、2)軟骨損傷部の骨を傷つけて軟骨組織下の骨髄を刺激し、軟骨様組織の再生を促進する方法(マイクロフラクチャー、ドリリング)、3)健常な膝関節組織から自分の軟骨組織を採取し、これを損傷部に自家移植する方法(モザイクプラスティ)などがあります。

 

『自家培養軟骨移植術』の詳細について

 

上記の軟骨組織を採取してそのままはめ込む『モザイクプラスティ』など標準療法とは異なり、『自家培養軟骨移植術』では少量採取した軟骨組織を大きな組織へと培養してからはめ込むため、4c㎡以上の損傷部位にも適応することが出来ます。

 

<手術の手順>

 

1)整形外科医によって、侵襲の少ない関節鏡手術で膝の軟骨が少量採取される。

2)この軟骨を、ゲル状の『アテロコラーゲン』と混合し、立体的な形に成型した後、培養する(三次元培養法)。

3)約4週間の培養期間中に軟骨細胞は増殖し、軟骨基質を産生して本来の軟骨の性質に近づく。

4)軟骨組織が完成したら、全身麻酔にて移植手術を行う(皮膚の3~5cmの切開、フィブリン糊で固定)。

5)術後は1ヶ月半程度入院が必要。

 

最後に

 

 

自家培養軟骨を使った治療は、2004年から現在まで広島大を含む全国5病院で治験が行われており、30症例中9割以上が有用であったという報告があり、今後の治療法の普及に非常に期待が高まっています。

 

 

(photoby:pixabay)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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