妊娠・出産
『帝王切開』を行う基準って?出来る限り正常分娩で出産するための対策とは
帝王切開には、大きく分けて2種類『予定帝王切開』、『緊急帝王切開』によるものがあり、緊急帝王切開は安全面から避けることは出来ないものの、予定帝王切開に関してはある程度妊娠初期の安産運動などで正常分娩に切り替えることが可能であるとも言われています。特に2人以上の子供を出産予定の場合などは、帝王切開を行うと経膣分娩を行うと破裂などの危険があることから、出来る限り初期の予防策が推奨されています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。
『予定』『緊急』による帝王切開を行う原因疾患とは?
予定帝王切開、緊急帝王切開を行う場合の主な原因疾患は以下の通りです。
◆予定帝王切開
双子、逆子、前置胎盤(胎盤が子宮口をふさぐ位置にある場合など)、子宮筋腫、児頭骨盤不適合、前回帝王切開、妊娠中毒症など。
◆緊急帝王切開
胎児仮死、回旋異常、軟産道強靭(陣痛があるが子宮口が開ない)、常位胎盤早期剥離、臍帯脱出(逆子で破水した際、臍帯が先に出ることで、赤ちゃんに酸素が行かない)、前期破水後の子宮内感染など。
予定帝王切開の原因疾患詳細と、正常分娩できるための対策について
<予定帝王切開での出産>
◆児頭骨盤不均衡(CPD)
胎児の頭が母体の骨盤に比べて大きすぎるため、産道を通過できない状態(身長が150cm以下の場合、胎児の頭の横の直径が大きい場合は、レントゲン検査によって診断がつき、妊娠37~38週の時期に予定帝王切開がおこなわれます。
【注意点】⇒肥満を防ぐことが重要(胎児・母体ともに正常でも、脂肪により産道が狭くなるため)。
◆前置胎盤
通常子宮の上部に位置しているはずの胎盤が子宮口付近に位置するものをいい、子宮口全部をふさいでいる『全前置胎盤』の場合は胎児の出口が無くなることから帝王切開になります。
【注意点】⇒胎盤は子宮が大きくなるにつれ、上方に上がっていく場合が多い(初期に胎盤の位置が低いと診断された場合でも、経過により正常分娩できる可能性はある)。
◆骨盤位(さかご)
胎児が頭を上にした状態を骨盤位(さかご)といい経過すれば多くの場合頭位に戻りますが、1)妊婦の体が低体温になる(胎児が脳を守るため心臓方向へ向く)、2)運動不足で子宮が硬くなる(子宮の幅が広い上方へ向く)などが原因で、骨盤位となりやすくなると言われています(骨盤位のまま出産となるケースは全体の3~5%)。
<正常分娩が可能・不可能な状態>
◆単殿位
胎児が足を抱える格好(Vの字)でお尻から下がってくるもの(約75%を占める)。経膣分娩が不可能ではありません。
◆全足位・不全足位・膝位・横位
胎児が立位状態、膝を曲げて膝から下がる状態、横に向いている状態などは、帝王切開になるケースがほとんどとなる。
【注意点】⇒逆子体操が有効となる(胸膝位:胸を床に突けお尻を上げる姿勢)。
◆多胎妊娠
2児以上の胎児が同時に子宮の中に宿ることを言い、通常よりも切迫早産・娠中毒症・前期破水などのリスクが高くなる。母子の安全を考え帝王切開がおこなわれることが多い。
【注意点】⇒骨盤を広げる、妊娠中毒症などの合併症を防ぐことが重要。
◆前回帝王切開
前回、帝王切開がなされた場合は次回の出産時も帝王切開となることがほとんどと言われています(切開により、分娩時の子宮収縮で子宮が破裂するおそれがあるため)。
【注意点】⇒分娩に問題がある場合、医院によっては設備・人員の関係から経過によらず当初から帝王切開と決めているところもあり、経膣分娩を希望する場合はセカンドオピニオンを行うことも重要。
◆子宮筋腫
経膣分娩で無事に出産できることが多いが、筋腫の位置や大きさによって経膣分娩が不可能な場合もある。
◆妊娠中毒症
妊娠初期から食生活に注意し、適度な運動をすることが重要。
<対策とは?>
上記の疾患において経膣分娩を行うための対策としては、以下になります。
1)体重コントロールを行う
3食は規則正しく、適量を摂取し、ウォーキング・マタニティヨガ・スイミングなど、体に負担を掛けにくい有酸素運動を行う。
2)妊娠初期から『逆子体操』を行う。
但し、お腹が張る・気分が悪いなど異変を感じた場合は中止する。また『安産スッポン運動(中腰スクワットをしながら、平泳ぎの格好で体操)』なども有効とされる。
3)骨盤ストレッチを行う
太腿を伸ばして腰の筋肉を緩める、仰向けで片方の足を反対側に持っていき腰をひねる、上半身の前後を伸ばし腹筋と背筋を緩める。
上記のように、帝王切開は各病院の個別の基準にしたがって行われる場合があり、ひとつの病院で帝王切開を進められた場合でも、セカンドオピニオンによって経膣分娩が可能になる場合があると言います。2人以上の子供を出産する予定がある場合などは特に、医師と分娩方針について良く話し合うことが必要となります。
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著者: カラダノート編集部