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『羊膜移植』で、難治性の眼疾患の再生を促す?!

眼の角膜上皮が欠損する疾患(外傷・自己免疫疾患による角膜上皮の炎症(スティーブンス・ジョンソン症候群)など)によって、瞼球癒着(眼球とまぶたの癒着)が生じると、手術による治療が行われますが、多くは術後も再癒着をきたしやすく、確実に再生させることが困難とされてきました。しかし、近年『羊膜移植術』によって、角膜上皮の欠損部を被うことで、癒着を生じさせず再生まで持ち込むことが可能となった、という報告があります。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

瞼球癒着を生じる疾患とは?

 

瞼球癒着を生じさせる(角膜混濁をきたす)疾患には以下のものがあります。

 

◇角膜上皮欠損の遷延、熱傷、化学傷、腫瘍切除後、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、再発翼状片など。

 

⇒上記の疾患の共通点としては、次の3点があげられます。

 

1)角膜上皮幹細胞の部分的あるいは全欠損がある。

2)眼表面の面積が縮小している。

3)手術後に再癒着をきたしやすい。

 

再癒着防止の従来療法はなぜ効果がない?

 

再癒着の防止の療法としては、1)自家結膜移植、2)術後MMC点眼、3)手術中MMC塗布の方法があります。

 

1)自家結膜移植

再発翼状片には有用だが、スティーブンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡においては自己結膜全てが異常上皮となっており、移植は不可能である。

 

2)術後MMC(マイトマイシンC;抗がん剤)点眼

抗がん剤は細胞増殖を抑制する作用があるが、晩発性に強膜融解をきたすリスクがあり、現在ではあまり用いられていない。

 

3)手術中MMC塗布

術後より比較的安全で、合併症のリスクが少ないと言われているが、癒着を100%防止することは出来ない。

 

羊膜はなぜ効果的?

 

上記のように確実な療法がない中で、羊膜移植は癒着防止効果を有し、眼表面を良好に再建するとして非常に注目を集めています。

 

<羊膜とは?>

子宮の一番内側にあり、羊水を保持している薄い膜で、古くから、やけど後の被覆や手術後に生じやすい臓器の癒着防止に有用であることが知られていました。過去には、廃棄され使用されることがほとんどでしたが、現在では帝王切開の際の胎盤の摘出後、剥離され(同意を得た上で)、除菌・洗浄・凍結保存後、様々な治療用に切り出され用いられます。提供者に、肝炎ウイルス・HIVなどへの感染症保持がないかも調べられます。

 

<羊膜のメリット>

羊膜には、1)血管がない、2)炎症を抑える働きがある、3)特別なコラーゲンでできており線維化しない、4)拒絶反応が少ない、5)弾力性に富み、縫い合わせが綺麗に出来るなどの利点があります。

 

<手術の手順>

羊膜移植には、【1)直接縫いつける方法と2)一時的なカバーとして用いる方法】の2通りがあります。

 

◆羊膜を直接縫いつける場合

縫いつけた羊膜は、患者自身の上皮細胞がその上に伸長するための足場となり、瘢痕形成のない(いわゆるケロイドのような傷が残らない)スムースな眼表面を再生するために有用といわれています。また、角膜移植に羊膜移植を組み合わせ、角膜移植の成功率を高める治療法もあります。

 

⇒術後、移植した羊膜は、徐々に患者本人の組織に置き換わっていくと考えられています。

 

◆一時的なカバーとして用いる方法

外傷が生じた初期に利用されることが多い治療法です。羊膜には炎症や線維化を抑える成分が含まれるため、カバーとして用いると、その成分が羊膜からしみ出て、患者自身の組織がきれいに再生することを助けます。一般的に、羊膜で覆う期間は1~2週間程度、その間に患者の組織が再生・治癒します。

 

⇒組織の再生が確認された後、羊膜は取り除きます。

 

最後に

 

難治性眼疾患に対する羊膜移植術を希望している場合、全国で17施設(2010年時点)が治療を行っているという報告があります。現在では保険導入も既に済んでおり、費用の面でも負担を少なく受診できるようになっています。

 

(photoby:pixabay)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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