カラダノートみんなの役立つ予防法や対処法
  1. カラダノートTOP >
  2. 生活習慣病 >
  3. 糖尿病 >
  4. 食事療法 >
  5. 注意点 >
  6. 糖尿病患者への「糖質制限食」は全身状態を悪化させる?その真偽について

生活習慣病

糖尿病患者への「糖質制限食」は全身状態を悪化させる?その真偽について

糖尿病患者への『糖質制限食』の導入は、『血糖値の抑制・体重減少・血中LDLコレステロールの減少』などの効果から有用であると言われてきましたが、2013年の日本糖尿病学会における提言では『極端な糖質制限食は勧められない』という結論が出されました。また、今年(2014)5月の日本糖尿病学会の学術集会において、再び糖質制限食を全面推進する意見も挙げられたと言います。双方の意見のどちらが正しいと言えるのでしょうか?以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

糖質制限食が安全性に乏しいとする意見とは?

 

糖質制限食は1~6ヶ月程度の短期間の実施は有効であり、問題が無いとされていますが、長期間の安全性に問題があると指摘されています。その理由として、京都府立医科大学大学院の福井道明氏は、以下の臨床試験を根拠として挙げています。

 

<1年で摂取群との有意差が無くなり、動脈硬化のリスクもある>

◆2006年発表の低炭水化物食によるメタ解析(Arch Intern Med. 2006 Feb)

【試験結果】低炭水化物食により6カ月まで有意な体重減少が認められたが、1年で有意差が消失し、血中LDL-コレステロール値の上昇が確認された。

 

⇒1年後に有意差がなくなるという欠点に加え、LDL-C上昇が糖尿病における動脈硬化の最も強いリスク因子になる。

 

<腎臓疾患のリスク・死亡リスクの上昇がある>

◆2010年発表の低炭水化物食による約13万人対象の追跡調査(Ann Intern Med. 2010 Sep)

【試験結果】動物性タンパク質+脂質の摂取が多い低炭水化物食群で、死亡率が有意に上昇。一方、植物性タンパク質+脂質の摂取が多い低炭水化物食群で、死亡率は有意に減少した。

 

⇒また、別の試験では、腎機能障害を持っていた場合、より悪化させることが報告されている。

 

 

糖質制限食が安全であるとする意見とは?

 

一方、糖質制限食が安全であるとする意見としては、北里大学北里研究所病院の山田悟氏によって以下の臨床試験が挙げられています。

 

<糖質制限食で減量・脂質・血糖値低下が6年間維持された>

◆2008年発表の低炭水化物食による322人肥満患者対象のランダム比較試験(N Engl J Med. 2008 Jul/2012 Oct.)

【試験結果】3つの食事療法で割り付けたところ、糖質制限食群で減量、脂質、HbA1c(糖尿病患者に限定)が最も改善した。その効果は4年間の観察期間を経て計6年維持された。

 

<糖質制限食で腎疾患が改善した>

◆2013年発表の低炭水化物食による試験(Diabetes Care. 2013 Aug)

【試験結果】CKDステージ3の患者においても糖質制限食でGFRが改善した。

⇒糖質制限は腎臓が悪くなるという仮説が存在していたが、逆にGFRを改善しているため、腎症の悪化の可能性はまだ可能性に過ぎないとされている。

 

(※参考ウェブページ:m3.com/臨床賛否両論)

 

最後に

 

上記の2つの見解のまとめとして、ある医院のサイトには『3食内1食のみの炭水化物を除去する、緩やかなローカーボ食が最も安全である』と締められていました。また上記のような大規模試験ではないものの、東アジア人に対する低炭水化物食で心血管イベント発生・死亡率上昇の報告や、極端な糖質制限食による筋肉異化作用によるサルコペニアの発症例なども報告されており、限られた範囲内での糖質制限食は必要であると言うことができそうです。

 

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


通報する

注意点に関する記事

糖尿病の食事療法!外食時に気をつけなければいけないこと

  糖尿病で食事療法している人は、どうしても仕事が忙しいときなど、外食や調理済...

果物・野菜ジュースに注意

 果物ジュース・野菜ジュースなど、美味しく健康に良い飲み物だと思いがちです。特に...


糖尿病でも『赤ワイン』は飲んだ方が良い?!血糖値を下げるというその真偽とは?

糖尿病に罹患すると、アルコールを完全に断酒しなければならないという考えが一般的...

エネルギー量を無視できない調味料とは?糖尿病の食事療法について

    糖尿病の食事指導でよく用いられる食品交換表の6つの分類以外に、調味料...

カラダノートひろば

注意点の関連カテゴリ

ブックマークは20件まで登録可能です
トップへ戻る