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統合失調症薬『リスパダール』と抗うつ薬『パキシル』は併用してはいけない?副作用増加のリスク

2007年に厚生労働省が、統合失調症治療薬『リスペリドン(一般名:リスパダール)』を服用後に、高血糖や糖尿病の悪化によるケトアシドーシス、糖尿病性昏睡などを生じたケースが3年間で3件報告されており、うち死亡例も1件あったとして、添付文書への重大な副作用の記載を追加するように指示しました。

 

リスペリドンは、代謝酵素として主にCYP2D6によって代謝されますが、『パロキセチン(一般名:パキシル)』などのCYP2D6阻害薬と併用すると、代謝が阻害され、血中濃度が高くなり、副作用のリスクが増加することで知られています。では、一般的な服用量においては、どの程度影響があるのでしょうか?以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

代謝酵素について

 

薬を飲んだあと、代謝・排泄のサイクルが働くことによって、不必要な薬成分が体内に滞留しないという安全性を保つことが出来ます。この薬物代謝に関わる酵素には、数種類のものがあり、それに代謝される薬と、また一方で阻害する薬が存在します。この2つが同時に併用されることで、体内血中濃度が上昇します。主な向精神薬代謝酵素とその酵素阻害作用のある薬の組み合わせは以下になります。

 

<各代謝酵素(CYP)によって代謝される薬+その阻害薬の組み合わせ>

 

◆CYP1A2

【代謝薬】クロザピン、オランザピン

【阻害薬】フルボキサミン

 

◆CYP2D6

【代謝薬】オランザピン、アリピプラゾール、リスペリドン、パリペリドン、ハロペリドール

【阻害薬】パロキセチン

 

◆CYP3A4

【代謝薬】クロザピン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、トリアゾラム

【阻害薬】フルボキサミン、グレープフルーツジュース、クラリスロマイシン

 

 

リスパダールとパキシルについて

 

<リスパダールとは?>

リスパダールとは、統合失調症の治療薬で、脳の情報伝達系の不調により、脳内の混乱を生じる(幻聴・妄想・興奮や無感情・意欲低下・自閉など)症状を改善する効果があります。

【作用機序】脳内のドパミン2(D2)受容体とセロトニン2(5-HT2)受容体を遮断する。(ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえ、またドーパミン神経系の働きがよくなり、陰性症状が改善します。)

 

【副作用】比較的多い症状に、立ちくらみ、めまい、眠気、口の渇き、便秘、尿が出にくい、動悸、体重増加など。また重大な副作用として、高血糖による昏睡やケトアシドーシス、意識障害(のどが異常に渇く、多飲、多尿、頻尿など)の報告があります。

 

<パキシルとは?>

パキシルとは、抗うつ薬の第三世代薬SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)に分類される薬です。衝動性・不安・緊張の緩和などの作用がある神経伝達物質セロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーターの働きを阻害します。これにより、脳内シナプス間隙のセロトニン濃度が高まり、神経の伝達がよくなります。

 

【注意点】注意点として、代謝酵素CYP2D6の強力な阻害作用がある。

 

 

臨床試験について

 

リスパダールが肝臓で代謝された際に生じる物質がパリペリドン(一般名:インヴェガ)という抗精神薬として利用されていますが、このインヴェガの効果は、肝臓で分解されにくく半減期が長いため、1日1回の投与で血中濃度を24時間維持できる(リスパダールは1日2回)といわれています。

インヴェガとパキシルの2剤を併用することによる副作用増強の可能性が、ヤンセンファーマによる臨床試験の結果で示されています。結果としては、以下の服用量においては、臨床上問題とならない程度であると報告されています。

 

◆健康被験者を対象とした相互作用試験(ヤンセンファーマ)

【試験内容】パロキセチン20mg/日に併用してインヴェガ3mgを単回投与する。

【結果】パリペリドンの血中濃度が平均で16%上昇した。(⇒臨床上問題とならない程度と述べられている。但し、腎機能障害のある場合は、血中濃度が上昇するので注意が必要)

 

最後に

 

上記のように、代謝酵素阻害作用がある薬物との組み合わせでも、服用量や健康状態によっては臨床上問題とならない場合もあるようですが、一通り相性の良くない薬の組み合わせを知っておくことは、健康被害を避けるためにも重要です。ある医師のブログによると、もし処方された組み合わせに疑問を感じるようであれば、主治医にその処方の根拠について説明を求めることは全く躊躇する必要がないと述べられていました。

 

(photoby:pixabay)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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