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既存の治療薬を20%上回る効果?!心不全治療の期待の新薬『LCZ696』とは

心不全とは、心臓のポンプ機能が弱まることで、うっ血・浮腫・呼吸困難などが生じる疾患ですが、現在、その心不全治療薬としては2種類(『心筋の収縮力を増強させる薬』と『血流を低下させることで、心臓への負担を軽減させる薬』)があります。現在の主流としては、主に血流を低下させる薬、中でも『アンジオテンシン系薬(ACE阻害剤・ARB阻害)』が使用される傾向にあり、その改良薬は年々発売されていましたが、臨床成績が飛躍的に向上するような新しいタイプの新薬は数十年間発売されていませんでした。

しかし、現在米国の臨床試験で現行の治療薬を20%程度上回る成績が確認されたとして話題となっている新薬に『LCZ696』というものがあります。以下では、その詳細について、見て行きたいと思います。

 

新薬の詳細について

 

『LCZ696』とは、ノバルティス社より発売される予定の、新しい作用機序を持つ新薬で、単剤ではなく【1)アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬+2)ネプリライシン阻害剤との合剤】です。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は、既存の薬と同じものですが、『ネプリライシン阻害剤』が新たな配合薬となります。

 

<ネプリライシンとは?>

ネプリライシンとは、生体に広く分布している蛋白分解酵素の一種で、主に脳と心臓において以下のようなペプチド(蛋白質)分解作用があります。

 

◆脳・・・βアミロイド蛋白(アルツハイマー病の原因の1つ)を分解

◆心臓・・・ナトリウム利尿ペプチド(末梢血管を拡張し血圧降下作用がある)を分解

 

⇒つまり、ネプリライシンは、脳においてはβアミロイドを分解するアルツハイマー薬の『善玉』として働くが、心臓においてはナトリウム利尿ペプチドを分解することで、心不全の『悪玉』として働いてしまう。

 

⇒『LCZ696』は、脳への移行を少なく設計することで、副作用を軽減し、新たなメカニズムの心不全治療薬になると期待されている。

 

<アンジオテンシン系薬との合剤で期待できることとは?>

 

アンジオテンシン系薬の作用機序は、血管を拡張させ、心筋の増殖や線維化を抑制することにより、心不全の改善に結び付くというものですが、ネプリライシン阻害薬による作用機序は、ナトリウム利尿ペプチド(ANP・BNP)を増加させ、アンジオテンシン系とは別個の働きで心不全の改善作用が期待出来るため、合剤による相乗効果が期待されています。

 

臨床試験の結果とは?

 

ノバルティス社による臨床試験の結果は以下が報告されています。ネプリライシンとの合剤の方が、アンジオテンシン系薬単独よりも有意に血圧を低下させることが立証されていますが、ただネプリライシン阻害剤単独の使用においては、有意な血圧の低下は認められていないことから、現在使用しているアンジオテンシン系薬と合剤を併せた容量での使用が求められています。

 

<臨床試験の詳細>

 

◆大規模臨床試験:PARADIGM-HF(ノバルティス社関連会社による試験)

 

【対象】標準的治療を受けている心機能の低下した中等~重症の心不全患者8442例(躯出率40%以下:心臓の働きの指標)

【試験内容】ACE阻害剤(エナラプリル:レニベース)使用群と新薬LCZ696使用群の2グループに分け、ACE阻害剤=20mg/日使用、LCZ696=400mg/日使用し、予後を比較する。

【結果】平均の観察期間が27ヵ月の時点で、明確にLCZ696群の方が予後が良いことが確認されたため、試験は途中で中断された。

 

⇒総死亡のリスクはLCZ696の方が16%有意に低く、心臓由来の死亡のリスクも20%、心不全による入院のリスクも21%、それぞれ有意に低くなっていた。

⇒エナラプリル20mgと比較して、明確にLCZ696の予後改善効果が示された。

 

(参考ウェブページ:六号通り診療所所長のブログ)

 

最後に

 

LCZ696は、現在のところ来年2015年発売予定とされていますが、このまま脳への副作用(認知症の進行性の有無)が問題ないと立証されれば、今後心不全治療薬の標準治療薬になると予想されています。一日も早い新薬の発売が待たれています。

 

(photoby:pixabay)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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