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強迫性障害やパニック障害に有効?!ビタミン様物質「イノシトール」とは

イノシトールとは、主に米に含まれているフィチン酸から産生される生理活性物質(ビタミンB様物質)ですが、これを大量摂取することで抗うつ薬の『フルボキサミン』と同等の効果があったとして報告されています。

 

また、その効果から『強迫性障害・パニック障害』にも有効であったという報告もあります。

以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

イノシトールとは?

イノシトールは、米に含まれるビタミン様物質(ビタミンB群)として様々な生理機能を発揮することが報告されています。代替療法として、疾患の治療では『脂肪肝、肝硬変、動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群等』などに有効として認知されています。イノシトールは体内で合成される物質ですが、合成量には限界があるため、食事からの十分な摂取(脂肪肝、動脈硬化症などに対しての目安:500~2000mg/日)が必要と言われています。また、大量摂取(一日10g以上)により、パニック症候群や強迫性障害(OCD)の治療に有効性が示唆されるなど脳機能の改善の報告もあります。

 

<イノシトールの安全性について>

イノシトールは水溶性物質のため、体内蓄積の心配が無く、経口摂取では安全性が確認されています。副作用としては(吐き気、疲労感、頭痛、目まい)が報告されているます。

 

イノシトールの臨床試験について

イノシトールの臨床試験は、以下が報告されています。

 

◆メンデル・フラックス博士のチーム(1996年:イスラエル)

試験内容

強迫性障害の患者に18g/回を3回/日与え、6週間にわたって継続する。

 

結果

強迫性症状が著しく改善し、その効果はSSRI薬(ルボックスなど)と同程度と報告された。

 

また国立健康・栄養研究所の情報で、以下が報告されています。

 

◆強迫性障害への効果

試験内容

強迫性障害患者13名を対象に、イノシトールを18g/日、6週間摂取させた。

 

結果

イエール‐ブラウン強迫性障害評価尺度によるスコアが改善したという報告がある。

 

◆パニック障害への効果

試験内容

パニック障害患者20名を対象にイノシトール18g/日、1ヶ月摂取させた。

 

結果

パニック症候群の発作がフルボキサミンと同程度減少したという報告がある。

 

最後に

うつ病に関しては、同じく臨床試験が行われたところ、12g/日を数週間~数ヶ月継続摂取で改善効果は見られたものの、摂取を止めるとすぐに症状が再発したという報告もあります。

 

自閉症・強迫性障害の原因物質グルタミン酸を抑える効果~『メマリー』でOCD患者の半数が改善

自閉症や(難治性)強迫性障害(OCD)の原因となる物質のひとつとして、神経伝達物質グルタミン酸の濃度増加が発症に関連しているという研究報告が東京医科歯科大学によって行われています。

 

このグルタミン酸を抑える効果を持つ候補薬として「ラミクタール」などの抗てんかん薬や、認知症治療薬の「メマリー」が上げられています。抗てんかん薬は中毒疹が出る可能性があることから、投与リスクが大きいと考えられていますが、メマリーでは中毒疹の発生率は低く(約1%)、また最近ではいくつかの海外の臨床試験で、人への改善効果が報告されています。

 

国内のマウス実験では、自閉症・OCD治療に効果

■OCDモデルマウスへのメマリーを投与で症状の改善

(東京医科歯科大による)

 

対象

正常なマウスと、グルタミン酸輸送体(GLT1)を欠損させたマウスの2匹(強迫行為時間は正常マウスの9倍)

 

実験内容

GLT1欠損マウスに「メマリー」を投与し経過観察を行った。

 

結果

強迫行為時間が50秒に短縮した。

 

海外研究では、OCD患者の半数に効果

■治療抵抗性OCD患者へのメマリー投与で、約半数に症状25%以上の改善が見られた

(J Clin Psychopharmacol. 2009 Feb;29(1):51-5. doi: 10.1097)

 

対象

SSRI薬に応答せず、強迫性障害評価尺度(Y-BOCS)が18点以上(平均27.5点)の成人15人

 

試験内容

12週間にわたり、メマリーの投与を行う(用量は徐々に20mg/日まで増加)。有効性の評価は、試験終了時にY-BOCSスコア25%以上の減少、もしくは臨床全般における印象改善が「改善」「非常に改善」によるものとする。

 

結果

・ほぼ半数の被験者が、有意な改善を示した(試験終了時点で、6名(42.9%)への効果を確認)

・4週目の終わり以降に効果が現われた。

・改善が見られた被験者は、明らかに基準値より低いY-BOCSスコアを示した。

・メマリーの副作用は軽度かつ一過性であった(有害事象による試験中止者は無かった)

 

最後に

このように現在、徐々に治療抵抗性の強迫性障害治療に関する臨床研究が進められています。今後、長期投与の安全性と有効性が明らかになり、OCD治療の適応薬となることが望まれています。

 

難治性強迫性障害にN-アセチルシステインが有効?グルタミン酸神経毒性から保護する効果

海外の統計によると、「SSRI薬」に治療抵抗性を示す強迫性障害は、全体の40%を占めています。

これらの難治例には、従来のセロトニン系の機能異常仮説に代わる新たな指針が必要であるとされています。

 

近年「グルタミン酸傷害仮説」という新しい治療薬が注目されており、実際強迫性障害患者さんの脳内にはグルタミン酸高値が認められています。

また、N-アセチルシステイン(NAC)というグルタミン酸関連治療薬を投与したところ、強迫性症状が有意に改善したという論文があります。

 

グルタミン酸による興奮毒性とは何か?

グルタミン酸によって細胞傷害が起こるメカニズムは、グルタミン酸そのものが細胞死を起こしているのではなく、

 

・細胞内に過剰流入したカルシウムイオン(※)が蛋白(タンパク)分解酵素を活性化し細胞を崩壊させる

・同様に、過剰のカルシウムイオンがミトコンドリア障害をもたらし、活性酸素・一酸化窒素産生する

という機序によると考えられています。

(※カルシウムイオンは、グルタミン酸の受容体結合がスイッチとなり大量流入する)

 

N-アセチルシステインはなぜ細胞死を防ぐ?

N-アセチルシステイン(NAC)はアミノ酸・L-システインのアセチル化物(高吸収型)で、分子構造中にSH基(硫黄+水素)を持っているため、他の分子と反応しやすく、単独でも有害物質を抱合(解毒)するという作用があります。

 

このことは神経細胞内の活性酸素に対しても同様であり、グルタミン酸がスイッチとなって細胞内傷害を起こす過剰なCaイオン由来の活性酸素をも消去するといわれています。

 

(※アセチル化されたシステインは、脂溶性であるため細胞内へ移行し、グルタチオン合成しやすい。

グルタチオンそのものは細胞内へ入るために特殊な輸送体が必要だが、発達障害患者ではこの輸送体が障害されている。)

 

強迫性障害への推奨投与量は?

海外で5症例の臨床試験をレビューした文献では、効果が見られた投与量は2,400~3,000mg/日、また期間としては12週が一般的とされています。

 

その他

・OCD患者の40%はNACに反応しない。

・副作用は、主に「吐き気・胃腸症状」。

・3,000mgの短期投与では重大な副作用は報告されていない。

・グルタチオンの還元のためにNACの3倍量のビタミンC服用が必要。

・マルチミネラルの服用が必要。

・他剤との併用の場合、抱合・排出促進される場合がある。

・遺伝的素因がある場合、シスチン結石の可能性が示唆されている。

・使用禁忌は、腎不全などアミノ酸代謝に問題がある場合。

 

臨床試験ではNAC3,000mgでOCDが改善

■NAC3,000mg投与で強迫性障害が改善(Clin Psychopharmacol Neurosci. 2015 Apr; 13(1): 12-24.)

 

対象

強迫性障害の58歳女性

 

試験内容

600~3,000mg/日のNACを6週間投与、また次の6週間で3,000mgを継続投与。

 

結果

・投与12週をこえたあたりから、著しい症状改善が見られた(Y-BOCS:OCD評価尺度は9点)

・また、HAM-D(うつ病評価尺度)も開始前14点→終了時5点に改善。

・病院退院後、3,000mgnoNAC治療を継続、2ヶ月の追跡で強迫障害が改善。ただし評価スケールは不明。

 

最後に

上記の臨床試験の他にも、治療抵抗性双極性や統合失調症への効果を示した文献があり、いちどためしてみる価値はあると思われます(文献の詳細は、以下のリンクを参照してください)

 

強迫性障害の治療に使われる3種類の薬 強迫観念の軽減させる薬とは?

不安感から特定の行動を繰り返すが、それに意味がないことは十分わかっている…というのは強迫性障害の特徴的な症状です。

 

意味のない行動に振り回されて社会生活に影響を及ぼすことも少なくはありません。

そんな強迫性障害の治療では薬を使うこともあります。

 

強迫観念の軽減のための薬

強迫性障害の治療に使われる薬は、強迫観念の軽減のために使われるのが特徴です。

強迫性障害の行動の原因になっているのは『パッと頭に浮かぶ不安感や焦燥感』ですので、薬によってこれらの不安感や焦燥感を軽くするのが目的です。

 

不安感・焦燥感とかかわっているセロトニンへの作用の仕方から薬は主に2種類に分かれています。そしてその他に例外的に抗不安剤の使用もあります。

 

三環系抗うつ薬

うつ病の治療にも使われる三環系抗うつ薬は、脳に働きかけて安心物質のセロトニンを増やしてくれます。

 

さまざまな三環系抗うつ薬がありますが、強迫性障害に特に効くとされるのはクロミプラミン(商品名:アナフラニール)のみで、そのほかの三環系抗うつ薬を飲むとすれば強迫性障害にプラスしてうつ病やパニック障害が出ている可能性があります。

 

SSRI

強迫性障害の薬としてはSSRIが使われることが非常に多いです。

SSRIはセロトニンを増やすのではなく、セロトニン再吸収を阻害するのが目的です。

 

脳内では安心物質のセロトニンが出ているのですが、すごい勢いでセロトニンを再吸収しようとするのが不安障害の患者の脳の問題です。

そのため、セロトニンの再吸収を防止して、脳内のセロトニン分泌を正しくしようというのがSSRIです。

 

商品名はデプロメール、ジェイゾロフトなどがあります。

 

抗不安剤

強迫性障害は脳の暴走的な一面も持っており、脳が興奮しているとの見方もあります。

そのため、脳の興奮を落ち着けるために抗不安剤を利用します。

 

抗不安剤の種類はSSRIなどに比べると多いので、患者の体質に合わせて処方されます。

 

抗不安剤、三環系抗うつ薬、SSRIと強迫性障害の治療に使われる薬は多いですが、薬を飲んでいるだけでは寛解しにくい病気です。

薬を飲んで、尚且つ精神療法に取り組む姿勢が必要なのです。 

 

漢方薬「抑肝散」は、メマリーを弱くした薬?グルタミン酸輸送体を活性化させ鎮静作用を発揮する

抑肝散(よくかんさん)とは、7種類の生薬を配合した漢方薬で、元来小児用の鎮静剤として用いられてきたものですが、近年では認知症による妄想・徘徊(BPSD)の抑制薬としても有効性が高いとして処方されるようになっています。

 

これらの作用機序を西洋医学的な観点から分析したところ、興奮性の神経伝達物質である「グルタミン酸」を抑制する作用が認められ、認知症治療薬の「メマリー」と類似(効果の強さはメマリーよりもずっと弱い)であることが明らかにされています。

 

メマリーはグルタミン酸輸送体に異常がある疾患に有効性がありますが、一方で認知症以外の疾患への使用に関しては安全性のエビデンスが確立されておらず、またドパミン増加作用もあるため、興奮性の精神疾患に使用する場合は慎重になる必要があります。

 

しかし抑肝散の場合、効果が弱い分比較的容易に処方が出来、またセロトニン受容体1A活性(抗不安)作用と、2A低下(焦燥感の低下)作用があることから、双極性障害や強迫性障害などにも使用することができます。

 

抑肝散とは?

抑肝散には7種の生薬「白朮・茯苓・川弓・釣藤鈎・当帰・柴胡・甘草」が配合されています。適応がある証は「虚弱な体質で神経がたかぶるもの」とされています。

 

<作用機序は?>

■グルタミン酸神経系の興奮抑制作用(=グルタミン酸トランスポーターの活性化)

■セロトニン1A受容体への活性作用(=パーシャルアゴニスト)

■セロトニン2A受容体への受容体数減少作用(=ダウンレギュレーション)

■グルタミン酸興奮毒性(活性酸素発生)への神経保護作用(=ラジカルスカベンジャー産生)

 

<どの成分が、グルタミン酸毒性に効果発現している?>

ツムラ研究所によれば、以下の成分の有効性が認められています。

 

■甘草由来のイソリクイチゲニン

⇒NMDA受容体阻害作用(と、それによるカルシウムイオン大量流入が起こす細胞死の抑制)

 

■チョウトウコウ由来のガイソシジンメチルエーテル・ヒルステイン・ヒルスチン

⇒抗酸化作用(細胞死の抑制・グルタチオン減少抑制)

 

臨床試験の結果は?

■発達障害への抑肝散約6.5gの投与で、過敏・常道行動・多動が改善(PMID: 23194148)

 

試験内容

広汎性発達障害又は、アスペルガー障害と診断された40人(8~40歳)を対象に、抑肝散を12週間×2.5~7.5g(平均6.4g)/日投与する。

 

被験者の症状

・知能指数(IQ)スコアは約70~110点(境界~平均)

・CGI-Sスコア(総合的客観評価:攻撃性・自傷・常道行動・過敏性において)は、開始時平均約6.8点

・ABC-Jスコア(異常行動)は、開始時平均11~29点

 

結果

・CGI-Sは、1~2点(正常~境界)となった。

・ABC-Jは、0~5点(80%以上の改善)となった。

・抑肝散に、目立った副作用は無かった。

 

最後に

メマリーは、現在日本において認知症のBPSD症状を除いた精神障害に対しては(一般的には)使用されておらず、海外においても数少ない医師や個人がエビデンスが足りない中で試している段階であると言います。

 

抑肝散は、メマリーの数十分の一程度の効果と言われますが、目立った副作用無くグルタミン興奮毒性による精神症状をある程度改善させることが出来る点においては有用であると考えられています。

 

(photoby:pixabay)

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-20掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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