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神経変性疾患(ALS・パーキンソン病)の原因タンパク質を除去する?『トレハロース』の有効性

ALS(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病などの神経変性疾患は、脳神経細胞内に異常タンパクが蓄積(TDP-43タンパク質・α-シヌクレインなど)することで発症する疾患であることが明らかになっていますが、その異常タンパク蓄積の原因は、細胞内分解システムの働きが低下(細胞の自食作用:オートファジー)していることによるものであると近年米研究により報告されています。また、その異常タンパクの除去促進する(オートファジーを促進する)

物質として治療効果に注目が集められているものに『トレハロース』があります。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

マウスでの『神経保護作用』が確認された、トレハロース

<トレハロースとは?>

トレハロースとは、グルコースが1,1-グリコシド結合してできた二糖類で、近年の研究では細胞の自食作用(オートファジー)を誘導し、細胞内凝集タンパク質を除去、凝集物から細胞を保護するという報告があります。また、安価であることから、これを利用した研究が(特に医学関連では手術による開腹後の癒着防止剤、ドライアイの治療薬、乾燥血液製造など)広く行われるようになってきています。

 

<研究詳細について>

以下の神経変性疾患(ALS・パーキンソン病)に関する動物実験結果が報告されています。

 

◆ALSマウスへのトレハロース投与実験(チリ大学サンチアゴ校のクラウディオ・ヘッツグループ:2013年6月Autophagy誌)

【実験内容】SOD1遺伝子を変異させ、ALS再現されたマウスの腹部に『トレハロース』を週3回注射し、トレハロースを少量含んだ水を与える。神経保護作用を検証する。

【結果】投与群は、偽薬群と比較すると、オスのマウスで約22%増の寿命延長効果(32日間)が見られた。メスのマウスでは、約11%増の寿命延長効果(15日間)となった。

 

⇒また、病状の進行抑制とともに、以下の特徴も見られた。

 

◇脳内・脊髄内の毒性SOD1タンパク質の濃度の低下 

◇通常他の細胞を保護するが、逆の働きもするアストロサイトと呼ばれる神経細胞の活動が低下している。 

◇ALS患者で失われる運動神経の生存率が増加している。 

 

⇒トレハロースによる神経保護の機序は、研究者によれば運動神経におけるオートファジー処理の活性化によるものであると言われています。

 

◆パーキンソン病モデルマウスへのトレハロース投与実験(新潟大学脳研究所・若林ら)

【実験内容】レビー小体病モデルマウスへトレハロースを短期給水投与(3日間)し、他のニ糖類投与群の効果と比較検証する。

【結果】トレハロース投与群では、他のニ糖類投与群より、脳内オートファジーの活性化が認められたが、α-シヌクレイン発現量に差は認められなかった。

 

<炭酸リチウムの効果については?>

 

また、一方で『炭酸リチウム』の有効性については、2008年に進行遅延の効果が発表されて以来、一度安全性の問題において臨床試験の中止が行われた後、いくつかの試験において再度検証が行われましたが、偽薬群と比べ有意な差は認められなかったとされています。

 

◆ALS患者への炭酸リチウム投与試験(LH. van den Berg/University Medical Center Utrecht:オランダ)

【試験内容】ALS患者133例(リルゾール50mgを1日2回服用・努力性肺活量が70%を超える18~85歳)に対し、炭酸リチウム400mgを1日2回投与した。生存期間により、その有効性を評価する。

【結果】追跡期間(中央値)は炭酸リチウム群で15ヵ月、偽薬群で16ヵ月となり、炭酸リチウムによる有意な生存期間延長は認められなかった

⇒また、安全性については炭酸リチウム群において悪心、嘔吐、口渇の有意な増加が認められ、試験中止例も多い結果となった。

 

最後に

トレハロースは、ALSやパーキンソン病以外に、『ハチントン病』などへの有効性も報告されています。しかしながら、現段階では人への臨床試験及び有効性はまだ実証されておらず、今後マウスによる実験で投与期間・方法についての検討を行い治療補助剤としての可能性を見出していくとされています。

 

(参考ウェブページ:Live Today for Tomorrow、ALS Friends Japan、理化学研究所)

 

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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