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自閉症の根本治療の可能性となりえる?!古くなった脳細胞を除去する『ラパマイシン』。グルタミン酸を抑えるという難治性精神疾患の新たな候補薬とは?

近年、米脳神経科学誌・ニューロンに自閉症に関する新たな治療法開発の可能性(『日本未承認薬・ラパマイシンが有効の可能性』)が掲載されました。自閉症患者の脳には古い神経細胞が過剰に蓄積した状態で『刈り込み』と呼ばれる廃棄システムの働きが弱くなっているため、自閉症症状が出現するという機構が以前より報告されており、ラパマイシンは、この刈り込みシステムを正常に作動させる可能性があるということです。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

『ラパマイシン』投与で、自閉症の原因となる『不要シナプス』除去作用が促進 

自閉症は、社会性の障害や他者とのコミュニケーション能力に障害・困難が生じたり、こだわりが強くなる精神障害の一種で、知的障害を伴う場合と、知的障害を伴わない高機能自閉症に分類されます。治療薬としては、向精神薬などの対処療法が中心で、根本的な治療薬が存在していない状況です。しかし、今回米コロンビア大学の研究で、自閉症症状を根本的に改善できる可能性がマウスによる実験で示唆されています。

 

<実験の詳細について> 

以下の実験では、マウスへの『ラパマイシン』投与によって、脳内の不要なシナプスの刈り込み能力(オートファジー)に改善が見られたという報告が行われました。

 

◆自閉症モデルマウスへのラパマイシン投与実験(米コロンビア大学:Loss of mTOR-Dependent Macroautophagy Causes Autistic-like Synaptic Pruning Deficits)

 

(実験内容)遺伝子組み換えにより自閉症症状が再現されたマウスにラパマイシンを投与し、シナプス刈り込み(オートファジー)能力への変化を検証する。

 

(結果)ラパマイシン投与マウスでは、オートファジーを阻害する蛋白質『mTOR』を抑制し、他のマウスとの接触を避けるなどの典型的な自閉症的行動の減少がみられた。

 

<オートファジーとは?> 

オートファジーとは、『自食作用』とも呼ばれるように、古くなった細胞などの不要物質を小胞体由来の脂質二重膜構造物(オートファゴソーム)が包み込み、分解酵素を含んだリソソームと融合することで、不要物質を分解する機構のことをいいます。この機構が加齢などにより弱まることで、発症する病気に『アルツハイマー病(アミロイドβ蛋白の沈着)』『パーキンソン病(変性ミトコンドリアの蓄積)』『がん(異常な核の出現)』などが挙げられます。また、絶食状態では、オートファジーは活性化されることが知られていますが、これは本来オートファジーが新たな栄養素の供給(飢餓への対応)システムによるものであるためと言われています。

 

<自閉症とオートファジーの関係とは?> 

同研究において、26名自閉症患者(2~20歳)の検体から採取された大脳皮質を、自閉症でない22名の患者検体と比較したところ、以下の内容が報告されました。

 

◆19歳自閉症患者では、脳内シナプスがはるかに多く残存していた(約16%しか刈り込みが行われていなかった)。

 

⇒自閉症でない患者では、約41%の刈り込みが行われていた。

 

◆さらに自閉症患者の脳細胞にはオートファジー機構が極度に欠乏しており、神経細胞も古く傷ついた部分が多く見られた。

 

『ラパマイシン』の自閉症治療薬としての今後について 

現在、東京大学大学院医学系研究科の水口雅教授(発達医科学専攻分野)らの研究によれば、国内でも約1年後にラパマイシンによる自閉症患者へのオートファジー促進効果が見られるか、またその安全性の検証についての臨床試験が開始予定であるという報告が行われています。

 

<ラパマイシンの問題点とは?> 

ラパマイシンの問題とされている点は、その副作用にあります。米国では、臓器移植の免疫抑制剤として使用されていることもあり、免疫抑制による易感染の可能性が懸念されています。

 

◇主な副作用 

(免疫低下・口内炎・高コレステロール血症・肺浸潤・血小板減少・下痢・高血圧など)

  

ラパマイシンは上記のように、自閉症症状を根本治癒できる可能性のある画期的な治療薬となる可能性があると言われていますが、免疫低下の副作用があるため、現在では同様の効果を持つ他の薬剤も模索されている状況であるようです。また、個人輸入によってもラパマイシンは入手することはできますが、日本では未承認薬であるため、その安全性も含め使用前に必ず主治医に相談することが重要となります。 

 

発達障害の付随疾患、難治性精神疾患の新たな候補薬とは?(グルタミン酸を抑える薬) 

近年、発達障害や難治性精神疾患の患者の遺伝子解析を行ったところ、「グルタミン酸輸送体」に遺伝的な欠損があり、機能障害をもたらしているということが、東京医科歯科大学の研究で明らかにされています。

 

このグルタミン酸輸送体は、脳神経に興奮毒性(=細胞死)をもたらすグルタミン酸を持ち去るはたらきのある細胞です。

これがうまく機能しないことで興奮伝導が続き、不安障害につながるというメカニズムが報告されています。

では、これらに有効な治療薬は、どのような種類のものがあるのでしょうか?

 

グルタミン酸の毒性が続くとどうなる? 

グルタミン酸輸送体機能が正常な脳の状態と、機能異常のある脳の状態を比較すると、(一説には)以下の違いがあるとされています。

 

グルタミン酸輸送体機能が正常である脳 

1.脳から興奮性の情動入力が加わり、神経細胞の興奮性イオン濃度(Na、Ca)が上がる。

 

2.これがスイッチとなり、細胞内に貯留されたグルタミン酸が、後続の細胞とのすき間に放出され興奮伝導が起こる。

 

3.その後すぐに「輸送体(トランスポーター)」によって回収され鎮静化する。

 

グルタミン酸輸送体機能異常がある脳 

1.胎児期に何らかの原因でグルタミン酸輸送体が障害される。

 

2.遊離したグルタミン酸が持ち去られず、受容体を過剰に活性化させてしまう。

 

3.さらにグルタミン酸がスイッチとなり、細胞内に流入する興奮性イオン(Ca)がミトコンドリアを傷害する。

 

4.細胞内活性酸素を生じさせ、細胞死を招くことにつながる。

 

グルタミン酸関連の治療薬とは? 

グルタミン酸関連の治療薬としては、主に3種類があります。

 

NaやCaを抑制する薬(興奮伝導や細胞死をおさえる:抗てんかん薬) 

・テグレトール 

・ラミクタール 

・トピナ 

・デパケンR 

・ガバペン 

・リリカ など

 

グルタミン酸受容体をブロックする薬(興奮伝導や細胞死を抑える:NMDA 受容体の阻害薬) 

・メマリー(認知症治療薬) 

・ケタミン(解離性麻酔薬)

 

細胞内の活性酸素を消去する薬 

・N-アセチルシステイン(グルタチオンによる解毒:去痰薬)

 

その他 

・リーマス(脳神経成長因子の増加:気分安定薬) 

・リルテック(グルタミン酸輸送体活性化:認知症治療薬) 

・メラトニン(活性酸素消去:サーガディアンリズム調整薬)

 

●上記の中でも神経保護エビデンスがあるものは? 

以下の3剤は、脳神経成長因子の増加や、MRIで脳容積増加効果が確認されています。

 

・デパケンR 

・リーマス 

・オメガ3多不飽和脂肪酸

  

上記のように、グルタミン酸関連の治療薬は数多くありますが、この中で実際にMRIで脳容積の増加が認められたのは3剤のみです。

他の薬剤がどの程度、神経保護に結びつくかはまだ不明な点が多いとされています。

 

自閉症の薬物治療 

決定的な原因が分かっていない自閉症は、外科手術によって根本的な原因を取り除くことができません。そのため、目指すのは完治ではなく改善です。症状改善の方法の一つに薬物治療があります。症状によって有効な薬は異なりますが、主に神経系に作用する薬が用いられます。ではどのような薬が用いられているのでしょうか?

 

〇SSRI(抗うつ薬) 

自閉症では心や体を活発にするセロトニンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質が減少しています。

SSRIという抗うつ薬は脳内のセロトニンだけを選んで作用し、正常に近い状態に調整することによりうつの状態を改善できると言われています。従来の抗うつ薬はセロトニン以外の物質にも作用してしまったため、副作用がありましたが、SSRIは副作用の少ない薬です。

 

〇抗精神病薬 

抗精神病薬は、異常な興奮の原因となる神経伝達物質のドーパミンのやりとりを遮断します。

自殺願望や自傷行為、不安感や焦燥感、妄想、攻撃性などがある患者に対して使われるのが抗精神病薬です。本来は統合失調症の治療などに使われますが、自閉症の治療でも使われます。

 

〇オキシトシン 

オキシトシンはホルモンの一種で愛情や信頼感といった感情に影響していることが分かっています。

そのため、オキシトシンの投与で笑顔が見られたり、他人を認識できるようになったりと、自閉症独特の症状が改善されることがあります。

 

子どもの場合、薬の作用は個人差があり、一般的な薬の効き方とは異なる場合もあります。そのため、薬の投与には慎重で、投与期間も数か月から数年になるケースがあります。また、未だ研究途中の自閉症ですから、使用する薬も研究段階です。まだまだこれから有効な薬が登場するかもしれませんので、注目したいところです。

 

子供のADHD治療薬『メチルフェニデート』は有効?安全性に問題は? 

注意欠如多動症(ADHD)の特徴である、不注意・多動性・衝動性は、一見したところ脳内の神経伝達物質『ノルアドレナリン・ドパミン』が過剰なのではと考えられる場合が多いようですが、実のところこの2つの神経伝達物質が減少しており、またその治療薬としてこれらの物質を増加させる中枢神経刺激薬が有効とであることも明らかになっています。そして、小児期の投薬で大きな改善効果が見られた薬剤に『メチルフェニデート(商品名:リタリン、コンサータ)』があります。この薬はアンフェタミン(覚醒剤)類似の構造を持ており、効果は大きいですが、その依存性が非常に問題となっています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

メチルフェニデートとは? 

メチルフェニデートとは、ナルコレプシーやADHD患者に対して使われる、アンフェタミンに類似した中枢神経刺激薬のことで、ノルアドレナリン・ドパミンを増やす作用があることから、慢性疲労症候群などの症状に対しても効果があるとされています。ADHDの症状の改善には劇的な効果が見られる一方、【依存・成長ホルモンの分泌障害】などの可能性が高いと見られ、現在では処方を控える動きが出ているようです。

 

<依存の形成について> 

メチルフェニデートと類似構造を持つアンフェタミン(覚醒剤)は、中枢刺激作用だけでなく、末梢性(運動機能)にもα・βアドレナリン作用があり、肉体的にも、精神的・知的にも活動が高まり、気分が高揚し,疲れや眠気、空腹を感じにくくなると言います(また心拍数増加・高血圧・高血糖なども)。

 

しかし、慢性的な使用で耐性が生じるため、継続使用していてもうつ状態となり、血糖値は逆に低下し、中断するとさらに著しいうつ状態となるという非常に扱いにくく、やっかいな側面を持っています。アンフェタミンと類似構造の、精神刺激剤メチルフェニデート(リタリン・コンサータ)、痩せ薬として用いられている食欲低下剤マジンドール(サノレックス)、禁煙補助剤あるいは抗うつ剤として海外で使用されているブプロピオンには、上記の理由から依存および逆耐性(感作)の危険性があると言われています。

 

臨床試験について 

以下の臨床試験が報告されています。

 

◆メチルフェニデートのコカインとの類似性に関する研究 

(試験内容)コカイン200mg摂取の有無を判別可能な人(6人)に対して、コカイン(50~300mg)あるいは、メチルフェニデート(15~90mg)、トリアゾラム(0.125~0.75mg)、偽薬を用いて、コカインが用いられたと思うかどうかを判定してもらう。

 

(結果)コカインとメチルフェニデートは、用量の増加とともにコカインが用いられたと答えた率が高くなっていった。それとともに、心拍数と血圧も上昇した。

 

◆メチルフェニデートの使用期間と依存形成に関する研究(Lambertら) 

(試験内容)218人のADHD児と182人の非ADHD児を長期間追跡し、アルコールやマリファナ、コカインなどの薬物依存の罹患率を調査した。

 

(結果)コカイン依存は、年齢をマッチした非ADHD児が10%であったのに対して、メチルフェニデート不使用ADHD児では15%、ADHD児でメチルフェニデート使用が1年未満の場合は18%、1年以上使用者では27%と、メチルフェニデートの使用期間が長いほど依存の割合が高かった。

 

上記のように、メチルフェニデートは小児に継続投与するには、非常に危険性が高いことが分かります。この代替療法として薦められているのが『朝の運動療法』です。ADHDは『脳が興奮していない状態』から生じているため、朝の登校前の時間に、少し運動を行うことで適度に体が疲れ、脳の興奮性が上がり、落ち着きが見られるようになると言います。効果には個人差がありますが、一度試してみることも重要です。

 

(photoby:pixabay

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-04掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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