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生活習慣病

インスリン抵抗性改善薬はどれを選ぶべき?アクトスは『心不全・癌・認知症』のリスク

『アクトス』とは、武田薬品工業が開発したインスリン抵抗性改善薬(チアゾリジンジオン誘導体)ですが、過去2011年にはフランス医薬品規制当局によって市場回収の要請が行われています。その理由は、アクトス投与によって『膀胱がん』発生率が上昇したという報告や、その他の症例でもいくつかの危険性(心不全・黄班浮腫・認知症など)の報告があったためで、現在では国内でも医師への処方に際しての注意換気が行われています。一方で、別のインスリン抵抗性改善薬『メトホルミン』には副作用も少なく、近年抗がん・認知症予防に効果が見られたなど、服用による様々なメリットがあると言います。以下では、それぞれの薬の詳細について見て行きたいと思います。

 

アクトスに関する研究について

アクトスの危険性に関する研究は、以下の内容が報告されています。

 

◆糖尿病黄斑浮腫のリスク上昇(Iskandar Idris, Graham Warren, et al:Arch Intern Med. 2012)

【研究内容】DMEの患者103,368名を対象に、1~10年間におよぶチアゾリジンジオン服用との相関に関する後ろ向きコホート研究。

【結果】1年間のDME発生率は、チアゾリジンジオン利用者で1.3%に対し、非利用者で0.2%、また10年間の追跡調査ではハザード比2.3倍となった。

⇒インスリンとチアゾリジンジオンとの併用療法では、発症リスクは3倍となった。

 

◆糖尿病治療薬と認知症発症率に関する研究(英ケンブリッジ大学/The Journals of Gerontology Series A:2014年10月号)

【研究内容】2004~2009年の5年間において、糖尿病及び認知症の発症していない約7万人を対象に、2型糖尿病の発症に関して追跡調査を行う。

【結果】約7万人のうち、2型糖尿病を発症した群で『チアゾリジンジオン誘導体』を服用した群は、『メトホルミン(BG薬)』を服用した群より認知症発症率が5倍程度高かった。

 

<その他のアクトスの危険性に関する情報>

◆膀胱癌・心筋梗塞・心不全発症リスクに関して、フランス・ドイツでは新規患者投与禁止措置がとられ、フランスでは回収が行われ、また米FDAは最も強い警告である黒枠警告を適用している。

◆日本でも、薬害オンブズパースン会議が販売中止を求める意見書を提出(2011-09-29)している。

 

メトホルミンに関する研究について 

メトホルミンは、インスリン抵抗性改善薬(ビアグナイド薬:BG薬)の一種ですが、過去には『乳酸アシドーシス』発症のリスクがあるとして、アメリカにて使用中止となったという経緯があります。しかし、現在では薬害の元となっていたのは他のBG薬フェンホルミンであったということが判明しており、メトホルミンの安全性は1990年代の大規模臨床試験の結果によって立証されています。日本でも、一時は薬害回避のため処方が激減したといいますが、近年の研究で安全性や『抗がん・認知症予防』などの効果が明らかになるにつれ、SU薬と同様第一選択薬とすべきであるという意見も出るようになりました。

 

<BG薬について>

 

BG薬は、1961年発売された薬で、肝臓で糖をつくる働きを抑え、筋肉などでのブドウ糖の利用をうながし、血糖値を下げる作用があります。代表的な薬にメトホルミン(商品名:メトグルコ)があります。

 

◆副作用:低血糖、胃腸障害、乳酸アシドーシス

◆特徴:SU薬に比べると血糖値を下げる力は弱いが、体重が増加しにくい。ビグアナイド薬のみの治療では、低血糖を起こす可能性は少ないといわれている。また、乳酸アシドーシスを起こしやすい病態、すなわち、肝障害、腎障害、心障害の既往がある患者には使用をさける。

 

<メトホルミンに関する臨床試験>

 

◆メトホルミンの脳神経保護降効果(カリフォルニア州・Kaiser Permanente社/Rachel Whitmer)

【研究内容】55歳以上の2型糖尿病患者約15,000人を対象に、5年間の試験期間で4つの単剤治療(メトホルミン・SU薬・チアゾリジンジオン・合成インスリン)のうち、いずれか1つを投与する。

【結果】全薬剤カテゴリーにおける患者の10%が、認知症と診断されたが、メトホルミン投与群では、認知症発症率がスルホニル尿素投与群よりも20%低かった。

 

⇒スルホニル尿素投与群と、チアゾリジンジオンまたはインスリン投与群との間では認知症の発症に差はなかった。

 

(参考ウェブページ:医学博士・坂東浩、Med Edge、All About/世界で最も処方されている2型糖尿病薬・メトホルミン、ライフサイエンス出版/治療学・座談会、虎ノ門鍼灸院ノート)

 

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-02掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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