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非定型抗精神病薬は、統合失調症の根本治療の可能性があるか?検証結果について

精神疾患の中でも、統合失調症や双極性障害の薬物治療として長期間内服する場合、『副作用が少なく、再発率が低くなる』薬の処方が優先されますが、近年では、非定型抗精神病薬の『ジプレキサ、エビリファイ、セロクエル』の3薬が持つ『神経保護作用』に注目が集められており、長期間服用で根本治癒の可能性が示唆されています。しかしながら、これらは全てマウスでの実験による報告であり、ヒトに対しては適用とならないという意見も見られます。実際の効果とは、どうなのでしょうか?以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

ラットと人の脳の違いについて

 

最近の研究では、統合失調症や双極性障害は脳の神経細胞が脱落することで、再燃し人格荒廃などの悪化が出現するという報告があり、非定型抗精神病薬にはこれらを抑制する『アポトーシス制御による神経保護作用』や『脳由来神経栄養因子(BDNF)の増加による神経機能回復作用』があると言われています。しかし、上記のようにこれらの作用はマウスでの実験結果であり、ヒトで同様の効果が出るためには以下の問題を考慮する必要があります。

 

<ラットと人の脳の相違>

◆ラットとヒトは、嗅覚に関連する遺伝子の数に違いがあることが分かっている。

◆認知機能・感情・脳容積に関与する遺伝子も、同様にラットとヒトは大きく異なると推測されている。

◆統合失調症や双極性障害での脳容積の減少は、ラットでのアポトーシス(神経細胞の死)に関与する遺伝子以外の『ヒトのみで作用する未知の遺伝子』も関連している可能性がある。

 

マウスの実験について

 

以下の実験結果が報告されています。

 

◆マウスのジプレキサ投与による統合失調症への改善効果

【実験結果】ジプレキサの慢性投与により、ラットの前頭葉(統合失調症・気分障害の関連の可能性のある遺伝子)の中で、31種の遺伝子の発現抑制と38種の遺伝子の発現上昇を認めた。コントロール群よりも2倍以上の変化であった。また、統合失調症状にも改善が見られた。

 

<ヒトに対する臨床試験は既に行われている?>

ある医師のブログによると、ヒトでの神経保護作用を証明するような生体内検査のデータが提示されていない理由は、既に神経保護作用をヒト由来の神経細胞株を用いた試験管内実験で否定的なデータ(=神経保護作用があるとは言えない)しか得られなかった為ではないか、と指摘されていました。

 

また神経学関連誌のBritish Journal of Psychiatry誌においても、同じく、『定型抗精神薬と非定型抗精神薬投与の脳画像の比較研究で、定型群が脳にダメージを与え、非定型群がダメージを与えなかったことから、詳細な検証なしに神経保護作用があると拡大解釈されたのではないか』、また『サルによる実験では非定型抗精神薬投与で脳容積が減少したこと(=ダメージを与えた可能性)は明らかになっている』と指摘しています。

 

◆脳画像による、薬剤と脳容積の減少についての研究(British Journal of Psychiatry誌)

【研究内容】初発エピソードの精神病の大規模な調査で、セレネースを内服したケースがジプレキサと比較して脳容積のより大きな減少を認めたという所見が得られたが、このことからジプレキサは神経保護作用を有するものと解釈された。

 

◆サルへの薬剤投与と脳容積の減少についての研究論文

【研究内容】マカク猿にジプレキサとセレネースを18か月投与したところ、未投薬の猿と比べて、脳容積がジプレキサ、セレネース伴に8%~11%の減少を示した。

 

最後に

 

上記のように、非定型抗精神病薬の神経保護作用については、未だマウスでの実験でしか有効性は実証されておらず、ヒトへ同様の効果は不明であると述べられています。その理由として、1)ヒトとマウスの脳の構造は大きく異なるため、2)脳画像の研究では、被験者に長期内服者がいるため薬剤誘発の可能性が否定できないため、が指摘されています。今後、さらに検証されることが望まれています。

 

(photoby:pixabay)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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