カラダノートみんなの役立つ予防法や対処法
  1. カラダノートTOP >
  2. メンタル >
  3. 統合失調症 >
  4. 治療方法 >
  5. 重症精神疾患に『多剤併用処方』は必要?その必要性と危険性について

メンタル

重症精神疾患に『多剤併用処方』は必要?その必要性と危険性について

長年、国内では精神疾患患者への多剤併用処方が問題となっています。2011年に行われた調査では、精神科入院患者の約4割が3剤以上の処方を行われているという報告があり、特に精神疾患の中でも治療が困難である統合失調症患者では2,000mg以上の大量処方(また錐体外路副作用予防のため、抗パーキンソン病薬の併用投与も加える)が行われている例も少なくなく、長期間投与で脳機能障害の悪化や依存、その他のリスクを大きく上昇させることが報告されています。近年、国立精神・神経医療研究センターによる多剤併用処方に対するガイドラインで、『単剤処方を基本とし、多剤・大量処方の場合は、診療報酬の減点の措置を行う』ことが発表されました。ただ、このような動きの中でも重症患者においては多剤併用は必要だという声も多く、日本精神神経学会は反対の見解を述べています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

多剤併用処方の何が問題なのか?

国立精神・神経医療研究センターによると、多剤大量処方はどの薬が効いているのかが不明確であり、治療計画が立てにくい上、副作用のリスクも増大することが問題だと指摘しています。

 

<具体的な多剤・大量処方による影響>

 

◆向精神薬のなかでも、特にベンゾジアゼピン系は心身における依存性が高く、離脱が困難となる。

 

◆身体が薬剤を必要としないまでに回復していても、薬剤血中濃度が低下することで神経伝達物質のバランスに異常が生じ、精神症状(強い不安・焦燥感・攻撃性・衝撃性・健忘・希死念慮)や身体症状(耳鳴り・頭痛・体の痛みなど)様々な症状を呈する。

 

単剤処方でどれだけの治療成績となるか? 

あおぞらクリニックの医師によれば、97人の統合失調症患者を対象とした単剤処方による治療成績を以下と説明しています。

 

◆発病後初めて入院された97人への処方(隔離・拘束された人が約3分の1、注射を必要とした人が約3分の2)

【処方】急性期~回復時点の抗精神病薬の用量は、3.0~3.5mg、再発予防のための維持療法は、単剤率83~85%、用量は2.4~2.6mgで、治療量・維持量をあわせて2~4㎎の範囲であった。

【経過】単剤療法で最終的には受診者の9割近くが回復される結果となった。

 

⇒多剤併用は、単剤以上の効果があるという研究報告はなく、用量に関しても、過去にクロールプロマジン、ハロペリドールを用いて、通常量の10~100倍に及ぶ大量療法が試みられたが、その後の研究で急性期にも慢性期にもほとんど役に立たないことが立証された、と述べられています。

 

⇒多種併用については、「多種・微量」処方であれば(大量処方ではない)効果がある可能性も述べられています。

 

離脱症状を生じさせず、減薬する方法とは?

国立精神・神経医療研究センターなどの情報によると、以下のように非常にゆっくりとしたペースで1剤づつ減薬すれば、大きな離脱症状を生じさせること無く、安全に減薬できると述べています。

 

<向精神薬・投与開始後1~6ヶ月程度の場合(長期投与の場合は、詳細な減薬計画が必要)>

 

◆基本は『ほんの少しだけ薬が少ないと感じる状態で、離脱症状が過ぎるのを待つ』。

◆1剤づつ減薬する(不都合が生じたときに、原因の特定ができるように)。

◆1回ごとの減薬期間を2週間以上はあけることが必要。

◆クロルプロマジン換算で600mg以下に減薬の場合:50~25mg/回量を減薬する。

◆クロルプロマジン換算で1,000mg以上~600mgに減薬の場合:100mg以下/回の減量を目標にする。

 

最後に

上記のように、基本的には単剤処方が安全で推奨されていますが、中には多剤併用でしか改善できないケースもあり、その場合必ずしも単剤でなければならない、ということはないが多剤の場合はあくまで『多種・微量(大量は不可)』の処方であるべきだとされています。処方されている薬剤が大量であるかどうかは『クロルプマジン換算』を用いて計算することが出来ます。クロルプマジン値1,000mgを超えているようであれば、セカンドオピニオンを受けることも必要であるように思われます。

 

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


通報する

治療方法に関する記事

統合失調症の治療に、アミノ酸の一種「グリシン」が有効となる可能性?グルタミン酸神経系の改善

従来、統合失調症(SZ)の発症原因には、遺伝要因と脳内ドーパミン濃度の調整異常が...

メラトニンの神経保護作用~メラトニンは精神疾患の改善に有用?!

メラトニンは、夜暗くなると脳の松果体(しょうかたい)から分泌され、昼夜の体内時...


統合失調症の予防法!不安をなくして普段の食事に気をつけよう!

統合失調症は、妄想や幻覚などの症状があらわれます。夢をみながらおきているような...

統合失調症の治療法 薬物治療をする際の注意点

統合失調症とは、脳の神経機能に異常が見られる病気です。神経伝達が上手くいかな...

カラダノートひろば

治療方法の関連カテゴリ

ブックマークは20件まで登録可能です
トップへ戻る