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生活習慣病

ナイアシンは治療薬の存在しない?!『低HDLコレステロール血症』の特効薬となるか?

『LDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを上げる』ことは、動脈硬化の予防をはじめ、様々な病気の予防に必須の要素ですが、近年この2つを副作用無く調整できる栄養素として『ナイアシン』が注目されています。ナイアシンは、水溶性のビタミンであることから、高容量で摂取しても問題が無いと考えられており、その他にも『心筋梗塞・糖尿病・肥満・白内障・認知機能・抗炎症・免疫』などに有益な作用が見られることが報告されるなど、健康増進に優れた物質であることがわかります。HDLコレステロールを増加させる薬剤の中で、大きなHDL増加効果に繋がるような薬は現時点ではなく、ナイアシンの効果には非常に期待が持たれています。しかし、一方で、英医学誌によると、大量摂取やある特定の薬剤との併用で、有害事象が生じたという報告があります。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

ナイアシンとは?

ナイアシンは、ビタミンB3と呼ばれる必須ビタミンであり、トリプトファンから合成されるため、同様にトリプトファン由来の脳内ホルモンセロトニンと似た作用を持ち、ナイアシン欠乏によって意欲減退・幻覚妄想などの精神症状が生じます。また、極少量であれば体内でも必須アミノ酸のトリプトファンから合成されますが、大部分は食事から摂る必要があります。

 

ナイアシンのHDL増加の効果と、有害事象が生じる条件とは?

ナイアシンは前述のように、LDLコレステロール低下・HDLコレステロール増加など、様々な効果があり、副作用もほとんど見られないため、メルク社による脂質異常症のための新薬『トレダプティブ』として開発されていたという経緯があります。トレダプティブは、ナイアシン2,000mgに『ラロピプラント』というプロスタグランジン抑制作用のある薬を合剤としたものですが、ラロピプラントは、ナイアシンの唯一の副作用『ほてり・痒み』症状の出現の原因となるプロスタグランジンを抑える作用があります。しかし、臨床試験の結果、患者さんの予後の改善が認められず、その他因果関係が不明の有害事象が出現したため、2013年発売中止となりました。以下は、ナイアシン単独投与された場合と、ナイアシン+ラロピプラント併用投与されたときの臨床試験についてです。

 

<トレダプティブの臨床試験(the New England Journal of Medicine誌:2010年)>

 

◆ナイアシンによる、心筋梗塞・脳卒中の予後に与える影響についての臨床試験

【試験内容】スタチンに加え、ナイアシン又はゼチーア(コレステロール吸収阻害剤)を投与し、HDLコレステロール値の変化を比較する。

【結果】ナイアシン(2,000mg:必要量の10倍)を併用した例で、HDLコレステロールが増加し、心筋梗塞などの心臓病の発症率が低下したことが報告された。

 

◆ナイアシン+ラロピプラント併用投与による臨床試験(メルク社)

 

【試験内容】動脈硬化を伴う50~80歳の患者25,673人を対象に、スタチンによるLDLコレステロール値降下療法を行ない、約4年間2群に分け(1)1日徐放性ナイアシン2,000ミリグラム+ラロピプラント投与)、2)偽薬の投与)経過観察を行う。

【結果】偽薬と比較し、ナイアシン群では、HDLコレステロールが平均で6mg/dL上昇し、LDLコレステロールは平均で10mg/dL低下し、中性脂肪は平均で33mg/dL低下した。

 

⇒しかし、心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクの有意な低下はなく、9%の死亡リスクの増加を認めた(因果関係は不明)。また、有害事象として、感染症や出血性の合併症、糖尿病の発症やコントロールの悪化、などが多く認められた。

 

最後に

上記の試験結果のように、有害事象の報告はありますが、2010年の研究においては、ナイアシン単独投与によるHDLコレステロールの増加作用などの有益性は報告されており、『大量投与でなく(300mg程度までは安全性が確認されている)、ラロピプラントとの併用投与しない』場合においては、安全に使用できるのではないかと考えられています。

 

(参考ウェブページ:六号通り診療所所長のブログ)

 

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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