妊娠・出産
妊娠中の『海外産缶詰』の摂取は危険?環境ホルモン・ビスフェノールAの溶出量
近年、米大学の研究では、プラスチック容器に含まれる『ビスフェノールA(BPA)』という環境ホルモンを幼児期に摂取すると、子供の喘息発症の原因になることが報告されています。ビスフェノールAは、プラスチック容器のほかにも缶詰の内部に塗られていることがあり、現在国内では食品衛生法の規格基準によって、新たに製造される製品にはほぼ使用されていませんが、海外産の缶詰には微量検出例や、その他万が一のために注意が必要とされています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。
ビスフェノールAとは?
プラスチック容器や缶詰の内面塗装に使用されるビスフェノールAは、内分泌かく乱物質に指定されており、過去には子宮内膜症の原因にもなると指摘されています。喘息発症との因果関係は明確には分かっていませんが、統計上、関連している可能性が高いといわれています。
<ビスフェノールAと喘息に関する調査について>
米ペンシルバニア大学の研究グループによる調査によると、以下の内容が報告されています。
・妊娠中の母親の尿中のBPA濃度が10倍高くなると、その子どもの4歳時点の肺の機能が落ちると判明した。
・妊娠16週で濃度が10倍高いと、子どもの喘息症状が、通常の濃度の際の4倍強になっていた。
海外産缶詰から溶出されるビスフェノールA、健康への影響は?
<国内産の缶詰は安全?>
日本缶詰びん詰レトルト食品協会によれば、現在ではビスフェノールAは環境ホルモンの疑いがあるため、利用者の不安を解消のため、新たな内面被覆技術(PETラミネート)を採用していると報告されています。
<海外産の缶詰については?>
日本生協連によれば、現時点では「海外産缶詰のBPA溶出量をモニタリングをしながら、個別に対策を検討している」と発表しています。最大検出量はツナ缶(0.036~0.051ppm)ですが、TDI(耐容一日摂取量0.05mg/kg体重/日)を十分に下回る程度であり、現時点では問題ないと言われています。
日本生協連で調査された結果は下記のとおりです。
■フルーツ缶詰め類:検出せず
■マッシュルーム缶類:0.007~0.009ppm
■トマト類:0.023~0.029ppm
■ミートソース:0.013~0.025ppm
■ツナ缶類:0.036~0.051ppm
<海外の安全基準は?>
ヨーロッパでは、EFSA(欧州食品安全機関)は、ヒトへの影響があるとは評価できないとしながらも、安全性を考慮し耐容基準は下げるとしています。また米国では、FDA(食品医薬品局)が業界等の低減努力を支援しています。
最後に
このように、海外産(欧米)からの輸入品については、ある程度の安全性は確認されているようですが、妊娠中は念のため摂取を避けたほうが良いかもしれません。また中国やその他第三国からの輸入品に関しては詳細が報告されていないため、気をつける必要がありそうです。
(参考ウェブページ:日本缶詰びん詰レトルト食品協会、日本生協連)
(photoby:pixabay)
著者: カラダノート編集部