妊娠・出産
赤ちゃんの脳の発達に魚は悪影響?『不飽和脂肪酸』の取りすぎに注意を
妊娠中の栄養素の摂取で、特に重要とされるもののひとつに『多価不飽和脂肪酸』があります。中でもオメガ-3は胎盤を通じて胎児の神経細胞の発達に大きく関わり、脳の形成に有益に働くといわれていますが、近年の研究では、多価不飽和脂肪酸の過剰摂取は子供の精神発達に悪影響を与えることも分かっており、適切な量で摂取することが必要です。また、一方で魚の摂取は『メチル水銀』が一定量含まれているので、厚生労働省からも妊婦の方への摂取基準が設けられています。それでは、具体的に何から・どれだけの脂肪酸を摂取するのが望ましいのでしょうか?以下では、その詳細について見て行きたいと思います。
オメガ3:オメガ6の比率は、『1:4』が望ましい?
魚の摂取と子供の脳の発達について、ロチェスター大学とセイシェル健康省の共同研究「The Seychelles Child Development Study(セイシェル小児発達研究)」では、『妊娠中に適量の魚を食べることは、胎児の脳発達に良い影響が出るが、過剰摂取はマイナスの影響を与える』ことが発表されました。
【調査対象】1,265組の母子
【調査内容】妊娠28週時点の母親の血液による多価不飽和脂肪酸の濃度と、分娩時の毛髪による水銀の濃度を測定した。また週ごとの魚の摂取回数も聞き取り調査した。
【結果】生後20ヶ月時点の発達において、以下の結果となった。
■水銀濃度と子の神経発達に直接の関連は見られなかった。
■オメガ3脂肪酸濃度が最も高かったグループは、母親の水銀濃度が高かったが、子の運動発達指標は高かった。
■母親のDHAの濃度高かった子ほど言語発達が良かったのに対して、精神的な発達には負の影響を及ぼすと分かった。
■オメガ-6多価不飽和脂肪酸に対して、オメガ-3多価不飽和脂肪酸の量が減るほど言語発達が悪くなると分かった。
<結論>
『妊娠中に適量の魚を食べることは、胎児の脳発達に良い影響が出るが、過剰摂取はマイナスの影響を与える』ことが予想されるため、オメガ-3:オメガ-6摂取量=1:4の比率(オメガ3摂取量:1.9g/日⇒アジに換算すると約300g)に近づけるよう心がけることが望ましい。
DHAとEPAの具体的な推奨摂取量は?
前述の研究では、妊娠中にオメガ3不飽和脂肪酸を1.9g/日摂ることが望ましいと分かりましたが、これを魚で摂取するとアジ300g(開きで4匹)摂取しなければならない計算になり、現実的ではありませんので、オイルやサプリメントで摂取することになります。その際には摂取量を適切に摂ることが重要です。
■DHAとEPA摂取量⇒それぞれ1g程度(合計2g程度)
最後に
魚だけでは必要な脂肪酸を毎日摂取することは難しいですが、それでもその他の良質な栄養素(タンパク質・ビタミン・カルシウム・タウリンなど)は豊富にあり、妊娠期間中はできれば摂取しておきたいところです。ただ、サバ・イワシ・カツオなどの標準的な魚は問題ありませんが、マグロ・カジキ・キンメダイ・バイガイなどの大型で寿命が長い魚は水銀含有量が多いため避ける必要があります。
(参考ウェブページ:妊娠しやすいカラダづくり、Med edge)
(photoby:pixabay)
著者: カラダノート編集部